表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
467/613

467.プリンの日

 武器屋のおじさんの事は伏せつつ、報告を済ませた。


 要は一言で言って、問題なし。そして自分は結束派の活動に参加する事を伝えた。


 平原に出ようとしたところで、アクセ屋の子に捕まる。


 「え?何?」


 「プリン」


 「ああ、その内ね。じゃあ自分は結束派の集まりに参加してくるから」


 「プリン・・・プリン!プリン!!プリン!!!プリンの日って言った!」


 すっげーうるさい、これが声を大きくする陰の力だというのか、まじで耐えられない。


 「分かった、今日はプリンの日にしよう」


 酒場にほぼほぼ引き摺って連れて行かれ投げ込まれた。扱いが雑!


 まあ、手間と時間はかかるけど、材料は牛乳、卵、砂糖こんな所。


 すっごいわくわく見られ、さらには徐々にヒトが増えていくが、こちらはマイペースに作る。


 冷蔵庫が無いからなー・・・、よく考えたらお酒に入れるようにでっかい氷を山ほど鞄に入れてたわ。


 氷で冷やせば何とかなるだろう!


 と、感覚で作った甘さ控えめプリンを出来た分だけ並べる。最初はアクセ屋の子から。


 「こっこれがプリン!」


 何故か緊張の面持ちで、スプーンを持った手が止まってる。ちなみにぷっちんするやつは作れないので、普通に耐熱皿っぽいやつにそのまま作って出してる。


 やっとスプーンで一匙すくって、口に運ぶアクセ屋の子。ギャラリーも雰囲気に飲まれるように黙って見守ってる。


 「あっまーーーーーーー!!!」


 相変わらず声がでかい!甘さ控えめで作ってるっての何ならブランデーと一緒に食べても悪くは無い。


 自分は甘い物とお酒を一緒に行ける派だ。


 「おっおい!何か上のやつがこぼれてるぞ?」


 ああ・・・カラメルがこぼれたのか、普通に食えば・・・・・・?ピンっときた。


 「ええ!どうしよう!どうしよう!」

 「いいから落ち着いて、食べな」


 なんだろう、プリンからこぼれるカラメルで、何かが分かりそうだ。なんだろう・・・。あっ!


 「ちょっと待て・・・あれ?これ行けるのか?いくらなんでも荒唐無稽だろ?でもいけない理由が無い?うんいける・・・」


 「え?どっちどっち?待つの?いけるの?」

 「いいから、さっさと食わないと上のやつが全部流れちまうぞ」

 「そうだね、次行くよ」


 まてまて・・・まず落ち着こう。落ち着く為にプリンを作ろう。


 まずお湯を沸かす。フライパンでカラメルソースを作る為に砂糖を溶かして軽く焦がす。


 そう、自分が来たのはそもそも大霊峰頂上の滝の裏、そう空の海から流れ込む滝!飲めばすっきり回復するあの池?湖?を抜けてきたわけだ。


 カラメルソースが溶けたらお湯を少し加えて、さらさらにしていく。


 「ああ、いい匂いだな~、俺の分はいつ出来るんだろう」

 「何言ってるんだい、次はアタシだよ」

 「別に順番割り込もう何て言ってないだろ」


 滝の裏からは数十歩って所だ。山をくり貫くとなれば大工事だが、山頂部分の10数メートルを掘るくらいなんてこと無いだろう。


 卵をボールで泡だたないように混ぜ、そこに少しづつ砂糖と牛乳を加えていく。


 実際に三羽烏が土遁の術で穴を掘ってるんだから、何がしかスキルがあれば土を掘る事は可能な筈だ。


 笊で濾しながら、容器に流し込んで行き、何も入ってないフライパンに並べる。


 滝の流れる池から水を引けば、自分が滑って来たあの壁を伝って、水が西部地域に流れ込む筈だ。問題は壁を伝って放射状に流れてしまうと、全体的に湿って、場合によっては西部全体が湿地になってしまう事か?


 フライパンに水を敷き、加熱していく。大事なのは容器に水滴が落ちないように出来れば布で蓋をすることか。


 そう、南は暑いので水は蒸発する筈だ。つまり、南に向かって水路をひけば、自然と蒸発して天井の海に戻って行くって寸法だ。これで水が滞留して澱む心配も無い。


 プリンが固まってきたら、カラメルソースをかけて氷の上に並べて冷やすだけだ。


 そう、北側も心配しなくていい勝手に凍るわけだからそこで水はせき止められる。もし西が湿地になって住みづらくなったら北を居住区にしてもらうのもいい。幸い雷精羊のおかげで暖かい服はあって、暖を取る石炭もいっぱい産出する地だ。


 西は農業地域として開発すれば、北は魔物すら出ないちょっと明るい地だし、寒い中生活する術さえ身に付ければそんなに暮らしづらい事も無い筈?


 いやいや、こんな大事業素人考えで勝手に進めちゃまずい。専門家の意見を聞きつつ慎重に取り組まなくては。


 今の段階で発表すれば、この地のヒト達をぬか喜びさせかねないし、一旦自分の胸にしまっておこう。


 「あっ次出来たよ。食いねぇ!」


 「やったーアタシの分だ!」


 いつの間にかぎゅうぎゅうに酒場に集まったエルフ達にプリンをせっせと作って行く。


 その間、自分は脳をフル回転し、この地に水を引く方法と誰に相談するか考えるのだった。


 そもそも大霊峰の頂上で穴掘ってくれる人っているのだろうか?


 <登攀>を鍛えて、水路を引いてくれるヒトを探すのは中々骨が折れそうだ。


 後あのめんどくさい、扉?壁?も破壊する方法考えなきゃな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] プリン子すげえw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ