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427.もう一方王国騎士団

 「攻略が終わった後のダンジョン再攻略こそ裏ボスに繋がる道だと、まさにゲームの常識ですね」


 「そうね。ボスの出てきた大穴が、アップデート後のタイミングで開放された事に意味を見出さないなんて、ゲーム慣れしていればありえないわね」


 「まあ【教国】の説明としては、今回引き起こされた事件に伴って、秘密裏に物事が行われないように、開放したらしいがな」


 「まあ、なんにせよ侵入してみない事には分からないだろう」


 「ふむ、中は複雑な迷路になっているようですが、どういった方針で行きますか?」


 「ふぅ、考えるのはいつも私なのよね。隊長曰くこの大穴は今開かれている大陸外縁部の宝樹に繋がっているそうよ。【海国】側は最悪溺れるかもしれないし、【森国】も同様に途中海を通るわ。そうなると寒い【帝国】、終点も大穴らしい【馬国】、暑い【砂国】。どこに行きたい?」


 「【馬国】じゃないか?寒いは寒いが【帝国】程じゃないだろ」


 「俺は【砂国】が気になるがな。頭上に流砂が見える古の地下水路とかロマンが無いか?」


 「ふむ、青は何だかんだロマンチストだな。まあ、賛成だが」


 「まあ、このゲームはそう言った景色の作り込みなんかも醍醐味ですし、否は無いですわ」


 「じゃあ、このちょっと近代的迷路を通って、どうやって【砂国】に向かうかだな」


 「正直既に方向が分からなくなっているな」


 騎士団のメインパーティ。


 タンク 青騎士

 近接アタッカー 赤騎士

 遊撃&アタッカー 白騎士

 斥候&アタッカー 黒騎士

 補助&回復 金騎士


 【教国】不祥事と聖石の陰謀に依って邪神の化身が作られた大空洞。


 再び同じような事が起こらないようにと一般にも開放され、早々に侵入した騎士団。


 大空洞は世界樹無き後も精霊の力が集まる場所であり、また平原で死んでしまったものの死体故に同時に瘴気も溜まる地となった。


 それ故大昔、ここを実験場にした者がまるで迷宮のように替えてしまったのだったが。


 「誰か<言語>セットしてきていませんか?」


 「勿論、ダンジョンに潜るのですし、必須かと思ってちゃんとつけて来ましたよ」


 「以前のイベントの教訓が生きてるじゃねぇか、あそこの文字読んでみてくれよ」


 「うむ、見た感じ大昔に誰かここを実験場か工場にでもしていたのだろう?だったら、ルートなり部屋の名前なり書いてあるかも知れんな」


 「それで、なんて書いてあります?【砂国】側通路とか書いてませんか?」


 「はいはい、ちょっと待って『休憩所』って書いてあるわ」


 「何だ休憩所かよ」


 「いや、待て、部屋の名前が書いてあると分かっただけでも一歩前進だろう。文字っぽい物を片っ端から読んでいけば、いずれルートが分かろうと言うもの」


 「そうですね!青の言うとおりです!ちょっと文字を探してきますね!」


 「お待ちなさい。一人で出かけて迷いでもしたらどうやって合流する気ですか?まずは休憩所を確認しましょう?」


 「あ?何言ってるんだ?休憩所に何の用があるってんだ」


 「つまり、この休憩所を一つ目の拠点にしようってことだろう。休憩所で本当に休憩できるなら、この上なく助かるだろうに」


 「なるほど、どれほどの長丁場になるかも分からないのですから、拠点があってもいいですね。早速中に入りましょう」


 現代人にはちょっとレトロにも見える回すドアノブ。


 斥候の黒が慎重に扉を開け中を確認するが異常は無い。


 真っ暗な部屋に赤が持っていたランタンを置けば、そこまで広くない部屋内部の構造をすぐに把握する。


 テーブルと、空の扉の開いたロッカー、マットレスは無いが、ベットと思える骨組みが5台。


 本当に仮眠室兼休憩所というだけの簡素な部屋。


 「ふむ・・・中からは鍵が掛けられるようですね。大昔の施設だと言う触れ込みの割りに保存状態がいい」


 「おお、このベッド。こりゃ本当に休めそうだぜ。逆に言えば、ログアウトとログインを繰り返さなきゃならない様な複雑なダンジョンに挑戦する事になるのか?」


 「中々、難儀しそうだな。あまり焦らず慎重に行くとしよう」


 「そうですね。それではまずどうします?」


 「結局私が考えるのね。そうね・・・こういう場合あの隊長ならどうする?」


 「あいつか?まあ、でも今やトッププレイヤーの、あいつのやり方に習う物もあるよな。あいつはこういう状況で何するんだ?」


 「俺は、そこまで交流があるわけじゃないが、何するにしてもまずは食事にするんじゃ無いか?」


 「確かに、彼ならボスの前に食事!ダンジョン攻略の前に食事!ログアウトの前に食事!ですね。なんならお酒も飲むかもしれません」


 「じゃあ、食事にしましょうか。机もあることだし、赤、何にするの?」


 「飯作るのは俺の担当か、まあ仕方ない。取り合えず簡単な物しか思いつかんが、串焼きにでもするか?手で簡単に食べれるし」


 「俺は全然かまわないぞ、コンロ用意するか、炭焚いておくぞ」


 「体を動かしたら蛋白質!串焼きは完璧ですね」


 「ふぅ、ビールが飲みたくなるわ」


 こうして、裏ボスと言う夢を見て、地底に張り巡らされる迷宮に足を踏み入れる騎士団であった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 隊長式が探索者標準化しているw
[一言] ナイトさん山串食べてもらえますか…うっ…記憶が…
[良い点] こっちも順調に、隊長に毒されてきたな。 (  ̄- ̄)
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