459.水源地帯調査
溶岩地帯を抜けるのはちょっと難しそうなので、せめて食糧事情改善したろうと、水源地帯の調査に来た。
「ミミ マルイ!」
「こんにちは!ちょっとこの辺りの調査してもいいですかね」
「???」
ムシャマッシュには何の事か良く分からないようだが、まあ無茶したり、怒らせるような事さえしなければ大丈夫だろう。
いきなり土足で水源に入ったら流石に怒られるかな。
ほとりに座り込み腕をつっこむと深さは肩ぐらいまで、奥の方がどこまで深さがあるか分からないが、広い範囲に浅く水が張っていると考えて良さそうだ。
問題はたまにしか雨が降らないのに、水源の水源は何なのかって事、
つまり更に地下から湧いてくるのか、上から伸びてくる根っこから供給されてるのか。
それによってどれくらいの供給量があるのか。
仮にガンガン使っても、水源の水は減らないのか、それとも使用できる上限があるのか。
前に黒蜘蛛と白蜘蛛の話で、昔水使いすぎたとか言ってたから、無限では無いんだろうな。
でもこれだけの水量があれば色々出来そうだけどね~。
ちと、アタマガイイダケに話を聞いてみますか。
デカイ動かないキノコは相変わらずの場所で、何もしていない。
「ちょっと話を聞きたいんですが、いいですかね?」
「構わないの。わしはただここで佇むだけ、好きに尋ねるがよい。無理なら応えぬのみ」
ふむ、タイミングが悪けりゃ応えないから、好きに聞いていいよって事か。
要件から入って良ければ、話も早くて済むし助かるな。
正直な所「今いいですか?」とか聞くの苦手なんだよね~。
忙しそうならそもそも話掛けないし、それでも伝えなきゃいけないことなら、簡潔に説明するからさ。
ただ、アタマガイイダケは本当に動かないので、忙しいかどうか本気で分かんないんだよね。
「水源地の水なんですけど、どれ位使っても大丈夫なものかと思って」
「わざわざ聞くという事は生活に使う分以上に必要と言う事であろう。内容による」
「そりゃ、そうですよね。皆が食べられる農産物を作りたくて、相談なんですよ」
「ふむ、食べられる植物を育てると言う事か、昔それを試みて大量に水を使った挙句、この地に住む物が尽く渇きを我慢する事になった話は聞いたのかの?」
「ちょっとだけ、聞きました。自分は当然一気に無理に使おうって話じゃないですよ。そもそもここの土で何が育つか分からないし、水が少なくても育ちそうなものを何種類か試してみたいって話です」
「ふーむ・・・、その昔は大量に水を撒けば沢山草が生えるだろうからと、大量に散布する道具を作った者がいて大変な事になったのだが・・・」
何か黒蜘蛛族長が生まれる前の話って聞いた気がするけど、このアタマガイイダケはどれ位生きてるんだ?
「ちなみにその結果草自体は生えたんですか?」
「うむ、生えた。しかし、草が生えたかどうか聞くという事は、生えぬ可能性をそもそも考えてた事になるな。何か思い当たることでもあるのか?」
「いや、水に塩分が含まれてたりすると作物が育たなかったりもするので、でもちゃんと育つなら、そういう事は考えなくてもいいのか」
「どうやら、その農産物と言うものに詳しいようだが、育てた経験があるのかの?」
「いや、全く無いんですよ。だからそれを出来るヒトを連れてくるにも、水の量や何が育つのか確認して置きたいなと」
「なるほど、しかし、外からこの地に来るものは非常に少ない。連れて来れるものなのか?」
「まあ、あては無いですね。出来ないことも無さそうだけど、西の壁の上まで、そもそも登れるヒトがいるか、それが問題です」
「では、急ぐものでも無いという事か、なるべく無理はして貰いたくないものだが、アルキノコが水を撒いて回れる範囲なら好きにしたら良い。それ以上ならまた相談しに来たらよい」
「そうですね、自分もまだ考えながらなので、無理はしないようにします。お邪魔しました」
ふむ、やっぱり誰かと話しながら、考えた方がイメージが具体的になるな。
自分がそもそも農業できなかったとか、ついつい忘れがちになるし、
他人を連れて来ようにも、ここに来るには険しい地を抜けなくちゃならなかった。
分かってるけど、何とかしようと思うとぽろぽろ抜け落ちちゃうもんだ。
やっぱり自分は大量に運ぶのが仕事だな。鞄に詰め込めるだけ詰め込んで、険しい地を抜ける事こそ自分が求められてる事だった。
まずは、戻る方法考えるか?
ん~まだ、戻りたくないな~。まあアタマガイイダケじゃないけど、急ぐものでも無いし、ちょっとづつ食べられるもの探してみましょうか。
溶岩地帯で見つけた〔火辛子〕も試したいしな。
肉食べるのに辛い香辛料とか使えそうじゃない?なんなら香辛料持ち帰っても、向こうなら売れるかな?
体が温まるなら、耐寒食材になるかもしれないし、それなら命の水飲まなくても体温められるじゃん!