424.師匠と術進化
<防御> 衝撃・・・ガード時の貫通ダメージ量軽減
一応、言われたとおりスキルを取得して、旅に出た。
あの後装備を確認すると、性能がちょっと尋常じゃなかったんだけど、どうやら陛下が変わりの物用意するって言うのは、レアな素材を世界中から集めて、自分用の装備を作ってくれるって、意味だったらしい。
クラーヴンも見たことない素材が大量に支給されて、その中で良さげな物を組み合わせてくれたんだって。
にしても、走るにしてもジャンプするにしても、ちょっとおかしいスピード出るわ。おかしな距離跳ぶわ。
一応加減できるようで良かったよ。
まずは【馬国】に向かい、都から大霊峰に向かう集団についていく事にした。
途中、例の如くケンタウロスの族長のいるゲル集落に寄ったので、師匠にも挨拶しないとね。
「師匠!お久しぶりです」
「お兄さん久しぶり!よく頑張ったね」
「おかげ様で、邪神の化身倒せましたよ?」
「なんね?痴漢冤罪の件よ!無事無罪を獲得できたみたいで良かったね」
「ああ、そっちですか」
ドスケベ師匠が無造作に手を出してきたので、握手すると。
「なるほどね。お兄さんとうとう行き着いてしまったね」
「え?ドスケベですか?」
「違うね。最早<掴み>で相手に怪我を負わせてしまう所まで行き着いたね。掴んだら放さない域を越えて、触れるもの皆傷つける年頃になってしまったね」
「自分は一体いつからそんな繊細な年頃に・・・」
「でも、そんな微妙なお年頃の止められないドスケベをコントロールする術を教えるのもおいちゃんの仕事ね」
「そんな方法があるんですか?」
「そうね。お兄さんの前には二つの道があるね。一つは今まで通り<擒拿術>を使う道ね。もう一つは掴んだ相手に気を流し込む術ね」
「気ですか?闘技場の闘気みたいな?」
「ちょっと違うね。お兄さんは<精霊術>使えるね?」
「<氷剣術>なら使ってますけど?」
「それだとお兄さんは冷気を使えるね。この気を流し込むと相手は凍結状態になるね。20人で戦うボスでもうまくすれば凍結するし、巨大な相手でも部位凍結できるね」
「それは、攻撃的ですね。でも使える精霊術の種類に順ずる術だと自分は一つしか使えないんですよね」
「そうね、でも再使用時間が短いし、一種類でもかなり実践的な術になるね。因みに火精術だと鎧の上からだろうと強制的にダメージを与えるね」
「え?防御貫通とかそれは便利」
「お兄さんは氷精と契約してるから、火精とは相性が悪くて使えないね。だから教えたね」
「ああ、なるほど。でも<擒拿術>ともう一つの道って事は、どちらか一方しか使えないんですよね」
「そうね!」
掴んだら凍らせる能力か・・・。師匠が実践的って言うからには、悪くない術なんだろうな。
<擒拿術>で、動きを止めるには一回硬直を挟まないといけない。
でも、梔子で術を使わせないようにしたり、我樹丸でダメージを与えたり部位破壊したり、照葉野茨で飛ばされないようにしたり、なんなら相手を移動できなくして、皆で距離を取って囲んでボコボコとか。
「うん、今のままで」
「駄目ね」
「え?」
「お兄さんドスケベな事考えてたね。もう妄想が止まらないね。止まらぬ欲求に間違いをする前に、引導を渡すね」
言うが早いか視界から消え、腰に手を当てられ、何か送り込まれた感触に、反応した時には終わってた。
「何したんです?」
「お兄さんの<擒拿術>を<気脈術>に変えたね。気脈術は掴んで得意の精霊術の気を流し込むだけね」
「その、気を流し込むってどうするんですか?」
「コツだけだから、すぐ教えるね」
大霊峰に向かう集団は数日はこのゲル集落に逗留するらしいので、その間ドスケベ師匠の元で修行。
本当にこの師匠の【訓練】は丁寧なので、あっという間に使いこなせるようになったのは安定の師匠クオリティ。
そして、触れるもの皆傷つけるって言う真意だが、
自分の<掴み>は我樹丸を使わずともダメージが発生する様になっていた。
まあ、我樹丸は術だったところに、今は握るだけなので実質物理攻撃。
あと、ちょっと気になったのが精霊の相性。
条件はあれども複数精霊術は取得可能。その条件ってのが相性。
氷精と同時に取得できるかどうかは【巫士】さんに聞くようにってさ。
<気脈術>と新装備による動き方を確認。
広いだけの高原で銃をぶっ放し、銃の使い方もいい感じ。
修理したからかスキルを取ったからか、装填時間が物凄く改善されていて、単発でも十分に主戦力になる。
後は魔物相手に撃ってみなきゃ分からんな~。
っていうか魔物撃ってみたい。
銃を持ったら撃ってみたいのは狂気でもサイコパスでもない。男の本能だ!
大霊峰に荷物を運ぶ集団について徐々に寒くなる高原奥地に向かう。
ちなみに装備に耐寒耐暑が複数ついてる所為か本当は全然寒くない。