401.監視依頼
一先ず【古都】の【兵舎】へ。
もうね、誰が何と言おうと自分の拠点はここなんだよ。
そして、兵長と一緒にお偉方も待っていてくれる。ありがたい事だ。
「首尾はどうだ?」
「とりあえず、魚型を倒して、3個目破壊達成。本体と見られる建造物を発見。これから霧の対処を考える所」
「なるほど、順調だな。と言うより随分とペースが早いんだな」
「あくまで予想だけど、相手の魔素供給源を絶っちゃった可能性があるから、早いほど有利・・・かもしれない」
「まあ、早いに越した事は無いか、少しでも余裕があった方がいい。それでそろそろ報酬は決めたのか?」
「そこで、一個頼みがあるんだけど」
「何でも言え、報酬はちゃんと出すし、邪神の化身を倒す為なら何でも協力するぞ」
「大砦から、大霊峰まで、動員できるだけ動員して監視網を作りたいんだよね」
「一応、理由を聞いてもいいか?」
「あくまで可能性だけど、邪天使が分離して魔素収集してる可能性がある。しかも完全隠蔽能力付きで」
「そんなもの、どうやって見つけろってんだ」
「急に魔物が消えたとか、そう言う些細な情報を集めたいんだよね」
「そうは言っても、大砦から大霊峰まで距離だけでもかなりあるのに、どれくらいの幅を監視すればいいのかも分からんてのにだな」
「うん、だから自分の権限で、動員できるだけ動員したい。戦闘じゃなくて監視だけでいいから、衛兵とかも」
「それでも、全然手が足りないだろ」
「そこに、金貨100万枚と【教国】からの賠償金、ここまでの自分の褒賞で、傭兵でも【闘士】でも戦闘職と雨風凌げる監視小屋を造れる職人を雇って欲しい」
「お前がそこまで出すことも無いだろ」
「あくまで予想だからね。空振りした時の事も考えたら、自分が出すのが一番後腐れないでしょ」
「分かりました。その件は私の方から掛け合いましょう。必ず出来る限りの動員を掛けますので、任せてください」
と、幕僚総監が請け負ってくれた。この人は皇帝陛下に直接物言いできる人だし、悪い事にはならないだろう。
とりあえず、用事は済んだしどうするか。
ボス戦があまりにもあっさりしてたので、手持ち無沙汰だし、散歩でも・・・。
「暇なら教官の所に行け、まだ奥義をものにしてないんだろ?」
「自分に習得できるとも思えなくて」
「習得できるから、教えてるんだ。一本いっとけ」
だよな~。奥義か。剣聖の弟子も付き合いいいから、手伝ってくれるんだけどな。
訓練所に向かえば、まるで自分が来ると知っていたかのように待っていてくれる剣聖の弟子。
「また活躍したと聞きましたよ。全く僕がログインできるの待ってくれればいいのに」
「ああ、それは悪かったよ。昨日急に決まって、自分がログイン出来次第やるって話になっちゃったから」
「僕はニアミスでしたね。まあ誰もが生活リズムがぴったり一緒では無いですから、仕方ないですけど。今回の総大将は隊長ですし」
「さて、おしゃべりはそれ位で、そろそろ始めるぞ」と教官
「前回と同じで斬りあえばいいの?」
「基本はそうだが、なんか奥義使えなくても結構互角にやってたろお前」
いや、大分追い詰められてたし大変だった気がするが?
「確かに隊長は免許皆伝じゃないはずなのに、装備の力も借りずに僕と互角でした」
何で余計なこと言った?
「そしたら、今回は目隠ししてやるぞ!皮膚感覚で、空気の流れや、刃が自分に触れた瞬間を掴め」
「そんなん無理じゃん。皮膚感覚にどれだけの信頼を置けばいいのさ」
「絶対の自信を持てるまで、斬られればいいだろ?」
「ただの拷問じゃん・・・」
そして、その日は剣聖の弟子とまた斬りあえるだけ斬り合い、飯食って寝た。
いや、斬りあえるではない。斬られまくってだ。
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孫が!孫がまさか対邪神の化身総大将じゃと!!
邪神の化身と言うのは何でも、このゲームの世界中の人々が力を合わせて戦う敵じゃとか。
出世したのぉ・・・。
こうしてはおれん!わしが孫の剣となり盾となってやれぬで、何の為の騎士か!
はじめは何故騎士にならんのかと思っておったが、まさか世界を救うために人々を率いる立場になったとはの。
外海の島におって、こんな非常事態とは知らなんだ。
まだ、わしの活躍の場は残っておるだろうか?
孫の事だ・・・下手をすれば、速攻で敵の急所を抉り、にっちもさっちも行かない状態にして、どんどん追い詰めているかもしれん。
邪神の化身と言うのがどの程度強いか知らぬが、孫を敵に回したのが最大の間違いじゃ。
わしと孫、さらに聖女様まで参加しとるとなると・・・。
この時代に復活したのが間違いじゃったの邪神の化身!
待っとれ、今行くぞ!
孫よ、ちょっとだけでいいから、わしにも活躍の場を残してくれてもいいのじゃ!