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406.地味作業

 「はいじゃあ、作戦を説明します」


 「いや、もう集めたメンバーと格好で分かるわ」


 「アンデルセンはいつも攻略に参加してくれるのはありがたいけど、現実(リアル)は大丈夫かい?」


 「どうやら、俺は隊長と生活サイクルが近いみたいで良かったぜ。でも今回はそうでもないな」


 「うん、アンデルセンの予想通りなんだけど、この竹やぶを皆で開墾します」


 「まあ、そうなるよな。一応有志で火精術を使っても、すぐに次から次へと生えてきたし、しかも面倒なのは伐らずにこの竹に触ると、生命力を吸われるって事だな」


 「早々に情報を集めてくれた有志には感謝するって伝えておいて。お金でよければ言ってくれれば支払うし」


 「そう言う情報料的な物もちゃんとNPCから出るんだぜ。隊長が全部背負わなくても別に大丈夫だ」


 「そうなんだ?後でまとめて請求すればいいやって思ってた」


 「なんか、そう言うところはちゃっかりしてるな。いや経費の請求だからしっかりしてると言っておくか」


 そんなこんなぼちぼちと作業を始める。


 <伐採>可能なプレイヤーが竹を倒し、伸びる前に<採取><採掘>可能プレイヤーが根っこをひっくり返し、掘り出す。


 さらに、竹の間に詰まった薮は<採取>プレイヤーがやっぱり刈り出す。


 この作業は騎士殿が尋常じゃないスピードで、薮を無に帰して行った。


 掘り出しても、魔素と霊子になって消えてしまい、なんの素材にもならない。


 成果の出ない作業だが、黙々と進め、邪天使本体に続く道を作っていく。


 ちなみに戦闘組は、たまに近づいてくる骸骨達を狩って、魔石を吸収されないように防いでいる。


 一度、骸骨が竹に触れた瞬間、いきなり力が抜け、目の奥の謎の光も消え、バラバラになって霊子になって消える姿を見たが、なんとも不気味だった。


 自分達がうっかり触れると生命力をぐんぐん吸われて、周りの竹やぶが元気になるので、触れないように要注意だ。


 自分も<採集>で薮をかったり、葉っぱを刈ったりと手伝っている。


 邪神の化身を相手にしているとは思えない、地味作業だが、着実に道が出来てきているので、間違いではないのだろう。


 皆適宜休憩を入れながら、自分を含む料理できるプレイヤーが食事をつくり、飲み物を用意して。


 たまにはこういう、のんびりした攻略があってもいいかもしれないな。


 斬った張った、死ぬか生きるかばかりじゃ息が詰まるよ。


 作業しながら、アンデルセンが声を掛けてくる。


 「なあ、隊長は今回のボスの能力は何だと見てる?」


 「自分の予想では長距離攻撃だと思う。動かずにいるのが根拠」


 「俺も同じ考えだな。細長い本体が傾いてきて、例の世界樹の方にでも向いたら、慌てないとな」


 「どれくらいで魔素が溜まるかだよね。竹が生えるって事は根があるんだろうし」


 「根から魔素を吸収してるとしても、いきなり土地やら根やらふっとばす方法も無いしな」


 「フェニックスフレアボムで、囲んで爆破してみる?」


 「本体を倒せずに、折角の作業が無駄になっても嫌だし、たまには地道にやってみようぜ」


 そんなこんな、ログアウト時間になったので、自分は先にお暇。


 特にシフトや何かは決めてないが、時間のあるプレイヤー達が竹やぶ刈りを絶え間なく続ける作戦。


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作業する事、数日。


 すっかり邪天使本体周りは綺麗になった。


 几帳面な日本人の性質?なのかやたら綺麗にきっちり刈り尽くした。


 近くで霧もかかってない状態で見るとやたら太くてデカイ竹だが、根元は極太と言うか台の様になっている。

 

 どこを継ぎ目に折れ曲がって、砲身を世界樹に向けるのかな?と色々観察してみるが、


 なんか一本で節こそあれ、継ぎ目が見えないんだよな。


 「おおい!玄蕃!これ潜りこめるぞ!」


 と、大竹の中ほどにある穴から顔を出してるのは三羽烏。


 大竹をよじ登ったのか。そして狭そうな穴から潜りこむなんて、子供か?


 盾持ちや、重装備じゃ入れなさそうな丸穴。


 自分でも剣が引っかかるので、先に剣を穴に入れておいて、追って体を捻じ込んで行く。


 中は外から想像したより狭い空間。


 一応床はあるが、片隅には上と下に抜けられる。やっぱり穴。


 正直な所、三羽烏と狭い空間に閉じ込められてるので、息苦しい。


 「どうする?上か、下か、ボスがいるんじゃ無いか?」


 「え?こんな狭い空間で戦うの?」


 「いや、上と下はもう少し広いんじゃないか?それにしてもボスと戦うにはかなりきつそうだがな」


 その時、急に建造物が振動しだす。


 何事かと、丸穴から顔を出せば、地面が遠い。集まっていたはずのプレイヤー達が火に巻き込まれて、吹っ飛ばされてる。


 「え???飛んだ?」

 

 「あのよ、玄蕃、打ち上げられたんじゃないか?」


 「どういうこと?」


 「だから、これ砲身じゃなくて、ロケットっていうか、ミサイルなんじゃないか?」


 「え?なにそれ?どうしよう。ミサイルって」


 「炎を吹き出し加速の能力だろ」


 「ええっと、ミサイルって事はこのまま世界樹にぶつかるって事か」


 「ゲームのミサイルがどうかは知らないけど、こういう長距離ミサイルってのは外れやすいから、弾頭に強力な兵器を積むもんなんだが・・・」


 「弾頭にも聖石があってボスがいるかも?」


 「だな。爆発とかの能力は聞かないし、何だろうな」


 「・・・この邪天使に今確実に残ってる能力は、瘴気を垂れ流す能力。まあ打ち上げた発射台みたいなのが残ってれば分からないけど、でも可能性はあるかな?」


 「つまり世界樹周辺に落として、瘴気で汚染して弱らせようって腹か。弱らせた所でビームのつもりかもしれん」


 「こりゃ、なんとしてでも止めないと」

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― 新着の感想 ―
[一言] 何故だろうダンジョンなのに脳裏にはテッ◯グヤが鎮座しておる…
[一言] ロケット系かぁ。 途中切り離しとかで、2段ロケットとかだったりするんだろうか? とりあえず、何故プレイヤーが乗り込む穴があったのかも少し疑問な感じですね。 はたして、その穴はミサイ…
[良い点] おお!タイムアタック!! 下手なタイミングだとミッションクリアしても死に戻り(デスルーラ)しそうですね。
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