495.食料<採集>手伝い
装備品の事は一旦任せて、仕事探しと行こう。
地下の時は最初塩対応だったから食料配布するまで大変だったけど、ここでは一応【将軍】て身分が物を言ってくれるので助かる。
しかし、戦闘員としての仕事は銃が無い今ちょっと不安。
そりゃ他所なら剣一本でもやるけどさ。ここは銃社会なのよ。
幼い【巫士】様すらピンクの大型拳銃使っちゃう生活なのよ。
だから何か生活系の仕事無いかなーって船を連ねた水上要塞をうろつく。
そしたら、最低限の武装の集団がいくつもの小船を海に降ろしてるのを見つけ駆け寄り尋ねる。
「これから何か仕事ですか?」
「あ、ああ、食料を採りに船を出す所だけど?」
「その仕事って自分でも受けることできますかね?」
「いいけど、闘技場でエリーゼ様すら倒してた強者が食料採集なんて地味な仕事でいいの?」
「別に自分は気にしないし、何より銃を預けちゃってるので、安全な仕事をしたいんですよ」
「そう言うことなら頼むよ、何人人手があっても助かる仕事だし、いざと言う時の為に戦闘できるヒトがいるのも心強いし」
あっさりと、仕事させてもらうことが決まり一つの小船に乗り込み、食料採集の為に漕ぎ出し、
船旅の間、同乗したエルフに色々説明を聞いておく。
「それで、これから<採集>するって言うのは魚ですか?木の実ですか?」
「木の実の方だね。魚は水中に向かわなくちゃならないからちょっと危険かな」
「なるほど。一応ここに来る前に貝とか魚とか手に入れてるんですけど、どこかでお金に変えたり出来ますかね?」
「ああ、それなら市場に持って行きな。予定外に手に入れたものの交換所みたいになってるから、欲しい人がいればうまい事交換できるかもよ」
「へ~市場か。ついでに面白い物とか仕入れられるといいな」
そうして、気持ちのいい風に吹かれつつ小船で少し進むと、海面から木々が生える場所に辿り着く。
船頭さんが、うまい事木の間を通りぬけると同時に皆立ち上がり、木の実をどんどん採っていくので、
自分も真似して<採集>していく。
どうやら、ここは林檎がいっぱい取れるようだが、何故海の上に林檎!!
木々の間を抜ける頃には船の真ん中に設置してあった籠が一杯になったので、帰路についた。
「なんで、こんなにいっぱい林檎が成ってるんです?」
「そりゃ、世界樹様のお力に決まってるだろう?世界樹様はこの世の生きとし生きる者全てに恵みを与えて下さるのだ」
「一個食べてみてもいいですか?」
「そりゃ構わないけど?」
申し訳ないが、一個貰って齧りつくと、
「あっま!甘い!何でこんな甘いんです?」
あまりに芳醇かつ高い糖度に驚きを禁じえない。
「いや、それは世界樹様が育んでらっしゃるのだから最高品質のものが育つだろう?」
「え?じゃあ、ここのエルフ達はこの林檎と魚で食いつないでるんですか?」
「いや?他にも色んな木の実があるけど?葡萄とか蜜柑とかアーモンドとか梨にアボガド、梅、苺、栗、松の実・・・後なんだろうな?いろいろあって分からないね」
「なんで・・・そんな食べる物がなんでもあるんですか・・・」
「そりゃ、世界樹様が御恵み与えてくれるからさ。話に聞いただけだけど、地下ではこの世界樹様の根を日々黙々と育て守るエルフがいるんだろ?遥か昔道を別った同胞とは言え、なんとも尊い生き方だよね~。僕は産まれてからずっとその恵みのおかげで何の不自由も無く生きてるんだ。一度会って礼を言ってみたいもんだよ」
「まあ、いずれ手紙くらいなら運びますよ。喜ぶんじゃないですか?長年の苦労が報われて」
「そうかな?じゃあ、運んでもらえる時の為に俺の感謝の気持ちを大長編作にまとめて置こうかな」
そんな話をしてると不穏な気配を水中から感じる。
「この辺て魔物とか出ます?」
「それはどこにでも出るには出るけど・・・どうしたの?」
「この下から殺気を感じますね。皆武装は最低限て事は魔物に襲われる事自体は珍しい?」
「そうだね。何より水中戦では銃の威力は削がれてしまうからね」
「え?じゃあエルフは長年この水上でどうやって戦ってきたんですか?」
「水中で戦える者は選ばれし戦士だけだよ。男は海の中で時に潜み時に戦いながら<採集>する。女は水上で帰る場所を守る。そういう文化だ」
「ああ、それで銃を持ってる女性が逞しい」
「まあね、それで君は水中戦はやれる?僕は最低限の心得しかないんだけど」
「得意では無いですけど、相手次第ですかね。長時間潜ってるだけなら行けますよ」
「ふーむ、ちょっと周りと相談しよう」
そして、違うルートで別の果物を採って来た別の小船たちと合流し相談する。
自分は腹が減っては戦が出来ないので、もう一個林檎を貰って齧ってる。
中でも特に泳ぎが速いというエルフが偵察に行き、相手はボスサイズの海蛇だと分かる。
「好戦的な種類の空海蛇みたいだね。まあ時折やる相手だけど、やり方はおおよそ決まってる」
「おっじゃあ作戦をうかがっても?」
「うん、まずは一人が囮、海蛇を海面近くまでおびき寄せたら、網で捕まえるそれだけ」
「結構なサイズの蛇を網で絡めたら小船が転覆しちゃうんじゃ?」
「うん、だけど雷精を通せるように出来てる網だから水生生物は大体やれる」
「じゃあ、自分が囮になりますよ。いざ船に上がるのが遅れても氷精使って雷精耐えますから」
そして、天上の海の初魔物戦に突入。