450.アクセサリー診断
闘技大会が終わって数日、武器屋のおじさんの紹介でアクセサリー屋さんに来た。
この辺りじゃ、宝石はゴロゴロ出て余り放題だから、御手軽な値段で手に入るそうな。
「ごめんくださいーーーい」
「はい、いらっしゃい」
迎えてくれたのは若そうな女性のエルフ。自分の知ってるエルフのイメージでは不老長寿の筈なんだけど、結構普通に年代が分かる。
本当の年齢は知らないけどね。
「こんにちは、石が結構手に入ったので、アクセサリーにしたいんですけど」
「何が作りたいの?」
「その辺も相談したいんですよね。石は分かるんですけど、アクセサリーは詳しくなくて」
「そっかー作るのは出来るんだけど、何が合うかはちょっとお祖母ちゃんに相談だな~。ばーーーちゃーーーん!!」
「そんなでっかい声出さなくても聞こえてるよ!」
「嘘だよ!いつも聞こえないじゃん」
「それで、あんたは何の用だい?」
「いや、アクセサリーの事で、相談が・・・」
「え??」
「自分に!似合う!アクセサリー!ってなんですか?!」
「知らんわ!好きな物身につけな!」
「なんか!石は持ってるんだけど!アクセサリーは詳しくないんだって!」
「は~なるほどね。じゃあ、どんな石を持ってるのか見せてみな。石ってのはそれを必要としてるヒトの元に行くものさ。足も生えてないのにね」
「あっじゃあ、ここに出しますね」
と、最近ゴロゴロ貰った石の原石をテーブルの上に広げる。
「ふんふんふん、あんたあれだね酒飲みだね!」
「え?何で分かるんです?」
「腕に着けてるのが、酔いに効く石だからだ」
「あっそうですよね。それで、自分に合うアクセサリーってありますか?」
「まあ、そう焦るでない。まずそなた、氷精使いじゃな?水晶類が多く集まっておる。もし<氷精術>を採ってないなら、相性が良いからおススメじゃ!」
「氷精は採ってます。ちなみに冷気を自分に使った場合の効果って分かりますか?」
「そんなものは巫士に聞きな!使い手のあんたが分からない事が、私に分かるかい!」
「すみません。まずって事は他に何かありますか?」
「そうだね。魔除けが多いね」
「魔物除けって事ですか?」
「うんにゃ、ヒトは出歩けば毒やら呪いやら貰ってくるものだからね。微量だが状態異常全般に耐性がつくものを魔除けって一言で言うんだよ」
「へ~ありがたい。丁度、状態異常耐性について考えてた所だったので、そのせいかな?」
「一個なら微量だけど複数使えば、それなりの耐性になるから悪かないね。何でこんなに石持ち歩いてるか知らないけどね」
「じゃあ、魔除けをいっぱい盛ってみるかな」
「まあ、待ちな焦りすぎだよ」
「あ、はい。でも氷精と魔除けって自分にとっては納得の組み合わせなんですけど」
「あんた、アレだね。精神に来てる部分があるね。イライラしやすいだろう?」
「なんで、そんな事が!!」
「精神の癒しを象徴する石も多い。何よりその黒玉を宝石として持ち歩きたいって言う考えが、それを象徴しておる。無駄に山ほど出るそれは、怒りや悲しみの忘却を意味しておる」
「ぐうの音も出ないんですが、これつけたら、イライラしなくなります?」
「気休めじゃ!」
「でしょうね。そんな心に直接作用されたら困っちゃいますよ。でも黒玉は硬度は低いし燃えるから、装備するのはな」
「別にそれで燃えたり壊れたりする物じゃないわい。でもどうしても不安なら、白蜘蛛の所に行って糸を貰ってきたら良いじゃろ?火や熱に強い糸じゃ、編んでアクセサリーにすることも出来るぞい」
「ああ、白蜘蛛の糸は山ほど鞄に入ってるから、それでお願いします」
「そうかいじゃあ、こっちの石で染色するかね~」
「待って!それラピスラズリ!高級品だから!」
「いや、割と普通に出るから、ここらじゃ顔料にする物じゃ」
これだから世界樹は~!何で宝石がポイポイ出て来るんだよ。
「分かりました・・・お任せします」
「うむ、やりがいがあるのぉ。お主に一番必要であろう黒玉を中心に色々作ってやろうじゃないか」
「それが、自分に一番必要って言う根拠は?」
「まあ、石に長年触れてる者の勘じゃな。しかし、お主アクセサリー着ける部分が無いの~」
「まあ、結構がっちり装備してるので、首飾りくらいかなと」
「ふむ、首飾りは決まりとして、他にまず空いてる方の耳だな。ベルトのバックルも何か考えよう。その鎧は皮殻だねブローチも刺せる。仮面の結び紐もいじれるの。それだけ着けられれば、色々と効果も乗るだろう」
「じゃあ、白蜘蛛の糸と石は丸ごと置いていきますので、良しなに。それでお代はいくらで?」
「噂は聞いておるぞ。食事でいい。食べた事ない食材の方がここらじゃよっぽど希少じゃよ」
と言う事なので、作りますか。最近米ばっかりだったから、偶にはパスタが食いたい。
まずは、ほうれん草を下茹。
乾燥パスタをたっぷりのお湯に塩入れて、茹でておく。
下茹したほうれん草とベーコン、塩、胡椒、酒で軽く煮立てて~。
醤油とバターと茹でたパスタ突っ込んで、混ぜるだけ~。
どうしよう。本当に簡単にできちゃった。何か葉野菜でサラダでも作ってお茶を濁すか。
取り合えず、出してみると全然違和感無く食べる。
一瞬で無くなる様な食べ方じゃなく普通に味わってくれてるので、口に合ったみたいでよかった。
取り敢えず荷物に空きも出来たし、飯食って寝る。