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490.水上要塞

 要塞から吊るされたロープを船に結ぶと、滑車で引き上げられる。


 因みに人力だ。


 「何だ重いと思ったら客人か?」


 「ああ!まだ客かどうかは分からんが話は通じる。これからどうするか話し合いだ」


 銀髪エルフと【巫士】様は連れ立って先に要塞の奥に向かってしまう。


 「なあ、お客人!外から来たなら何か交換しようぜ!」


 「何かって言われても、自分で食べる食料と石が沢山と石炭が大量にと後は毛とか糸とか酒はまあ、ヒトを死なせる量持ってるけど」


 「おおう・・・。ここらじゃ欲しい物ばっかりじゃねぇか。食うものだけは足りてるんだが、それ以外の物資は交易頼りだからな」


 「へ~こんな上空の土地で交易なんて出来るんだ?」


 「ああ、なんか東の果てに住む連中がデカイ生き物に住んでて偶に世界樹様の辺りまでやってくるんだ」


 「それじゃ、食べるもの以外は交易のみなんだ?」


 「いや、そこは世界樹様が生み出してくれる物資に依存してる部分が大きいんだがな。海に潜ると世界樹様の根に貝がくっついてるだろ?その中に色々入ってるんだ」

 

 ああ、それなら結構な数捥いで来たな。


 「じゃあ、食事は魚?」


 「魚は主食だが、世界樹様の力で色んな木が生えてるから木の実も食べるぞ。船の補修もその木を使ったりするしな」


 「ああ、鉄じゃないんだ?」


 「そんな物どこから調達するってんだよ。世界樹様のおかげで気候変動の激しい地じゃ無いし、いくつもの船を繋ぎ合わせて、ブロックごとに分けて生活してるんだよ」


 引き上げてくれたおじさんエルフと話していると、スナイパーエルフに肩を叩かれる。


 「おい!いつまでも無駄話してないで、司令部に向かうぞ!」


 そう言われたので、挨拶代わりに酒を一瓶おじさんに渡してスナイパーエルフについて行く。


 ここに住むエルフ達は温暖な地に合った薄着で、活動してる。


 基本は木の文化なのか荷運びの箱も木製。


 ふと向こうから取り巻きを二人連れたエルフが歩いてきて、スナイパーエルフに話しかける。


 「あら?見かけない顔ねお客人かしら?」


 「そうだ」


 スナイパーエルフが何か素っ気ない。わざとなんだろうが、何かあったのかね~この二人。


 「あらそう。それで私にも召集がかかったのね。小隊の【訓練】中だったというのにね・・・まあコレも責任ある立場故よね。仕方ないわ」


 「ふん、じゃあさっさと行けばいいだろ」


 「そうねそうするわ。そちらのお客人もココで妙な真似をすれば、私が黙ってないわよ」


 「ええ、別に問題を起こしに来たわけでは無いので」


 「いい心がけだわ」

 

 そう言って、わざとらしく髪をかき上げ立ち去るエルフ。なんだったんだかな。


 「くっそー!見せ付けやがって!!」


 「何をそんなにいきり立ってるのさ」


 「見えなかったのか!あいつの姫毛の先がちょっと丸まってたろ!」


 「だから?」


 「はぁ?お前本当に分かってないのか?よし!特別に教えてやる」


 「はぁ、そりゃどうも」


 「いいか?かつて世界樹様の根を使い尽くしてしまった時、当時の【巫士】様はエルフがもっと力を合わせるようにとおっしゃったのだ」


 「なんか、それは地下でも聞いたわ」


 「そうだ!それ以来我らは力を合わせる方法を練っている。因みに当時の巫女様は魂を感じさせる髪型に、さらには力を合わせることで太陽を呼んだと言われている」


 「え~太陽?」


 「そうだ!1,000人の力を集め太陽を呼んだのだ!素晴らしいだろう!でもその秘奥義に達したものはそれ以来いないのだがな」


 「それで?さっきのヒトと何の関係が有るの?」


 「あいつは、同期の中では出世頭でな。5人を率いる事が出来るんだ・・・。いくら強くてもヒトを率いる数ってのは我々の中では特別な意味があるのさ」


 「そりゃ、まぁ、でもそれぞれ役割は違うし、みんなが皆指揮官でも仕方ないじゃん」


 「そんなお為ごかし聞きたくない!私も!私もせめて毛先だけでも丸まってれば!」


 「いや、髪形と率いれる数に何の関係があるのさ」


 「お前!【巫士】様を見なかったのか!あの美しいお髪!我らエルフでは到底実現しえぬあの奇跡の髪型!」


 ええ・・・エルフって天然パーマが美しさの基準なの?


 「そういえば、あっちの銀髪もストレートのショートだったね」


 「そうさ、あいつも同期で【巫士】様の護衛なんだがちょっと雑な所があってな」


 「ああ、確かに射線に完全に【巫士】様捉えてたもんな。ありゃまずいよ」


 「なっ!・・・あいつ・・・あれ?え?まさか!お前!だからあの時避けなかったのか」


 「まあ、そりゃそうだけど、一発とは言え腿に掠られたのは中々の腕だなと思ったよ」


 「ほう!そうだろう!私の同期は金の卵ぞろいと言われててな。皆一芸持ってて将来の幹部候補ばかりなのさ」


 「じゃあ、いがみ合わないでもっと協力していきなよ」


 「いや、そりゃそうだけど」


 そんなこんな話していると、また声を掛けられた。


 「ふむ、お客人とはそちらか。中々雰囲気のある御仁だな。お互い不利益の無いように話し合おうじゃないか」


 めっちゃ縦巻きロールの端正なエルフが後ろから近づいてきた。


 「エリーゼ様!」


 「ああ、初めまして自分は別に問題を起こしに来たわけでは無いので、よろしくお願いします」


 「うむ、そうかでは司令部でな」


 そう言って、すぐに立ち去ってしまう。


 いや、天パ最強って話だけど、縦巻きロールはどうなんだろう。


 エリーゼ様を見送るスナイパーエルフの目が崇敬に満ちている。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 隊長もバッハみたいに横でクルクル巻かないと。 まぁ、アレはカツラらしいですけど。
[一言] J・ー・)←髪ふぁさぁさん ξ・‐・)←縦ロールさん w・‐・)←ショートさん _人人人人人_ > ・ω・ < 昔の巫女様  ̄Y^Y^Y^Y ̄ 脳内でこうなってます
[一言] このエルフの中にアフロなヤツを突っ込みたい。どんな反応するんだろ。
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