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436.陰精術

 適当に街近くのセーフゾーンで野泊して、次のログイン。 


 一応祭殿の場所は聞けたので、行ってみた。


 「こんにちは、お邪魔します」


 「あら?見慣れぬ方ですね。どういったご用件でしょう?」


 「この辺りの精霊の話と歴史を知りたいのと、スキルについても聞ければありがたいですね」


 「ふむ、来訪者に精霊様の術を授けるのは仕事のうちですが、あまり説明等する時間は取れません。お布施をしていただいても?」


 銀貨を見慣れた銀杯に投げ込む。ここのお金は現状これしか持ってない。


 「それでは<陰精術>を付与しましょう。因みにセットしたいのであれば、お隣の祠でどうぞ」


 うん、塩対応。お金が足りないよって言われなかっただけありがたいね。


 祠はいつかのイベントで楽しいサバイバルをした時の物に似ている。


 つまり【教国】勢力の手が届かない地って事だ。


 原初のヒトも創世神は奉っているとは思うが【教国】発足には関係ないのかな。


 一先ず<陰精術>をセットすれば、左手の陰が<粧印術>は避けつつも、完全に腕輪型になり手首に巻きつき、


 『じゃあ、僕の力を少しだけ貸すね。今くっついてる左手から尻尾を伸ばしたり縮めたり出来るから、ぶら下がったり、捕まえたり出来るよ。捕まえる力は君の力で強化されてるみたいだよ』


 ん~どういう事?


 まあ、おいおい試しますか。<防御>も試したいんだけど、何外すかな~。


 一回<犠牲>外してみるか、当分はここで過ごすんだし、色々入れ替えよう。


 そして、酒場に戻れば例の女性が待っていた。


 「まだ、いたんだね。じゃあ次は黒蜘蛛の所だよ」


 「多分水源の西側?」


 「そうだね。あの種族はまばらに点在してるから、道々場所を聞くんだね。流石に手紙を持っている相手に道くらいは教えるだろう」


 と言う事なので、西を目指す。


 ガンガン飛ばしていく、よく考えたらスキル付け替えても使う機会がほとんど無い。


 陰も戦う相手かどうか分からないしな。普通に話しかけてきて何か交換して行く陰じゃ、どうにもならない。


 どこか、魔物出ないかな~。


 『ねぇ、あの上の根っこなら届くよ』


 と急に腕輪の陰に声を掛けられた。


 上を見れば、確かに低い位置を横に伸びる根っこ。


 ものは試しと左手を上に掲げれば、骨の尻尾が飛び出し、先端がぴったり根っこにくっつく。


 そのまま尻尾は縮み、引っ張られてあっという間に、根っこに辿り着いた。


 根っこに手をかけ上に登り、少しだけ高い位置から、周囲を見渡す。それだけだ。


 そして根っこの上を走ったが、途中で地中に向かってしまったので、自分は普通に地面を走り始める。


 その後も、根っこを見つけるたびに登ってみるが、ちょっとだけ見張らしがいい!


 まあ、上を見ながら走っていると、結構そこらじゅうに根が張ってるので、緊急避難には使えるかも知れない。


 それ位かな~。後は捕まえるって話は魔物がいない事にはな~。


 『ブブブブブブ』


 急にナメクジ型の陰に話しかけられたが、何を言ってるか分からない。


 『歩くの早いねって』


 「え?ああ、まあね」


 『ブブブブブブブ』


 ちょっとナメクジとはいえないハイスピードで、這うと言うより、滑る様に立ち去った。


 ホントに戦える相手がいないな。昔は【巡回】してれば、それで気が済んだのに、戦闘狂になっちゃったのかな!


 そんな事は無いか。


 水源を通り過ぎ、西側地帯。


 ここからは適当に、走るしか無いかと、時折根っこの上に登り見渡し、やっと見つけた黒アラクネ。


 相変わらず羊を飼ってる黒アラクネに話掛ける。


 「すみません手紙を届けるように言われたんですけど、どっちに行けばいいですか?」


 「ん!」


 方向を指差されたので、


 「ありがとうございます」


 教えてもらったらお礼は基本だよね。お仕事中なのに教えてくれただけありがたい。


 真っ直ぐ進むと、喧嘩の声?


 黒いアラクネと白いアラクネが言い争ってる?


 黒いアラクネと白いアラクネの違いは下半身の蜘蛛部分に鎌がついているかどうか。


 白い方は鎌がついてないので、ちょっと弱そう?そんな事無いかね。


 「あんた達!最近こっちに回ってくる肉が少ないんじゃないの?」


 「そんな事は無い。決められた量納めている。また増えたんじゃないのか?」


 「体重の話?!だから黒はデリカシーが無いってのよ」


 「は?種族の数はある程度で、おさめる様に決まってるだろ?また増やしたんじゃないのか?」


 「煩いわね!こっちの勝手でしょ!」


 「そりゃ、規定の食料で賄えるなら、勝手だがな」


 「いや、減ってるわよ!私達がいなきゃ、あんた達の服だって、ないんだからもっと肉寄越しなさいよ!」


 「俺達がいなけりゃ、羊は育てられないし、草がなけりゃ羊は増やせない」


 「じゃあ、もっと水を撒けばいいじゃない!」


 「俺も直接は知らないが、それをやろうとして水源の水が足りなくなって、飲み水がなくて皆乾いて暮らした事があったらしいな。水飲まずに暮らしてみるか?」


 「もう!ああ言えば、こう言う!とにかく食料が必要なの!」


 「今だけ、ちょっと多めに持って行っても続かないぞ。どうするんだ?」


 「今だけで、何とかなるのよ!世代交代の時期だけでいいから!」


 「ふむ、困ったな。他も世代交代だと言っていたぞ」


 「なんで、そっち優先なのよ!」


 「別に特別扱いした訳じゃない。偶々タイミングが被ってしまったんだ」


 「じゃあ、今だけちょっと多めに水撒けばいいじゃない」


 「そんなに早く、草も羊も育たない」


 ふーむ、中々困った状態みたいだし、一旦引き取って後日また来ますかね。


 「あんた!さっきから、こっち見てないであんたも何か言いなさいよ!」


 うん、巻き込まれた。

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― 新着の感想 ―
SEKIROごっこができるな!
[一言] 壁]_・)あら~ お隣さん問題に巻き込まれた?
[一言] ああ、無駄に増えるからw
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