420.謁見と開放感
さて、ログインしたけど、まず面倒な事からやるかね。
つまりは、皇帝陛下との謁見。
「兵長!ちょっと【帝都】行ってくるわ」
「あ?珍しいな。面倒な事を先に済まそうなんて殊勝な事だ。しかしいいのか?お前が邪神の化身を倒した事で、新たなスキルなんかが増えてるぞ?」
「え?それ気になるんですけど」
そう言って、お久しぶりのリストを見せてもらう。
自分は本当に最低限しか取らないので、山ほどスキルがあってどれが新しいのかよく分からない。
しかし、目に付いたのが<銃>のスキル。これは初見の筈。
「おっ何かめぼしい物が見つかったか?」
「この<銃>ってのはなんですか?」
「知らんな。初めて見るスキルだそれは」
って事は自分が持ってる銃に関係してるのかな?ん~貢献ポイントは山のようにと言うか使い切れないくらい溜まってるし、取得しちゃうか、使わないなら控えに入れておけばいいし。
「じゃあ、この<銃>と<射撃>と<銃技>と<散弾>取得しようかな」
「ほう、ちょっと俺にはアドバイス出来ない代物だがかまわないか?」
「問題ないね。ちょっと自分なりにやってみたい気分だし」
<銃> 装填・・・呼んで字のごとくリロードが早くなる。
他には、速射とか抜射とかだけど、自分のは散弾だし、まずは装填速度上げたい
<射撃> 威力・・・これも呼んで字のごとく、威力が上がるらしいけど、ダメージなのかノックバックの様な効果の事なのかは分からない
他には射程とか命中とか、これについては弓やクロスボウにも適応らしい。
<銃技> 接射・・・接近で射つと衝撃ダメージとノックバックが発生。
他には精密とか連射とか曲射だって。でも自分単発の散弾だし。
<散弾> 威力・・・さっきと被せて、さらに攻撃力を上げたいところ。
他には射程と拡散とか、攻撃距離と範囲って事だろうな。
<銃>系統はこの辺かな。<散弾>と<短銃>で、<散弾>選んじゃったけど良かったかな?まあ、気に入らなかったらまた増やせばいいか。
「スキルは【教会】でちゃんとセットしろよ」
「了解!ちょっと【教会】寄ってから、皇帝陛下に会いに行ってくる」
その足で【教会】へ、出る時は〔八岐の外套〕で姿を消し、さっさとすり抜け屋根に上った。
屋根から屋根へと飛び移り到着。
「神官さんお久しぶり、もう復帰してたんだ?」
「ええ、おかげ様で、隊長殿は邪神の化身を無事倒されたとか、ご活躍は聞いてますよ」
「いや、そのせいで、身辺煩くなってしまって、色々考える所がある今日この頃ですよ」
「そうですか、しかし【教会】に来たという事は用件はスキルでしょう?」
「そうなんですよ」
そう言うと、でっかい本・・・リストを出される。
「第10機関でおススメのスキルがございますよ」
「あれ?指名手配が外れて【上級士官】に戻ったから、そっちの貢献度はなくなったかと思ってた」
「何をおっしゃってますか!第13機関長!辞令はまだでしたか?まあ、いいです。おススメスキルは<犠牲>です。普段はあまり聞かれない事をお教えするのは良くないのですが、特別です」
「じゃあ<犠牲>取得します。ってもしかしていつか穢王を倒した時の大技?」
「あれは確かに<犠牲>をも習得しなければ使えませんが、何より<法術>を相応に熟練しないと。これは<犠牲>の名の通り、生命力を捧げることで、次に使う武技及び術の効果が上がります」
なるほどね、ちょっと早とちりしたな。取り合えず取得。
<犠牲> 損壊・・・ダメージ量上昇
その他には範囲、溜量とか、範囲はそのまま効果範囲、溜量は一度に捧げることの出来る生命力量上昇。今はダメージ量が欲しい。
後、合成できるスキルがあるわ
<威圧>+<復讐>=<反逆> 叛意・・・ダメージを受けるほどに<威圧>効果が増す。確率で<威圧>発生。
あれかな<復讐>とくっつけるとダメージを受けるほど、効果が増すのかな。出来れば攻撃的な物とくっつけたかったけど、いいのが無いのよね。
そして、奥に行きセット。
<氷剣士>
<探索者><捕術士>
<不動心><散弾><射撃>
<防衛域><野泊者><銃技>
<古樹><銃><犠牲>
控え
<反逆><採集><軍略士><越障者>
うん、クラススキル専用セット枠が二つと、通常のスキル枠が二つ増えるとか、今までとは比べ物にならないな。
あれか?自分とか剣聖の弟子みたいなステータスカンスト勢が飽きないように、スキルで色々遊べるようにしてくれてるのかな?
まあ、いいか。神官さんと別れ【帝都】へ、ポータルでプレイヤーに見つかり面倒だったが、並んでる間は普通に質問に答えた。
今日のプレイヤーは割りと低姿勢と言うか、腰の低い人だったので、こちらもそれなりに丁寧に応対したさ。
そして、イグラントに・・・お城は流石に嫌だ。
入り口で、用件を伝えれば、すぐにやや豪華な会議室に連れて行かれ、ほとんど待たずに、
陛下と軍務尚書と憲兵総監と幕僚総監と秘書の人と言ういつものメンバー。自分が偉い人嫌いなので絞ってくれてるんだろう、ありがたい。
しかし、偉い人なのに、こんなにあっさりすぐに現れていいものなのか?
まあ、とりあえず、片膝をつき宝剣を両手で捧げる。
すると皇帝陛下がそれを取り、後ろの幕僚総監に渡す。
「よくやったな!兵長から間もなく来ると聞いて、待っていたぞ」
「すみませんお待たせして」
「いや、よい!何でも見たことも無いスキルを取得して、更なる高みを目指さんとの事では無いか、全くどこまで登りつめる気なのか」
「いえ、とんでもない。ただちょっと思うところがありまして」
「そうかそうか。それではまず褒美だが、今回の邪神の化身戦で支払った分の倍を用意させてもらったので、受け取ってくれ。さらには装備その他選べるようにリストを作成しておいたので、ゆっくり考えて選ぶがよい。【古都】の兵長に渡しておこう」
「はぁ、恐縮です」
「いや、そんな畏まることは無いぞ!そして、今後の役職だが【将軍】となった」
「へ?【将官】ではなくてですか?」
「うむ、すでに【教国】の重職にも就き、さらには各国の信用も大きな隊長だ。もうな世界共有の重要人物として【将軍】と言う事にした。魔物や邪神関連なれば、どこの国でも【兵士】を引き出せるから遠慮なく言うといい」
「そんな事を遠慮なくって・・・」
「なんなら他国の【兵士】スキルも取得できるから気になるものがあれば取得すればいい」
うへ~・・・なんちゅう事になっとるんじゃ・・・。
「ああ、そう言えば、何か頼み事があるって兵長から」
「そうだな、少々言いにくい事なんだが、我が国に限らず大事件や特に邪神の化身関連については記録を残す事になっていてだな」
「ああ、そう言うのは大事ですよね。なにか質問が有るとか?」
「いや、記録と共に実物を残す必要があってだな」
「ああ、装備品ですかね?」
「そう!そういう事だ。出来る範囲でかまわない。【将軍】としての職務もあるだろうし、本当に出来る範囲でいいぞ」
なるほどな。どこでそういう話になるかと思ったけど、ここがそのタイミングか。正直、自分の今の装備はちょっと異常性能だもんな。
多分初の邪神の化身討伐の為にハードル下げる用のレア装備を根こそぎ自分が貰っちゃった様な状態なんじゃないかって、ちょっと思ってたし。
「分かりました。どこに渡せばいいですか?」
「隣室を用意してるから、そこで預けてもらえるか?幕僚総監が同席する。代わりの装備はおって用意しよう。同じ性能は約束出来ないが、出来うる限り希望に沿う物を用意すると誓おう」
「了解」と一応お決まりの敬礼をすると、幕僚総監以外は退出した。
そして、隣室で装備を預けて行く。
しかし、アクセの〔酒呑の味方〕だけは渡せないっていうか渡したくない。アイテムバックははなから渡せない。ん~後は・・・いいか。代わりの物は貰えるんだし、全部渡そう。
「ん?これはなんです?」
「え?銃ですけど?」
「これは我々では保管出来そうもないので、お返ししますね」
と、銃だけは返された。未だにこれ以外の銃は見たことないし、なんかイベント用の品なのかな?
本当にそれ以外の装備は渡してしまう。
初心者服にどこにでも売ってる靴。目立たないボロイ灰色ローブを頭から被り、ごく普通のベルトに銃だけさして完璧。
ベルトに直接銃さすとか裏家業みたいだな。まあいいか。
なんかすっきりした!これで、やっと何のしがらみも無い!