464.金網闘技場
エルフに連れられて、闘技場に到着。
まあ、どう考えても戦うしか無い訳だが、どうすっかな~。エルフってウエハースじゃん。大丈夫なのか?
でもまあ、戦うしかないんだから、それは置いておくにしても、どう戦うかね。
多分槍は雷精がバチバチしてるんだから、全部避けるか、もしくは氷精の耐性を試してみるかかな。
雷精と相性が悪いくらいなんだから、結構いい感じじゃない?
後は狼か。二方面攻撃にどう対応するか、そこがポイントかな。
「それで?ルールは?」
「おっ!やる気だな!なんでもありと言いたいところだが、武器と陰精はあり。道具は禁止だ」
ふむ、ギミック系の防具は今使ってないから確認の必要は無いか。剣だけはギミックあるか。でも武器はありなんだもんな。
「武技とか陰精以外の術はありなの?」
「勿論だな。俺は槍を通して雷精を使うが、怨むなよ」
「分かった。それで自分は情報が欲しい。そっちは?」
「調べるなと言いたいところだがな。お前にはうまい飯食わせてもらってるし、痛い目にあってもらいたくない」
「まあ、こそこそ調べまわってたら心証悪いか。とは言え、ここの結果だけでそれ言われるのも困るかな」
「じゃあ、寧ろ俺達に協力しろ。そうすれば何してるか分かるだろう。その上こちらに邪魔になるわけじゃないんだから、誰もお前を痛めつけようとしたりはしないだろう」
「情報を他所に漏らすのは?」
「それについては出来れば止めて貰いたい所だが、俺達が何をしようとしてるか見てから決めるのも良いだろう。もしくはもらすタイミングをうまく調整するかな」
「なるほど、うまくやれって事ね。いいよ乗った。ルールが分からずにやらかした場合はやり直しね」
「そうしようか。慣れてない奴を引っ張り込んだんだそれ位は、な」
二人で、金網の中に入る。
若干高い位置に設置された金網のリングからは周囲がよく見えない。
四方から紫がかった灯りで照らし出されるリング、妙に照度が高い感じがする。
金網の両側に別れ、向かい合う。
向こうは早速狼の陰を出し、一斉にかかってくる様子だ。
「ねぇ、自分自身にかける術はスタートしてから?」
「そうだな。陰精を出しておくまでに留めてくれ」
なるほどね。でも自分の陰はいつでも腕から伸ばせるから、関係無いか。
金網の外で、ゴングが鳴る音が聞こえると同時に狼が向かってくる。
銃を抜き撃ち、伸ばした左腕を右手で掴み、
気脈術 冷気
狼は一瞬怯んだが、すぐに再び走りこんできた所を右腕でガード。
右腕を噛み付かれたので、すぐに銃をしまい。強引に右脚からダガーを左手で引き抜き、狼の首に突き刺す。
そのまま、狼を地面に叩きつけ、腕を引き抜く。
ダガーをしまい剣を背中から抜き、逆手に持った剣で狼を串刺し、
槍を持ったエルフが、槍で突いてきた所をかわす。
槍を引いた所に合わせて、剣を抜きつつ間合いを詰めると、後ろから狼の陰に足を噛み付かれ、間合いを詰めきれない。
再び槍を突いてきた所で、左手で槍を掴めば雷精が穂先でバチバチいっているが、穂先さえ避ければなんて事ない。
そのまま槍を強引に引けば、体勢を崩してつんのめり、自分の剣の間合いに入ったところを断頭。
「がはっ!」
っと、息を吐きそのまま転がり間合いを取られるので、一旦放っておき、
再び狼の陰を突き刺し、足から離す。しかし、果敢にも飛びかかって来た所をブロック。
氷剣術 氷点
狼の陰が凍りつき、これで槍使いと一対一。
槍を両手で構え突いてきた所を剣で撥ね上げ、間合いを詰めると、
槍の石突をこちらに向けてくるのと殺気を同時に感じ、剣を殺気のラインに差し込みつつ、
氷剣術 凍牙
剣に氷精を纏い、槍の石突から飛んできた雷球を受け止める。
派手に雷光が爆ぜるのに合わせて大振りに槍を振ってくるが、お見通し。
槍を再び掴む、そして今度は自分の陰を槍に這わせ、そのまま槍使いを拘束。
喉を剣でざっくり切り裂く。デバフエフェクトが複数出るが、ここまで来たら後は止めのみ。
そのまま強引に地面に引きずり倒し、滅多刺しにして、倒しきった。
やっぱり、相手を凍結出来ると複数相手でも楽になるな~。
ただ、最初の銃は失敗だったか、なんで威嚇射撃使わなかったんだろ。
その辺りの武技をもうちょっとうまく使えば、もっと一方的な展開だったのに、使い慣れが必要だ。
金網から出ると、今まで戦っていたエルフが待ってた。
「思った以上だったわ。かなり余裕もって試された感じだし、何回やっても無理だろう。俺達はそれなりの人数で集まって活動してるから、いつでも見に来ればいい」
そう言って、立ち去ってしまった。
要は大人数で集まってるからすぐに分かるって事か。
その上で見に来いって事は別に後ろ暗い事無いぞと、もしかしたら誰もが知ってる活動だぞと。
ハズレじゃん!ちょっと自分の腕を試したかっただけじゃん。
まあ、取り合えず酒場で飯作ってから、寝るか。
陰精の【巫士】さんが食べに来るだろうしな~。