465.賞品つき闘技
さて、お酒とご飯以外でも情報を集める方法が見つかった訳だ。
再ログインして、早速金網闘技場に向かう。
結束派、天界派どちらも力を付けようって話なんだから、戦って情報を得るのが一番手っ取り早いんじゃないか?と。
特に用も無くたむろしているヒト達を軽く見やりながら、金網の中に一人立つ。
「誰か!自分と勝負しよう!賭けるのは数量限定自分で飲むように持ち込んだ古酒!自分が負けたらこれを出す。逆に勝ったら情報が欲しい。やる人いる?」
ちょっとざわめき、一人の男が走り去り、もう一人の男が金網に入ってきた。
「情報ってのは何が聞きたいんだ?」
「結束派か天界派が何かやらかしそうだって聞いてるんだけど、何か知らない?」
「いいぜ、やろう」
そして、金網の両端に立ち向かい合う。
相手は蜘蛛型の陰を出してきた。確かお尻から網発射するやつだったかな?
金網の外のゴングと同時に<疾走>で間合いを詰める。
蜘蛛がこちらにお尻を向ける間もなく、剣を背中から抜き、そのまま袈裟切り。
一瞬動きの止まった蜘蛛を腕から伸ばした陰で拘束、そのまま使役者本体に斬りかかると、
「参った」
使役型らしく、使役していた蜘蛛が拘束されたと見るや降参してきた。
「じゃあ、情報を貰える?」
「ああ、結束派は街から出てすぐの平原でよく集まってる。大昔陽精の【巫士】の言った力を合わせて戦うって言うのを相談してる」
「やっぱり集団戦研究家なのか」
「集団戦って言うのは分からないが、大体いつも話し合いをしてそのまま喧嘩してるらしい」
そういうと蜘蛛陰使いはリングから降りてしまった。っていうか何で喧嘩するのさ。
あっという間の一戦で体も温まらないが、いつの間にかちらほらヒトが集まり始めた。
次はゴリラの陰使い、展開的には蜘蛛使いと同じ、自分が間合いを詰めるのに完全に追いついてない。
結束派は集団戦をやろうとしてるだけあって、かなり人数が多いらしい。後、いつか平原の大型の陰を倒そうと画策してるらしい。
何かね、結束派の情報ばかり出てるし、そろそろ天界派の情報が欲しいなと思いつつも次が上がってこない。お酒だけじゃ物足りなかったかな?
「なんか、お酒だけじゃノレ無いみたいだし、プリンもつけよう」
「プリンってなんだい?」
「まあ、甘いお菓子みたいな?」
「じゃあ、アタシの番だね!」
「アタシの番は無いよね。何で自分に情報集めて来いって依頼したのさ」
自分に依頼をした治安維持のお姉さんがリングに上がってきたが、さっさと帰らせる。
「ねぇ、お祖母ちゃんプリンだってさ」
「だからなんだい、見たことも無い食べ物に引っかかるんじゃないよ」
そんな声もどこからともなく聞こえるが、次の挑戦者が現れた。
槍を持つ男が、
「次は俺だ!」
「だから、俺じゃないってのこの前負けたばかりじゃん」
「この前はプリンじゃなかったから・・・」
「その代わり自分に何か手伝わせようとしてたでしょ。はい!降りた降りた」
そして次の挑戦者も使役型、確かイルカみたいなのが奇襲してくる筈だ。
ゴングと同時に足元から感じる殺気を転がって避ける。
一発目の奇襲を避け、二発目は地面から飛び出して上から覆いかぶさるような攻撃をブロック。
氷剣術 氷点
凍ってイルカの様な陰転がった所で、本体の首に剣を突きつけたところで、
「参った。これまで出てた三人は皆結束派だ。力を合わせて強大な敵を倒せるようになる事で、外に出られると信じている。具体的には誰も倒した事が無いとされる4体の巨大な陰をすべて倒し使役できるようになれば、外に出る方法が存在するんじゃ無いか?って言うのが最近の主流の考えとなっている」
うん、また結束派なんよ。そして使役型は現状自分の敵じゃない。どうすっかな~。
「ねぇ、お祖母ちゃん!行こうよ!勝てば問題ないよ!」
「何言ってんだい!大会の代表になろうってのが軒並み負けてるのに、あたしらに何が出来るってんだい!」
「でも!プリンだよ?プリン!」
「だからプリンなんて見たこともない物に踊らされるんじゃないよ!そもそもアンタの陰は声を大きくするだけだろ!」
へ~声を大きくする陰なんているのか。どこからとも無く聞こえてくる声の方がよっぽど為になるな。
もう、結束派は直接見に行けばいいか。天界派の情報に絞ろう。
「じゃあ、次は俺が・・・」
「天界派の情報ある?結束派の情報は集まったしもういいんだけど」
「え・・・」
鎖分銅使いの男が、硬直してしまった。ちょっと可哀想なので、この男で締め切るとしよう。
柔らかい武器と、腕から伸びる蛇の様な陰の使い手だったか。
振りまわすにせよ投げつけるにせよ、二発目までのタイムラグで迂闊に間合いを詰めれば、蛇が絡み付いてくると、そういう寸法って訳だ。
ちょっとやり辛そうだなと、逆に気持ちが昂ぶってくる。
ゴングと同時にこちらから間合いを詰めると案の定、分銅が飛んでくるので、回避。
そのまま走りこめば左手をこちらに向けて来た所を
武技 牽制
タイミング完璧で、蛇陰の動きが止まった所に、
武技 霞二段
蛇に一撃当ててる間に引き戻した鎖で追撃が飛んできたので、突っ込む様に真っ直ぐ転がりながら、相手の足元に入る。
立ち上がると見せかけて、足を掴む。
バックステップしようとした所で足を掴まれ、後ろ向きに倒れこんだ相手に、
気脈術 冷気
本体を凍らせる。
指示する本体が動けないと蛇も動かないのか、何も起きない。
銃を抜き<犠牲>で生命力を捧げ、更に銃を密着させ 接射 状態に、
武技 縮砲
相手の頭を撃ち抜く。
動き出した所で頭を剣で殴り、頭がくらついて動かなくなったので、喉を一突き。
急所硬直が発生したので、更に心臓を串刺し。地面に縫い付ける。
硬直が解けたところで、蛇を出し足に絡み付いてきたが、
左手の陰の先端を地面にくっつけ姿勢を保ち、もう一撃首に斬りつけ硬直させた。
この体勢になれば自分の勝ち、何もやらせずに倒しきった。
まあ、情報は後で貰うとして、
「誰か天界派の情報ある?」
シーーーーン。
誰もリングに上がってこなくなってしまった。
「じゃあ、天界派の情報にプリン出すわ。勝たなくても」
「お祖母ちゃん!プリン!」
「仲間は売れないよ!」
「おばーーーちゃーーーーん!!!」
何か血涙でも流しそうなテンションのヒトがいるが、絶対何か知ってるんだよな。
しかし、ご飯とお酒の話にあのヒトが食いついてこないのはあからさまに、おかしいよね。
力を得ようとしてるんだから、戦闘能力かと思ったけど、あのヒト達の共通点ってそう言うことだよな~。
「分かった。お酒は数量限定だから駄目だけど、今度時間作ってプリンの日にするよ」
「い゛や゛っっっった゛ぁぁぁぁぁ!!!」
とりあえず本日はログアウト。連戦したし、次のログインで、ちょっと話聞いてみましょうか。