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452.不穏な空気

 「よう、待たせたな」


 「あっ来た!遅いよ!」


 「そうでもない、約束通りだ」


 何もない平原のど真ん中に集まるのはイタチと黒蜘蛛と白蜘蛛が一人づつ。


 「それで、収穫は?今回もこっちは駄目そうだ。やっぱり穴を掘って外に出るってのは、どうにも無理みたいだな。まあ、うちの連中は若いうちに一度はそれを考えるらしいが」


 「こっちも駄目だね~。西の壁はどこをどう触ってもつるつるで登れそうも無い。あの丸耳はあっちから来たって言うのに」


 「俺のほうも、上まで登れそうな根は見つからないな」


 「ふーむ、やっぱり駄目か。でも世界が平和になれば外に出れるって聞いてるのに、何で未だに駄目なんだろうな?」


 「そりゃ、やっぱり外は危険なんじゃない?」


 「そうだな、邪神の化身と言うのは本当にいるらしいしな」


 「ああ、それは聞いた。中々大変な相手らしいな。でもここよりも色んな食べ物が沢山あるみたいだし、酒の種類も色々だし、別に世界樹がなくなったから何も無いってのは、嘘とは言わないが今ではもう普通に暮らせてるって事じゃないか?」


 「それは、思った~。だから最近は前よりもちゃんと真面目に外に行く方法を探してるのにな」


 「なんだ?元々は真面目じゃなかったのか。俺はちょっと位危険でも外の世界を見てみたい」


 「俺もさ。面白そうな物がいっぱい有るのに、いつまでもこんな所にいられねぇよ。しかもあの不思議な物は外じゃ普通にある物らしいし」


 「何でそんな事が分かるのさ?」


 「そりゃ、あの余所者の丸耳にコレクションを見せたからだろ?なんか外が煩わしくなったとか言っていたが、悪い奴じゃ無さそうで良かったな」


 「確かに、飯は食わせてくれるし、ちゃんと働くし、話は聞いてくれるし、色々教えてくれるし、いい奴だな」


 「でも、あんなに小さいのに山みたいな奴倒しちゃうんでしょ?凄いよね!怒らせないようにしなきゃ」


 「まあ、別にこちらが無法な事をしなければ、向こうだって急に怒ったりはしないだろう」


 「いや、でも何千人もヒトを集めて倒したんだろ?一人で倒すわけじゃないんだから、向こうじゃ偉い奴かもしれないけど、誰にでも普通に接するし、いい奴なんだなって思ったぞ」


 「え!!一人で倒したんじゃないの?じゃあ、びびる必要なんて無いじゃん!もうそこは締め上げて何から何まで吐き出させてやれば・・・」


 「やめろ!そんな無法な事は許さん!しかももし本当に向こうで身分があるなら、向こうに出た瞬間俺達が何千人に囲まれるんだぞ?」


 「そりゃそうだ。悪い奴でも無いのに、酷い事するのは反対だし、出来れば仲良くしたい奴だし、寧ろ外で何かあったなら、こっちで匿ってやらなきゃよ」


 「そりゃ、私だって本気じゃないよ!でもあいつは戻りたくないんでしょ?それなのに外に行く方法教えるのかな?何よりあんなに小さいのに、本当に偉いの?」


 「ふむ、確かに何千人かで山みたいな敵を倒したのは本当かもしれないが、あいつに身分が有ると断定できる訳じゃないか。なんとか出る方法を教えてもらいたいものだが」


 「いや、身分てのはさ。もしかしたらだけど、仲間に沢山食べさせる事が出来る奴が偉いかもしれないじゃないか?あいつは食料と酒だけは沢山持ち歩いてるみたいだし、強さより沢山養える方が偉いってなら、あいつが偉くてもおかしくないと思うな」


 「それだ!確かに私だってもっと沢山の仲間を食べさせられたなら、もっと偉い筈だ!」


 「納得できるな。誰であろうが、陰でもなければ食べなきゃ生きられないんだ。物の少ない外なら沢山食べさせられる奴が偉いのも、当然だろう!」


 「まあ、偉い偉くないは置いておくとしてもだ。出来れば外に出るのに協力してもらいたいな。俺は暑すぎて行けない南とかも行ってるみたいだし」


 「そうなんだ?そんなの聞いてなかった。西に戻らなくても、南とか北とか東に行ってもいいんだもんね。協力してくれたら助かるな~」


 「うむ、しかし一応俺はあいつの身分と強さの確認をしておこうか」


 「じゃあ、俺もあいつがどこに行きたいのかとか、何で西からこっちに来たのか聞いてみようかな?」


 「え~じゃあ、私は・・・どうやったら、仲間にもっと食べさせられるか、聞こうかな?」


 「ちなみに、うまく聞き出せなかった場合、一つ腹案はある」


 「え?そんなのあるの?先にそれをいいなよ!」


 「そうだな。しかし、外に出る方法を聞く事を優先するって事は、相当リスクのある方法なのだろう」


 「ああ、まあな、木って燃えるの知ってたか?俺はこの前あいつから聞いたばかりなんだが」


 「え?そうなの?いつも石燃やしてたから分かんない」


 「ああ・・・確かに水源近くの木に羊を近づけてはならないとは言われてるが・・・燃えるのか?」


 「まあ、世界樹ともなれば、ちょっとやそっとじゃ無理かもしれないけど・・・」


 「そっちの方法も一応考えておく?」


 「うむ、そうだな」

これまで、NPCのみの場面は極力避けてきたのですが、


第4部に関しては隊長の見てないところで、どんどんストーリーが進んでるぞ!ボーっとしてる場合じゃない!


って言う雰囲気で見ていただけたらありがたいです。

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― 新着の感想 ―
[一言] いや、世界樹燃したらあかんやろ(笑)
[一言] >仲間に沢山食べさせる事が出来る奴が偉い うんそうだね…
[良い点] 基本的に主人公中心で話が進んでいるところ 今回はNPCだけでしたが、それでも分かりやすくてよかったです。 [気になる点] 地上と地下の平和の度合いによるのかと思ってましたけど、邪天使みたい…
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