492.まずは腕試し
一先ず会議が終わり、ここで生活する事は認められたようなので取り敢えずは成り行き任せ。
「あの肖像画が気になるか?」
「ああ、何かソウルを感じる髪型ですね」
「分かるか!そうアレこそ我らを導き、力を合わせる事を説いた古の【巫士】様だ!」
随分ファンキーな【巫士】様だな。
「あのヒトが残した秘術ってのがあるんですね」
「まあな!ヒトの力を合わせ束ねる秘術だ。実際にはちゃんと公開されているんだが、誰も使えないのだ。やはりアレほどの髪型で無いと・・・」
「いや、その髪型に対するこだわり」
「何を言ってる!他人とのしがらみを物ともせずに全てを巻き込み束ねるあのお姿こそ我らの理想。かつて世界樹様の根を使い切ってしまい深く後悔した我らの先祖が追い求めた理想の姿」
「別にアフロじゃなくても自分も1000人率いれるけど」
「は!やはりお前嘘をついていたな!」
「いや、称号確認してもらってるんだから嘘のわけないじゃん」
「戯れはそれ位にしてまずは腕前をお見せ願いたいのですけど」
縦ロールがなんか突っかかり気味なのは、嫉妬かね~。そういうのが面倒くさくて逃げてきたんだが。
皆移動するので後ろを付いていく。
腕前見せろって言われたら、そう言うことだよね~。ムシャマッシュの【訓練】も途中だし、どうなるんかな~。
しかも相手明らかに銃使いじゃん。きっついわ~。初の銃撃戦。どうなるのよコレ。
「何だ緊張してるのか?ん?」
何かスナイパーエルフも煽ってきた。
「いや、銃で戦うのは何気に慣れて無くてね」
「何言ってるんだ?お前も持ってるじゃないか。初めて見る形だけど」
「コレは地下で作られたものなんだけどね。武器屋のおじさんの感覚で作ったものだから」
「ほー、それは興味あるな。装弾と連射性能それに射程距離、威力と・・・」
「うん、よく分かんない。他に銃を使うヒトいないから、比べようが無いから」
「そうなのか?本当に銃を使う相手とは初めてか・・・。じゃあ弾装だけ見せてみろ」
「え?ああ、コレが弾らしいけど」
そう言って、予備の円柱水晶を渡すと、
「なんじゃこりゃ!このサイズでこの純度の水晶って!どんな威力なんだこの銃・・・」
「え?でも宝石に精神力を流し込んで弾になるんじゃないの?」
「その通りだが、ここじゃそんないい石が滅多に手に入らないんだ。だから弾装にうまく組み合わせるんだが、何の継ぎ目も無いこの宝石なら相当な威力が・・・」
そして、一つの船の甲板、やや高く台になった場所が戦闘フィールドなのかね。
周りにヒトが集まってるんよ。地下の金網しかりだけど、エルフ戦闘民族か!
わいわいやってる中に放り込まれ、フィールドに立たされた。
対するは【巫士】様の護衛の一人銀髪エルフ。
よく確認すれば、両腰にリボルバーを一丁づつ下げている。二丁拳銃の連射をどう防ぐかねぇ。
相手の早抜きからの早撃ちでスタート。
体の軸をずらす様に弾を避け、剣を抜く。
次の連射も避けつつ一発は剣で弾き、間合いを詰めにかかる。
そして、明らかに溜め撃ちと分かる動作に警戒し、そして飛んできたやや大きめの銃弾を避けた。
間合いを詰められるのを嫌うように逃げ始めた銀髪エルフ。再装填中なのかね?
ここが攻め時と一気に間合いを詰めたら、速攻撃ち返されてしまった。
どうやら自分の銃よりかなり装填が早いようだ。しかもわざわざ銃の上を持ち替えなくても良さそうで、羨ましい。
そして、どんな術か分からないが一瞬で十字にばら撒かれる銃弾を右腕と剣でガード&ブロック。
中々のダメージだが、まあ十分許容範囲。
更に再装填の為に逃げようとする銀髪を<疾走>で追う。
そろそろ本気で〆にかかろうか、初めての銃撃戦なので様子を見ながらやったが、何となくつかめた。
武技 払い抜け
武技 逆巻
動きの止まった銀髪の首を後ろから締め上げ、背中から剣を貫通させれば、自分の勝ち。
装備を見てもどうやら軽量タイプが多いみたいだな。地下でもそうだったけどもさ。
でもそうなると距離取りながら、中遠距離武器の連射ははまるのかもね。
剣を納めてフィールドから降りようとすると、待ったがかかる。
相手はエリーゼ様。何でこのヒトだけ名前と様付けなのかは知らんが、まあ案内してくれたエルフがそう言うのだから仕方ない。
しかし、問題はその手に持つ武器だ。
両手で下げてるそれは誰がどう見てもガトリング。
おかしいじゃん、そんなのおかしいじゃん。何でガトリングを手で下げてるのさ。
いくらなんでもそれは手持ちの銃の範疇じゃないじゃん。設置して拠点防御とかに使う奴じゃん。
しかし、容赦無く始まってしまう。
一気にフィールド中を掃射される。
自分は<跳躍>でかわしたが、ニヤリと笑うエリーゼ様が不敵すぎる。
「上では逃げ場が無いだろう!」
「いやそんな事ないし」
言いながら、空中で銃を抜く。
武技 反動滞空
軌道を変えエリーゼ様の攻撃をかわし、さらに自分の腕を掴み、
気脈術 陰気
エリーゼ様が自分を見失い、射撃の止まった一瞬を狙い一気に間合いを詰め<犠牲>で生命力を捧げ、
近距離で残りの一発をぶっ放す。
吹き飛んだエリーゼ様を追いながら剣を抜き、倒れてるエリーゼ様の喉に切っ先を突きつければ、
「参った」
ふぃー・・・ガトリングは流石に焦ったわ~。