422.お酒を買うついで
ショートソードだけ借りて、まずは【砂国】に、
「暑いな~」
と、氷結酒を飲みながら、道を歩く。かなり治安の悪い行動だが、暑いものは仕方ない。
誰か<粧印術>の使い手いないかな~と、うろうろしていると、見たことある輿が、道端に駐められてる。
輿の横には見覚えのあるマッチョなお兄さんが、立っているので声をかける。
「すみません、お仕事中。この辺りで<粧印術>に詳しいヒト知りませんか?」
すると、何も言わず輿の止まっている建物を指差されるが、
「いや、ソヘイラ様は忙しいだろうから、時間ありそうなヒトで」
「忙しくはありませんよ。どうぞ中へ」
建物の中から、ソヘイラ様に声を掛けられてしまった。
厚手の布が掛けられた大きな小屋のような建物だが、中もびっちり独特な文様のカーペットや壁掛けで埋まって、外気が入らない様になっていて、何より涼しい。
「中は涼しいんですね。輿運ぶお兄さんも入れてあげればいいのに」
「彼は、冷え性なので入りたがらないんです」
「砂漠の夜は大変そうですね」
「ところで、御用向きは、その左腕の文様の事で宜しいですか?」
「そうですね。早速なんですけど、どういう効果のものか分かります?」
「珍しい文様ですが、私の目で見る限り、重量のある武器を扱う膂力と物を掴む握力を上昇させるものですね」
「割とシンプルな筋力アップですか、でも自分には助かりますね。ありがとうございます」
「シンプルですか?中々に効果が高いように見えますが、その握力で他人を掴むと、怪我をさせてしまいますし、武器も両手で扱うような重量物も片手で振り回せるようになりますね」
「自分の武器は小剣と銃なので、別にそんな重量物振り回さないですよ。ありがとうございました」
「そうですか、それでは御武運を。後皆に変わって、邪神の化身討伐御疲れ様でした。これが必要でしょう?」
と、蜃気楼の街のお酒、アラックを渡された。お代はいらないようだ。餞別って事らしい。
「こちらこそ、色々ご協力いただいて、助かりました」
よし!次は~・・・【馬国】で馬乳酒、【海国】でラム酒、【王国】でブランデー、【教国】でワイン、【森国】で米酒、【鉱国】アカーントウエィとお酒を仕入れる。
仕入れながら、今までお世話になったヒト達に挨拶も欠かさない。
途中、海岸に立っただけで、マンボーさんから海草酒を渡されるし、【森国】についた途端、頭領に古酒を渡された。どれも餞別だそうだ。
これで、自分で飲む分には十分だな。
後はドスケベ師匠への挨拶は大霊峰に向かう時でいいだろうし、今の格好じゃフィールド歩き回るにはちょっと不便だから、宝樹とか蟹とか霊亀とか霊鳥は無理だな。まあ、気長な生き物だから大丈夫か。
そうだ、報償を選んでいいんだよな。どうすっか~。鞄拡張しておくか。お酒とか食べ物とかいっぱい入れて出掛けたいし。
装備品はクラーヴンに任せておけばいいしな。消耗品に使うのはもったいないし、レギオンクラスの〔魔石〕と交換してもいいけど。宝樹巡りの時に何気に手に入れてるしな。
まあ、いいか装備品揃えて、足りない物があったら報償で補完すればいいや。
【教会】で一応今使える武技を確認するのも忘れてない。
<威圧>+<銃技>=威嚇射撃 相手の行動をキャンセルする。武技『牽制』の射撃武器版
<跳躍>+<銃技>=反動滞空 空中で銃を撃つと発動、空中で滞空したりノックバックが強い銃だと二段ジャンプ状態っぽい
<犠牲>+<銃技>=縮砲 銃に残っている弾全部をまとめて一発の弾として打ち出す。2発なら2倍、3発なら3倍の威力。自分は単発銃だから意味ない。
まあ、後は使うしかないな。
食材も手に入るだけ手に入れたし、スープ用の素も、炒め物用の素も、かけるだけで美味しくなる調味料の素も買ったし、あとなんだ~?
無いな!な~にもな~い!!!
誰もいないところで、叫んだらすっきりした。
さて、帰るか。
どんな装備になるかな~。蛇装備は使いやすかったからな。
まあ、でもまた全身タイツなんだろうな。もう全身タイツキャラが定着しちゃったし。
でも、あれ結構股がスースーするから、上からズボンっぽい防具装備出来ないかな・・・。
希望があるのに言ってないんだから、どんな物が出来ても文句は言えないか。
まっこれからは剣と銃使いな訳で、でも銃剣使いでは無い。
あれ?でも銃剣使いってかっこよく無いか?
ライフルに銃剣くっ付けて、戦ったらかっこいいだろ・・・。
いや、いっそカービン銃に銃剣で、馬上攻撃とか激熱!!
うん、今の自分のスキルと全然合わないよね。分かってる。