412.狙撃台にて【帝国】お茶会メンバー
「はぁ・・・今の完璧だったでしょ?」
「ですね。完全にやられました。カウンター急所は中々きついものがありますね」
「いや、全然駄目だろ。隊長もくらってんじゃ無いか」
「いや、くらうでしょ!寧ろくらいながら、目の見えないままカウンターを急所に決めてるんですよ!」
「だ~から~最初から言ってるだろ。皮膚一枚切らせて、切り返すんだよ。肉を切らせて骨を断つんじゃない。皮膚一枚切らせて、真っ二つだ」
「え~、それは無理だ~。もう奥義『肉斬骨断』とかでいいじゃん」
「仕方ないか。一応及第としておこう。邪神の化身相手で使えるかは分からんが、やれるだけやってこい」
「お疲れ様です!剣聖の弟子も長々とありがとう」
「別に構いませんよ。いつもお世話になってますからね」
そして、剣聖の弟子と連れ立って【馬国】に向かう。
一応【馬国】の宿を死に戻りの時のポイントに変更し、決戦予定地点の下見に向かう。
多くのプレイヤーが拠点としてる都なので、決戦地点に用がある人は結構いる。
NPCの案内人を頼み、集団で移動。
近隣の魔物はほぼ狩りつくしてるので、ただあっさりと進むだけ。
自分と剣聖の弟子は普通に走るスピードが早いので馬にも乗らず、さっさと決戦地点に向かう。
邪神の化身を誘う為のレギオンボスはいまだ健在。
邪神の化身は相変わらず、見つからないという事は完全隠蔽状態なのだろう。
そして、結構しっかりした狙撃台も出来ていた。
「僕は今回は前線に行きたいので、向こう見てきますね」
「ああ、ありがとう。前線は任せる」
剣聖の弟子と別れ、狙撃台に向かうと。アンデルセンが、高くなってる狙撃台から周囲を見回していた。
「よう!隊長!中々いい狙撃台出来たろ?」
「そうだね。今回はこっちで全体の様子を見ようかな」
「それがいいだろうな。正念場だし、なによりそれなりのレベルの連中は次こそ聖石破壊するつもりで、気がはやってるからな」
「自分は出来る事はやったし、今回は見学かな」
「いいじゃないか、総大将なんだ。ここで鷹揚に構えてろよ」
高原の中でも高くなっている土地にさらに周囲を一望できる狙撃台。
餌のレギオンボスは眼下をうろつき、
そして、設置されたバリスタでは、ビエーラとカヴァリーが何か雰囲気を作ってる。
「責任重大な役目だね。敵の姿は分からない、敵の能力も何を使ってくるのか分からない。しかしここぞという所で、決めなきゃならない」
「大丈夫、私ははずさないもの」
「君は何で、この仕事を引き受けたんだい?」
「私にはこれしかないから、皆それぞれに強くなってるけど、私は今も超距離射撃のみなの」
「これしかって・・・」
「隊長がわざわざ私の役目を作ってくれて、クラーヴンが狙撃台とバリスタを作ってくれた。後はやるだけ」
「そっか、分かった。そしたら何があっても君を守るのが僕の役目だ」
「(なあ、アンデルセン、いい雰囲気だし、一旦離れないか?)」
「(そうだな。そうしよう)」
「二人ともどこかに行こうとしないの」
「なんか、邪魔かなと思って」
「そんな事ないの、決戦の時はこの場にこの【帝国】の4人がいるの。ソタローは前線指揮官になるみたいなの」
「自分達はバックアップ要員だね。ここぞという所で、一撃食らわせて欲しい」
「隊長はどうするの?」
「見学だね。アンデルセンはどうするの?ずっと軍師でトドメさしてないじゃん」
「俺は邪神の化身戦皆勤賞でいいや。参加するだけでも報酬もらえるし、元々補助タイプの術士だからな。カヴァリーは?」
「僕は彼女と一緒にいます。何かあれば、二人で騎乗してつっこみます」
「まぁ、プレイヤー全戦力で、囲んで殴れば倒せると思うけど、一応何があるか分からないし、何人かは離れて見てた方が安心じゃない?」
「確かにな。何が困るって分離できるってのがネックだぜ、徐々に弱ってはいるんだろうが、攻撃系の能力だけでも後三つあるだろ。さーっと抜けられでもしたらな」
「瞬間移動は剣聖の弟子になんとか追いついてもらうしか無いよな~。やっぱり俯瞰で見て、いざとなったら走れるカヴァリーと自分が控えてるのは有りだな。」
「なんとか、完全隠蔽能力だけでも剥ぎ落としたいな。それさえなきゃ、後は逃げ足の瞬間移動と、防御の壁と砲台、あとの二つは分からんが、攻撃能力だろ?」
「必殺の剣が、範囲完全即死とかえぐい能力じゃない事を祈るけどね」
そんな事を話しているとクラーヴンも現れた。
「よう、中々いい出来だろ?俺も流石にやる事ないだろうから、ここで見学するぜ」
「クラーヴンお疲れ!色々面倒かけて悪かったね。しかしクラーヴンもとなると、この場には【帝国】【古都】の5人で待機か」
「いいじゃねぇか、顔なじみで邪神の化身、このゲームの大ボス戦を見学と行こうぜ」
「だね。問題はどのタイミングで、邪神の化身が、あの魔物に食いつくか」
「隊長があの竹ミサイルを発見した日から移動速度を逆算して、今度の祝日に集まれるだけ集まろうって話になってるぜ」
「そうなると、祝日仕事の人は今回の邪神の化身戦は、ほぼ参加できなかったのか」
「まあ、総大将が隊長だから、隊長中心の予定なのは仕方ないさ。休日出勤だけは勘弁してくれよ」