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493.銃新調

 「その銃!何ちゅう威力だ!」


 何か急におっさんエルフが絡んできた。


 「いや、何ちゅうとか言われてもガトリングの方がおかしいじゃん」


 「そんな事ない!ちょっと見せろ!いいから見せろ!すぐ見せろ!」


 ほとんど取り上げるように奪い取り、自分の散弾銃をまじまじと観察し始めるおっさんエルフ。


 ふむ、どうしたもんか。


 「中々やるな。これは戦闘員として是非我らの力になってもらうとしよう・・・」


 「おい!そっちの剣も見せろ!」


 剣も取り上げられてしまった。


 「別に戦闘員でも構わないですけど、元々は【輸送】の仕事していたんですけどね」


 「ふむ、そうか・・・」


 「おい!その脚についてるナイフも見るぞ!」


 ダガーまで取り上げられてしまった。


 「まあ、この辺りの生活習慣も分からないですし、自分でも役に立てるポジションを見つけてのんびりやりますよ」


 「それで構わない。基本的に皆働いているからな。うまく協力してくれ・・・」


 「いや~いい物見たわ~。しかしこの剣をあれほど軽々扱えるなら、銃の方はもう少し重量が合ってもいけそうだな」


 「ああ、なんか結果出ましたか?」


 「ん?コレはどれもいい武器だな。何がいいって堅牢さがいいぞ。ちょっとやそっと乱暴に扱っても壊れない。こういう信用性の高い物作れる奴は信用できる」


 「まあ、そこは自分の好みに合わせて作ってもらってるので」


 「ほー、丈夫な物を長く使って、手になじませるってのはいい選択だな。しかし一点気になるのはコレ弾数2発だろ?少なすぎやしないか?」


 「まあ、すぐに撃ち切っては装填だから面倒である事は確かかな」


 「だろうな、しかも装填が上部だろ?コレはかなり古い型どころか骨董品の造りだ。とは言え、この弾並みの宝石となると中々手に入らないし、そうなると威力を殺して弾数を増やすしか・・・」


 「コレと同じ宝石ならいくらか貰ってきたんだけど?」


 おっさんにばらばらと円柱の水晶を渡すと、


 「おい!コレだけあって何で二発しか使ってないんだ!もったいない!ていうかコレだけの水晶がよくここまで沢山手に入ったな」


 「いや、地下だとゴロゴロ石が出るからさ。だからもう食事と交換で山程もらちゃって・・・」


 「え・・・水晶の鉱山でもあるってか?」


 「いや、種類は色々出すぎて、逆に水晶だけ選別する方が大変みたいだけど」


 「じゃあ、何でこんな水晶ばっかりなんだよ?」


 「自分が氷精と相性がいいからわざわざ選んでくれたんだと思うけど」


 「ん~、何か色々常識が俺達と違うみたいだな・・・。ちょっと俺の工房へ来い!ゆっくり話そうじゃないか。悪いようにはしない。なんならもっと扱いやすい最新式の銃を作り直すことも考えてやるからよ!」


 そう言って、返事も待たずに、別の船に連れ込まれてしまった。


 「まぁ、掛けろって。何か飲むか?リラックスする時は酒がいいか?」


 「お酒なら種々諸々持ち歩いてるけど?」


 「そうか、じゃあその地下の酒ってのと俺のりんご酒交換しようぜ」


 きのこ酒を出し、代わりにりんご酒を貰い飲みながら話す事にする。


 「もし、それが合わなければ、他にもあるから」


 「いや、なんか独特の風味が合って悪くないぞ。さて、何から話すかな~。まずはその銃の来歴を聞いてもいいか?」


 「まあ地下の事だし洗いざらい話すと、地下じゃ銃を作るのは禁忌なんだってさ。だけど地下から出る為には外で生きる力が必要なんじゃないか?っていう欲と言うか妄想と言うか、まあ気持ちが爆発しちゃって秘密裏に武器屋のおじさんが作ちゃったんだよね」


 「なんで、銃作る事が禁忌になるんだかな。エルフと言えば、精神力が多くさらに器用で射撃向きなのにな」


 「なんでも大昔世界樹の根を使い切った事に由来してるらしいよ」


 「ああ、でもそれは世界樹の根を弾として直接射出する構造の物の事だろ?流石に今では俺らもそんな物は作らんが」


 「宝石から精霊の力を抽出して弾として撃ち出すのはありってわけだ」


 「そりゃな、俺達の得意分野だ。さっき見た感じその剣は折角の宝石を粉にして混ぜ込んでるんだろ?小さい結晶はそうやって使う事で、精霊の力を通しやすくするのに使うが、大粒の物は直接精霊の力を引き出すのに使うもんだ」


 「槍やら剣やらはそうやって使ってたけどね」


 「悪い事じゃないが、俺達は何しろ筋力がお前さんよりは大分低い。そんな重い剣を片手で振り回すなんて規格外もいいところだ」


 「ふーん、じゃあ、次は自分が聞きたいんだけど、実は銃使いって今迄自分の他にいなくて、どう扱ったらいい物か手探りなんだよね」


 「ほー、じゃあ好き好んで散弾銃を使ってる訳でも無いのか」


 「まあ、偶々手に入ったスキルが散弾だったから、一応選んで使ってるつもりではあるけど」


 「散弾銃ってのは近中距離用武器で、あまり人気は無いな。威力はあるが近距離でノックバック、中距離で範囲攻撃って感じだな。遠距離がとにかくネックだ」


 「まあ、銃って武器を使うのに射程距離が物を言うのも分かりますけど」


 「でも、まあさっきの威力見ちまうとある種ロマンを感じるのも確かなんだよな~。接近戦闘に持ち込める素早さと弾雨を掻い潜るテクが必要になるがな」


 「自分がそれ専門だって分かってて言ってるでしょ?」


 「ああ、普通弾道読んで避けたり、ガードしたり出来ねぇ」


 「ふーん、つまり銃を作ってくれる気はあるって受け取っていいわけか」


 「だな。材料もさっき見たあの水晶で十分お釣りが来る。後は代金だが・・・」


 「地下から持ち込んだ石が有るけど?」


 「見せてもらえるか?」


 お酒を飲んで天上のおっさんとグッと距離が縮む。

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― 新着の感想 ―
[一言] 天上のおっさんというパワーワード 本人不在でクラーヴンの評価爆上がりw
[一言] 明らかに顔面偏差値の高そうなエルフ女子そっちのけで武器屋のおっさんと意気投合するのほんま隊長って感じ。
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