468.集団戦基本から
プリンの日は本当にプリン作る以外できなかったので、気を取り直して再ログイン日。
一応<軍略士>はセットしてきてる。
平原に出るとアクセ屋の子が付いて来るけど、本日はプリンの日じゃありません。
さて、どの辺りかなとうろうろしていると、大人数がざわついてる声が聞こえてきたので向かう。
「だーかーらー力を合わせるんだから、一斉に力むんだって!」
「力んでどうするんだよ!手をつないで心を一つにするんだって!」
「はぁ?手をつないでどうやって戦うんだよ!全員で囲んで一斉に押し潰すに決まってるだろ!」
何やってんの?力を合わせるってどう考えても集団戦だよね?もうそういう概念そのものが無いって事?
困惑して、ちょっと眺めてると、
「いつも大体こんな感じだよ。結束派って結局集まって喧嘩してるだけ」
アクセ屋の子に言われちゃってる。確かに天界派は武器屋のおじさんが銃を作ったり、具体的に力を求めてた気がするけど、このヒト達は集まってストレス解消してるようにしか思えない。
そう、ビールを美味しく飲む前の草野球のような。もうこの後飲みに行く方がメインみたいな。
よし、他の方法探すか。きびすを返そうとしたタイミングで見つかってしまう。
「あっ丸耳!この前プリン美味しかったぞ!」
「そうじゃない!確か何千人も率いたんだよな?一斉に戦う方法教えてくれ!」
「そうだな!闘技場でも強かったし、きっと戦い方知ってるんじゃ無いか?」
「まあ、知ってるけど、一応戦闘員だから本気な感じになるよ?」
「俺達も本気さ!代々本気だが力を合わせるってのが分からないんだよ!」
「何で分からないんだろう??士気は分かる?」
「分からん!」
そんな自信満々に言われても。
「じゃあ、今から自分の隊に入れるから皆了承してね」
その場にいたヒト達を隊に入れるとアクセ屋の子も入りたそうだったので、一緒に入れた。
なんか【訓練】用と見られる案山子があったので、敵とみなして、
「じゃあ『いくぞ!』」
戦陣術 激励
意外な事に暴走しない。一斉に暴走して大変な事になるかと思ったんだが。
「ああ、この気持ちが昂ぶるやつか。これは強い敵と戦う時でも気持ちを強く持てって言われて鍛えてるな」
「そうそう、いざと言う時逃げる事すら出来なくなるからって言われてな」
「私は薬持ってる~」
「ああ、スキルで補えない奴は薬で慣れておくよな」
「え?薬って?」
差し出された薬は〔興奮剤〕となってる。危ないやつじゃないよね?
ああ、でもアレか士気が浸透したとは言え、あえて士気用スキルを採るのがしんどい人もいるから、そういう人用にアイテムで補完できるようにって言う、運営の心遣いってことか?
「それで、どうなるんだ?気持ちが昂ぶって強い敵と戦えるのは分かるが、それだけじゃないんだろ?」
「自分が知ってるのは、隊列を組んで役割分担して戦う事と、士気を媒介に術を使って全員の能力を高めたりするんだけど」
「隊列?」
「まあ、基本は横隊って言って横に並ぶのと縦隊って言って縦に並ぶやつなんだけど。最前に防御力高いヒトを配置して、後列から攻撃力が高い人とか、攻撃距離の長い人が攻撃したりするんだけど」
「え?・・・ええ・・・最前列が可哀想じゃないか?」
「まあ、みんなの代わりに攻撃を受ける気概がある人じゃなきゃ務まらないよね」
「攻撃範囲が短くて防御力がそこまで高くない奴はどうするんだ?」
「状況によるけど、待機して力を溜めておいて、ここぞという時に乱戦とかかな。きっちり隊列を崩さないなんて状況は中々難しいから。後は敵の横にまわり込んで側面から攻撃したりとか」
「ふーん、聞いてみると普通に出来そうだな」
「そうね。だから何であんな喧嘩してたのか分からないんだけど」
「それで?術ってのはどんなのがあるんだ?」
「さっきの 激励 は媒介になる士気を高めて、後は隊列関係なく使える 戦線維持 は全員の防御力を多少高めてくれる使い易い術だし、攻撃も移動も出来なくなるけど 岩陣 って言うのは密集隊形で高い防御力を発揮するよね。あとは・・・円陣、方陣、鶴翼陣、雁行・・・。陣形関係ないやつは~挟撃、後詰、同士討・・・」
「なんか色々あるのか。それらを大人数で使いこなして強大な敵と戦えるわけだな。出来れば俺達を率いて、それ使ってくれないか?」
「いや、寧ろこれを使える様になりたいんじゃないの?」
「ああ、でもそのスキルを俺達はもってないからな。大人数で戦う事に慣れればきっと俺達に合った方法が見つかる筈さ!」
「まあ、そう言うことなら構わないけど、まずは隊列組む地味な練習からになるけど?」
「ああ、練習ってのはいつも地味なもんだろ?時間がある時に教えてくれよ!」
「分かった!じゃあ、早速隊列の練習からしていきますか!基本は自分のスキルに引っ張られて、どこに立つのが最適なのかは分かる筈だから、いっぱい練習したら皆で飯食って寝よう!」