456.やっぱり農業かここは?
結局の所、北は何にも無い!な~んにも無い!
つまり、今後外との交流が出来た後に拡張性があるフィールドと自分は読んだ。
どういう方向性なのかは分かりかねるけど、ヒトが増える為に色んなクエストがあるんだろう。
その第一歩が自分て訳だ。つまり飯を食わせろと言う事じゃないだろうか?
もっと、大量にパンパンに食料持ち込めばよかったな~3トンじゃ、足らないよな。
とは言え、やる事も無いのでまた中央に戻る。
その途中建物を見つけたので、近づいて行くと、石造りの簡素な建物だ。
勿論簡素って事は普通の石だ。宝石とかではない。怖くて確認出来ないが、多分大丈夫。
そして、見慣れた姿が建物から出てくるのを見かけたので、話かける。
「こんな所でどうしたの?」
「ふぁ!!!なんなのよ!ビックリするじゃん!」
「いや、この建物何なのかなってさ?」
「え?氷室!食料庫だよ!」
「ああ、つまみ食い?飢饉なんだから良くないよ?そういうの」
「違うよ!今日のみんなのご飯引っ張り出してたの!あんたが一杯食料持って来たから、今のところ大丈夫だよ」
「そうなの?じゃあ食糧問題も解決か~」
「え?なんか食べるもの増やす方法知ってるの?」
「いや、知らないけど何で?」
「やっぱり族長として皆にお腹一杯食べさせたいし、もっと同族を増やしたいじゃん!何でもいいから考えてよ」
「考えてよってな~。やっぱり羊とそこらに生えてくる草に頼ってるのが良くないんじゃない?水が無いのは分かるけど、もう少し農作物育てないときつくない?」
「農作物って何よ?」
「いや、だから植物を計画的に育てるみたいな?」
「みたいな?」
「例えば、芋も掘ったら出てくるじゃなくて、ちゃんと畑作って量産するとかさ」
「へ~そんな風にしてあんたは大人数に食べさせてたのね」
「いや自分は農家じゃないから、普通に仕事して買い上げた食料で食べさせて、それを国に経費として請求してただけだけど?」
「意味分かんない」
「そうか~」
うん、閉鎖環境にいるヒト達には話が通じないか~、困った。
「とにかく仲間にちゃんとご飯食べさせられるって大事じゃない?」
「それは大事だよ。自分は常にそれ最優先で考えてたくらいだし!強敵は逃げても仕方ないけど、空腹はご飯食べる以外解決策は無いからね」
「だよね!だよね!私も何とかしたいんだよ!水が無いと育たないのは分かるけど、せめて水が少なくても育つ食べ物が有れば!」
「寒冷かつ乾燥地だと小麦とかを想像しやすいけどね」
「コムギ?」
「パンとかパスタとかの材料だけど、そう言えば白蜘蛛の居住地では作った事無かったか?」
「知らないよ!ちょっとそれ知りたい!」
「じゃあ、なんか作ろうかね~」
「そう?材料何持って行く?走れば、そんなに遠くないし、皆にも食べさせて聞いてみよう!皆が気に入ったら、コムギ?作るの本気で考える!」
「取り合えず自分の手持ちの材料で色々作ってみるよ。食料は大事にしよ」
「分かった、じゃあ、皆の所に案内するね!」
言うが早いかダッシュする白蜘蛛を追いかけて、自分もダッシュ。
黒蜘蛛は足が速いと聞いていたが、白蜘蛛も中々早い。さすが多足。
いい感じに走り、腹をこなし、白蜘蛛達の村?集落?に辿り着いた。
「あっ丸耳だ!」
「ご飯のヒト」
「お腹空いた~」
「丸耳がいるって事はきっとおいしい物だな~」
族長に似て、ご飯大好き種族らしい。
「何か期待されてるし、色々作ってみるかね」
時間かかりそうだし、まずは一品一気に大量に作れる汁物。
しかし、あれもこれもと、考えるのは面倒臭い。
青い瓶のスープの素に刻んだ玉ねぎ細切れにした肉、適当な根野菜を細かく切ってぶっこんだだけの物を白蜘蛛族長に任せる。
「なにこれ?なにこれ?どうすればいいの?」
「取り合えず、適当に火が通ったら、皆に配膳して!それでお腹満たしてる内に何か作るから」
「え!え~!どうすんのこれ!」
どうやら、完全にパニックなので、完成するまでは自分がやる。配膳だけ任せた。
さて、小麦と言えば、パン!パスタ!!うどん!!!
パンは発酵させたり面倒なので、乾燥パスタを大量に茹でる。
自分があまりトマトが好きじゃ無いので、オリーブオイル!
ニンニクを炒めて~!鶏肉を投入!十分に火を通すよ~!
か~ら~の~パスタ!そして茹で汁少々!醤油!バター!
水気が飛ぶまで、混ぜて炒めて~。
皿に盛ったら、刻み葱を振りかけて、鶏肉パスタの出来上がり!
「それ!食いねぇ!」
取り合えず、適当に大皿に出して、それの配膳も任せる。
そう、自分はここからが本番だ。白蜘蛛達がお腹いっぱいになったところで、白き誘惑うどんを食す!
醤油とバターがあるんだから、普通に醤油バターうどんじゃん?
まずはうどんを茹でる!熱い内に醤油とバターを絡める!卵黄を乗せる!
これが漢の夕飯じゃ!
作って食おうとしたところ、
ぐぅぅぅぅと音が聞こえ、発生源を探れば、ずっと配膳してた白蜘蛛族長。
「お腹空いたんですけど!」
「え・・・じゃあ、これ食いねぇ!!」
うどんを差し出すと、凄い勢いでがっつく。仕方ないので、追加で自分の分も作ると、それも食われた。
それから、何杯かおかわりを作ると、満足したらしいので、やっと自分の分を作って、食べて寝る。
白蜘蛛たちはとっくのとうにお腹一杯になってそれぞれの家で寝始めていた。