440.魔物狩りの帰り道
街に帰る途中暗がりに倒れる人影。
まあ、暗がりも何もいつでもどこでも暗いんだけどさ。
近づいてみるとイタチが一匹倒れているが、別に息もしているし別状無さそうなので、さよならー!
「あっ丸耳の余所者!」
この声はこの前の外に行きたいイタチじゃん。
「「こんな所でなにしてるんだ(の)?」」
「あっじゃあ自分から、南の溶岩地帯で魔物狩りしてた」
「ああ、赤い川か。暑くて俺達は行けないんだよな。寒いのは毛皮があるから得意なんだけど。魔物ってのは興味あるんだけどな~。どんな場所なんだ?」
「どんなって言われてもな。ちょっと明るくて陰がいなくて、世界樹の根も無い。トカゲ風の魔物が多いかな」
「トカゲってのは分からないが、陰も世界樹も無いなんて珍しいな」
「ああ、明るいから陰は苦手なのかもね。後は燃えちゃうから世界樹も苦手なんじゃない?」
「世界樹って燃えるのか?」
「分からないけど、木って燃えるじゃん。だから苦手なのかなって」
「そうか、普段燃やすのは燃える石だから知らなかったな・・・」
ほーん、イタチは石掘るから石炭燃やすのか。
ミネラル以外も生えるってわけね。
「あっ魔物に興味あるなら魔物の肉焼く?ただ話すのもなんだし、食べながらにしない?」
「え!!いいのか?是非食べてみたいぜ」
雪鳥蜥蜴は鶏肉系の味だから、焼き赤鳥蜥蜴にしよう!
「取り合えず、米酒と合うけど飲む?」
「飲む飲む!」
カップで米酒を出すと、一舐めするイタチ。
「ご飯といっしょにしなよ」
「分かってるって!味見じゃないか。にしても焼けるな!この酒は!」
居酒屋で飲んでるおっさん顔負けの飲み方だ。
赤鳥蜥蜴を食べやすいサイズにカットして、葱と交互に串刺しにしていく。
「あっ葱は食べれる??」
「分からないけど、食べれるんじゃないか?」
まあ、いいか。多分大丈夫!
ねぎまにして、愛用コンロで焼いていく。丁度いいタレが無いから塩焼き!
焼けたそばから食べられちゃう。そして、お酒を飲むイタチ。
「は~人心地ついたぜ。悪いな俺ばっかり食べて、そういやこの前の食料もあんただろ?皆喜んでたぜ。俺は何か長い白いやつがうまかった」
「大根かな?どうやって食べたの?」
「そのまま齧ったぞ?葉っぱの所持ってさ」
「ふむ、じゃあ、輪切りにして風呂吹き大根にでもしますか。これも米酒に合うからさ」
「いいのか!食いたい!」
「まあ、時間掛かるからのんびり話しながら作るよ」
「そうだな、俺は陰と戦ってたんだ。陰ってのは不思議で珍しい物を持っててさ。勿論何でもかんでも襲い掛かるわけじゃないぞ。戦うのが好きな陰と戦って、勝てば面白い物が手に入るんだ」
「へ~、面白い物ってどんなんだろう?」
「色々だな、なんか透明で小さいものが大きく見える板とかさ!今度コレクション見せてやるよ。今日はこれだな」
そう言って、出されたのは・・・。
「フェニックスフレアボムじゃん。何で持ってるのさ」
「これが、何なのか分かるのか?!」
「うん、取り合えず、先端の赤い所は触れちゃ駄目だ。爆発するぞ!」
「爆発って何だ?」
「火と衝撃が発生して、一個でも家何軒かは吹っ飛ぶからね!」
「そんな危ない物なのか!ところで、一個でもって事はもっとたくさん爆発させた事あるのか?」
「え?いや、まあ、一万個ほど」
「何でそんな危険なことしたのさ!一個でも家が吹っ飛ぶんだろ?そんなに使ったらどうなるんだよ?」
「邪神の化身を倒すのにやむを得ず、エルフの街とその周辺が丸ごと吹っ飛んで何もなくなるけども」
「ああ、聞いた事あるぜ、邪神の化身か。あんたそんな話にしか聞いた事ないのと戦った事あるのか」
「まあね、何千人も人集めて、手段選ばずなんでもやって何とかね~」
「ああ、そりゃそうか、一人で戦えるわけ無いもんな」
「そうそう、そりゃね。だから大人数食わせるのが基本だから、鞄の中食べ物ばっかりなんだよね」
「ははは!だからあんなに食料配れたのか!食べて飲まなきゃ生きられないもんな」
そんなこんな話していると程よく大根が炊けた。
大豆と一緒に出汁と醤油でじっくり焚いて、食べる。
柚子味噌があれば良かったな~。
日本酒で大根とか最高だわ。
「そういや陰って、どんなのと戦うの?」
「あんまり大きい奴じゃないぞ。大きな通りにいるような大きな陰は流石に無理だ」
「通りって見渡す限り平原じゃない?」
「そうなんだけど、他種族のところに真っ直ぐ行くような通りには大きな陰がいるんだ」
ああ、前にエルフのおじさんに忠告されたのはそういう陰がいるからなのかな。
たまに遠目に見えるデカイ陰の事かね~。ありゃ確かに無理だなレギオンくらいあるもん。
取り合えず、時間的にそろそろ寝るか。
「じゃあ、自分はそろそろ寝るわ」
「そうなのか?俺はのんびり酔い覚ましながら帰るけど」
「ニューターはよく寝る種族なんだよ」
「へ~外には色んな種族がいるんだな~」
「帰るならお弁当代わりにもうちょい肉の串焼き作るよ」
そう言って、適当に肉を焼いて、袋に入れて渡す。
上機嫌で北に戻るイタチを見送りながら、自分はログアウトする。