470.まずは部隊戦
正直な所、自分のスタイルとは合わないが、形になってきた集団戦をそろそろ試したい。
しかし、そもそも集団戦を知らないエルフに小隊を率いる事も出来ないので、役割分担で行く。
その為には陰の使い方を知らなければならないのだが、大凡二つ。
・元の陰の形に戻して、使役して戦わせる。
・装備のように身につけて、戦闘補助に使う。
闘技場では使役した状態ばかり見かけたけど、治安維持のお姉さんのように装備して使う事も皆出来た。
例えば、狼と槍使いは体全体に狼を纏う事で、毛皮を着たようになり防御力が上がる。防具を装備するより軽く、移動力も上がり、高い追跡能力を得る。
ゴリラ使いはシンプルに腕力が高まり、普通のエルフじゃ振るえない重量武器を扱える。ちなみにこのエルフはでっかい両手槌を振り回す。
鎖分銅使いは武器に蛇が取り付き、自在に動く様になる。どう考えても不自然な動きも自由自在。
独特なのは、アクセ屋の女の子。武器になるというか・・・メガホンになる。声でっかくするわけだ。因みに近距離で使用すると気絶する。声がでかすぎて喰らった相手は気絶する。
他にも諸々使い手はいるが、武器は基本皆軽量武器。
槍とか両手槌は本当に特殊。どうやら治安維持に属してるらしい。お姉さんの同じ職場の人、結束派に属してるよ?
大抵はナイフか直剣か警棒みたいな硬鞭、紐付きの錘。ダメージを与えるにはかなり近づかなくちゃならない。
しかし、陰を防具のように纏えないエルフは基本的に防御力が低い。
今更気が付いたが、皆服装備なんだよね。
多分、根本的に重い装備苦手なんじゃなかろうか?術士系って事だよね。なのに大昔に引き篭もったから、賢者の石が無い。
もし、西側に出たらあっという間に【砂国】の術をマスターしちゃいそう。
どうにか、遠距離攻撃使わせないとな~。どうすっか。
後ろから使役させて、陰だけ突っ込ませるのもありっちゃ、ありだけど。絶対火力が足りないよな。
やっぱり銃使いだったのかな?精神力消費して術並みの攻撃連発できる上、当てるのは得意なんだから、銃使わせたいな~。
まあ、禁忌って事だし、ない物ねだりしてもしょうがない。
金属は無いことも無いし、テーザー銃でも作るか?銃範疇だから駄目か。
そんな風に悩んで武器屋のおじさんに相談したら、あっさり解決した。
一つは防御力、これは石精だと物理防御が上がるが重量も重くなってエルフ向きじゃない。
しかし、氷精なら術、物理、その他状態異常に耐性が少しづつ付くので、服に氷精付与するだけで多少マシになっちゃうし、戦闘服はそうやって作ってるんだってさ。勿論使用するには精神力を流しこまなくちゃならないけど、エルフなら余裕って事。
陽精なら生命力自動回復、陰精なら気配及び視認阻害、木精なら精神力自動回復、水精なら生命力精神力状態異常回復を少しづつ、雷精なら反射神経及び瞬間的な行動スピードとかそんな感じ。
自分の防具にも氷精付与してもらおうと思ったけど、流石に後付じゃ無理らしいので、自分の【帝国】制服を貸して、その形で一着氷精制服作ってもらう事にした。使うかどうかは分からないけど。素材は手持ちの石と白蜘蛛の糸。
もう一つ、遠距離攻撃は投擲武器を石や氷で作り出す方法が有ったって言うね!
じゃあ、弓矢で矢を打ち出せばいいじゃない!って思ったけど、そんな正確な真っ直ぐ綺麗な矢を作り出せないとな。
なので、簡単に言うとスリングとかそういうの。
投石で戦うのか~達人なら弓並に強いとは聞くけどな~。どうなの?
試しに結束派の中で誰か使えないか聞いたら大抵は嗜んでたので、ちょっと受けさせてもらうと、
かなり重い。ドスッと来る。剣で受けたけど、剣が可哀想になる重さだ。
と、言うわけで、治安維持のヒトを始めとする槍、鎖分銅、両手槌持ちは前衛。
後は、後ろから投石!
自分は前衛に入るしかない。陣形組んだりするわけじゃ無いし、ガンガン攻撃して行こうじゃないか。
準備も出来たし、後は何と戦うか!
目標はレギオン級の陰らしいので、まずはユニオン級のボスでお試し、したい!
一番近くに居るユニオン級の陰はどう見てもサイ。サイは強すぎるんじゃないか?
と思ったけど、テンション上がった結束派が早速攻撃しかけ始めやがった。
「ああ、くそ!ちょっと様子見のつもりだったのに『いくぞ!』」
戦陣術 激励
戦陣術 戦線維持
取り合えず、これで始める。定石通り。
サイと言えば突進と考えれば・・・。
「皆散開!距離とって囲んで、投石!突進が来そうになったら、さっさと逃げて!」
サイがあのドスッと来る投石を何事も無いように受けながら角に何か力を溜めている。
陰なので、黒一色で何が何だか分からない、しかしやばそうな気配を感じ、
「皆何来るか分からないから、とにかく警戒!」
気脈術 冷気
自分は耐性高めていく。
そして、角に溜めた力を一気に解放。黒い稲妻が周囲に走り、エルフ達を吹き飛ばす。
氷精で耐性を上げてたおかげか、力尽きたものはいないが、いきなりピンチ。
初手全体攻撃タイプだったか~。失敗した。
「はい!皆立て直して!陽精関連装備してるヒトはどんどん回復!」
サイは足元を掻き始める。次が突進か。自分が耐えるしか無いか。<青蓮地獄>を発動。剣の浮き彫りに指を当て氷精を発動。
サイの突進に合わせて、
凍剣術 獄霜界
この前一回使ってて良かった。相手のスピードの緩み具合に慣れて、余裕をもってかわせる。
かわしざま、銃を二連射、からすぐに持ち替えて、装填。
装填が銃の上部なのは変わらない。面倒臭い。
サイが止まり振り返るタイミングで装填完了、そのまま突っ込む。
武技 追突剣
武技 飛翔剣
武技 反動滞空
武技 反動滞空
きっちり、発動した霜界の真ん中に降り立つ。
次の突進に備えているとまた角に力を溜め、さっきより早いタイミングで、放つ。
角から地を這うように黒い雷電が直線に走ってくるのを転がって回避。
最初のダメージから復帰した槍使い、鎖分銅使いが、サイの両側から攻撃開始。