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480.対ムシャマッシュ

 さて、最後にお手紙配るのは茸達。


 お届け先はアタマガイイダケとなるので、お渡し。


 さて、自分の本題。


 「今回の闘技大会に出場したいんですけど、条件はありますか?一応各種族許可を貰えたら、出たいと思ってるんですけど」


 「目的が何かによると言わざるを得ないのは理解しているのだろう。我らが闘技大会に参加する理由は水源を守り変わらぬ日常を守る事にある。その邪魔さえしなければ、否は無い。しかし邪魔をしてでも押し通したい事があるなら強引に出場する他ないだろう。ムシャマッシュと戦うが良い」


 「あ~、別に水源に関する権利を奪う気は無いんです。例の祈りの祭壇。自分が勝てばその件を通そうかと思いまして」


 「祭壇か、種族間で話が割れている事に首を突っ込もうなどと、何の利益があるのだ?」


 「いや、実はエルフ側も表立って良しとは言えないですが、他種族たちの気持ちも分かるらしいので、叶えられる物なら叶えたいんですよ。それで自分が緩衝に入れればなと思った次第で、ムシャマッシュが強者なのは分かるんですが挑戦してみたいなと」


 「うむ、別に出場は止めぬが、どうやらムシャマッシュがお主に興味を持ったらしい」


 いつの間にか後ろに立っていたムシャマッシュが、


 「ニューター ツヨイカ?」

 

 「自分はまあ、ぼちぼちですよ」


 何処かに向かって歩いていくムシャマッシュについて行くと、そこだけ丸く草も生えぬ、土の地面だけのリング。


 まあ、やるんだろうなと思っているとリング端でこちらに振り返るムシャマッシュ。


 自分は反対端で剣を引き抜き、軽く伸びをして体勢を作る。


 ムシャマッシュが両足を大きく開き両拳を腰に付けつつ力むのと同時に、


 自分は<青蓮地獄>を発動。


 ムシャマッシュの頭から胞子が飛び出すタイミングに合わせて、


凍剣術 獄纏霧


 剣を突き上げ低温の霧を発生させる。


 ムシャマッシュの微妙に黄色く色付いた胞子を凍った結晶に代えつつ、


 同時に霧も薄れ、靄の向こうに見える直立のムシャマッシュが、


 トントンッと軽くその場でステップし、あっという間のステップイン。


 迎撃するように袈裟切りすれば、ギリギリで止まりスウェーでかわされる。


 強引に軌道を変え薙ぎ払えば、


 ステップで前後の足を変えつつミリ単位の距離で剣の切っ先を避け、逆にストレート気味の縦拳が襲いかかってきた。


 剣の重さを利用し体を前傾に傾け縦拳の下を潜ると、


 反対側からフック気味の掌底が耳を狙って飛んでくるのをあえて一歩踏み込み、打点をずらす。


 筒篭手の肩部を掌底が掠ったのを感じながら、


 代わりに左腕で抱え込むようにムシャマッシュの脚をロック。


 しかし、肩を押され回転するように強引に引き抜かれ、


 更に追おうとしたところを膝に押し込むような蹴りを貰い、一旦停止。


 ムシャマッシュの伸びた足を刈りに剣を振れば、すぐさま飛びのき間合いを取られたので、


 追い討ちに抜き打ちの散弾。


 ガードを固め受け切られてしまったが一呼吸入れ、銃を戻し再び左手を空け次の動作を待つ。


 しかし、軽くステップを踏みながらも攻撃を仕掛けてこないのは、今度はこっちから行かなきゃなんないのかね。


 そう言うことならと、まずは全力で突っ込む。


 自分のスピードに、若干ステップのタイミングがブレたと見えた瞬間、


武技 牽制

武技 霞二段


 体を小さくまとめて受けられたので大ダメージは与えられなかったが、やっとのクリーンヒット。


 しかし、お返しとばかりにローキック。


 前に【帝国】で先輩からしょっちゅう貰ってたものとは違い、脛辺りの骨でふくらはぎの筋肉を思い切りやられ、


 動きが一瞬止まる。


 やや低めの位置から、打ち出された拳をギリギリ剣で受けたが、ブロックには至らない。


 逆手の鉤突きでボディを抉られながらも、左手でムシャマッシュの首を掴み、


きみゃく・・・


 膝蹴りが股の急所に飛んできたので、膝でギリギリ受けた。


 掴んでいた腕を絡めとられ、極められそうになったので、力を抜き捻り込み逆に極め返すが、引き抜かれた。


 しかし、腕を引き抜き体勢が悪いところに剣で一突き。


 切っ先がほんの少し掠ったが、そのまま仰向けに倒れこんだムシャマッシュ。


 しかし、地面に背中が付いた途端、動きが変化。


 蟹バサミのように脚を狙われたので、逆手に持った剣で迎撃。


 剣を避けながら体を丸め込み、その勢いでボディに蹴りが入れられた。


 下半身だけの力で蹴ってるとは思えない威力。


 あれか、地面に体を預ける反発力で蹴ってるのか?そんなの可能なの?


 何だろう、地面に向かって攻撃する難しさ。


 いつもなら地面に縫い付ければ勝ちの筈なのに、足でうまく距離を取られガンガン下から攻撃を喰らう。


 手を替える必要があるな、とちょっと離れ、


凍剣術 獄霜界


 バク転し、立ち上がったムシャマッシュが地面に震脚を叩き込めば地面が割れ、中和されてしまった。


 その間に自分の腕を掴み、


気脈術 冷気


 耐性を上げて、次の手を考える。


 見たところ、ムシャマッシュが中和できた範囲は狭く。そこから出てくる様子は無い。もしかしたら地面に使用する術は自分の方が上手だったか?


 ここが攻め時かと剣を左手に持ち替え、右腕全体でガードしながら突っ込む。


 ガードの上から軽く一撃を貰うが、ガードと耐性でなんて事無い。


 左手の剣で思い切り突けば、迎撃で剣の腹を打つように強引に軌道を変えにかかるが、


 そこで剣を手放し、迎撃に来た拳の手首を取る。


 更に、右手でムシャマッシュの左手を絡め、両手で力比べ、


 幸いにも自分の方がやや上手のようで、徐々に握りつぶしていく。


 しかし、ムシャマッシュが肩の力を抜くようにすぼめると、自分の体が浮き上がる。


 このままじゃヤバイと両手を離したら速攻鳩尾に衝撃が走り、


 一瞬息が詰まる様に動きを止めてしまった所に、足刀蹴りで飛ばされた。 


 ゴロゴロと転がり、膝立ちになって状態を確認したが、感想はやられた~って感じ。


 ガッツリくらってしまった。


 しかも何故か体が重い・・・ああこれが部位のダメージ蓄積か?


 普段ガードの上から貰うばかりだから、打撃を腹に集められるとこうなるのか~ってな。


 まだ、デバフには至ってないようだけど、かなり違和感あるなこれ。


 しかし、ムシャマッシュは何を思ったか、立ち去ってしまった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 今までの敵で一番強いじゃないか?やはり黄金の右…
[一言] きのこ強い
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