477.エルフ寄る辺なし
まあね、蛇と言えば自分、自分と言えば蛇みたいな所あるからね。
左腕にも蛇の<粧印術>入ってるし、蛇との縁の深いことこの上なし、
何なら戦わずに契約したいって言われちゃうかもね~。
『いやだ』
「一応理由聞いてもいいですか?なんだかんだ蛇と縁がある自覚しかないので」
『どんな縁?蛇を助けたとか?』
「いや、あの~集団で討伐したり、単独で討伐したり、ペアで討伐したりですけど」
『完全に討伐対象だから無理』
よく考えたら、蛇とは戦ってばかりだ。精々黒い蛇が腕に巻きついてたくらいか。
「いや、もうどの陰にも断られてて蛇さんしか頼れる相手がいないんですよね~。何とかなりませんか?」
『う~ん、今そこにいるヒト達じゃ、ちょっとお断り、バイバイ』
「と言う事で全滅です!まあ、これに腐らずですね己を高めていく事が大事だと思います!鋭意努力しましょう!」
どんよりとした空気の中でがっくり肩を落とし、もう立ち上がる事すら出来ないエルフ達。
「ここ最近の努力は無駄だったのかな・・・」
「いや、そんな事ないよ多分」
「多分て、じゃあ何に使えばいいってんだよ」
「え・・・、ああ~じゃあ一緒に南の赤い川の主倒しに行く?」
「何だよそれ?」
「え?エルフは知らなかったんだ。南の赤い川にはさ、主が住んでて100人位いないと倒せそうにないんだよね」
「それで、外には出られるのか?」
「分からないけど、可能性はあるよね。南の果てに壁があるかどうか誰も知らないんでしょ?」
「知らないな。兎に角暑くて近づく事すらしないからな」
「じゃあ、行ってみる?赤鳥蜥蜴倒すだけで肉も手に入るし」
「あれか?よくお前が串焼きにしてるあの肉か?」
「そうそれ、それに辛い香辛料あるじゃん。あれも南で取れるから手に入ると助かるよね」
「・・・行くか!よし皆!陰は駄目だったが赤い川の主を倒しに行こう!」
「魔物だから戦うの拒否されないし、気合入れて行こうか」
そして、最後の希望を胸に皆で南に向かう。
周囲が明るくなってきてそろそろ溶岩も見えようかという頃。
「なぁ、流石に暑すぎないか?皆限界で、そろそろ動けなくなりそうなんだが?」
「え?じゃあ、少し休む?」
「そういう問題じゃないんだ。暑すぎるだろ。肌がヒリヒリしてそろそろ焼けそうなんだが?」
「いや、まだ溶岩も見えてないし、そこまでじゃないでしょ?溶岩の間の道を歩く時は流石に自分も暑いけど」
「じゃ、じゃあもう少し頑張るか。皆陰と戦えずに意気消沈してるし、もうひとふんばりだな!」
そうして、歩き始めるが程なく。
「あれ?皆どうしたの?」
「やっぱり駄目だ。暑すぎる。こんな環境でまともに動けるとは思えん。なんなら呼吸すら苦しいんだが、本当になんとも無いのか?」
「まあ、平気だけど?」
「グフッ・・・」
うん、エルフがここで全滅。
「ちょっと涼しい所に戻ろうか」
溶岩地帯から離れるほど元気を取り戻すエルフ達。
「なんか、もう駄目駄目だな・・・」
「そんな事言わずにさ、カキ氷でも食べる?」
「カキ氷!!!」
「プリンじゃないのに、凄い食いつきだな」
「それ、美味しい予感しかしない!」
「よく考えたら、氷削り器持ってないや。氷浮かせたお酒でもみんなで飲もう。氷結酒って言う冷える酒があるから」
「かきごおり!!!!!!」
「大きな声出しても道具持ってないんだから仕方ないじゃん」
「じゃあ、武器屋さんに作ってもらうから!街に戻ったらカキ氷の日ね!」
「いいけど、上にかけるシロップどうするかな~」
「どうせ、なんか考えがあるくせに~」
「まあ、蜂蜜かけるだけでも美味しいけどさ」
そして、氷結酒と氷を出して皆で体を冷やすと一息つけたらしい。
「どうしたもんかな。結局全部駄目だったな」
「まあ、暑さに関しては耐暑とか対策すればいけるんじゃないの?」
「アクセサリーとかか、同じような石ばかり選別すると思うとぞっとするな」
「いや・・・?白蜘蛛の糸とか耐暑とか耐熱無かった?」
「ああ・・・そうだったのか。ちょっと薄いんで、戦闘の時は着てなかったな。白蜘蛛の糸で戦闘服作ってもらうか」
「武器屋さん大忙しだな~」
「まあ、染や石を取り付けるのは武器屋だが、織るのは白蜘蛛の方がうまいからな。100人分作ってもらうとなると中々時間かかりそうだな」
「まあ、でも希望繋げたんだからいいじゃない。多分近いうちに手紙とか持って行くし、頼んでおくよ」
そうして、何の収穫も無いまま街に戻ったが、何とか次に希望をつなげたので、まあ良しとしよう。
アクセ屋の子と一緒に武器屋に行き、氷削り器を依頼に行く。
あーだこーだと説明している内にぴんと来たらしく、後はお任せだ。
カキ氷の日のシロップの事でも考えてログアウトしますかね。