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396.無限増殖阻止

 妙にだだっ広い空間、硬くも無く柔らかくも無く、


 学校の校庭に敷いてあった硬質のゴムみたいな感触。


 まあ、十中八九戦闘か。空間の広さから、一人でも戦えるサイズなんだろうけど、デカイ相手だろうな。


 しかし、こんな体の内部みたいなグチョグチョ系の場所で戦う相手ってな。


 そんな事を考えている内に、表現しがたいグロテスクな音と共に、天井から大型の生き物が降りてくる。


 天井に何本もの管が繋がり、皮膚の無い神経や粘膜むき出しの生き物。


 管と同期する鼓動が、生き物であると認識させてくる。


 そういえば、伝説の頃の邪神の化身はいくつも姿があったらしいし、この姿もその頃の名残なのかな?


 しかし、いつもならもう少し鐘の内部ぐるぐる歩かせそうなのに、随分あっさり出すな。


 中ボスなのか、大砦に突っ込むまでの時間制限バトルゆえのサービスなのか。


 何となく後者かな。変形連戦の可能性はあっても、中ボス倒して奥に進んでね(ハート)の雰囲気じゃない。


 造型と言うかプレッシャーと言うか、本腰入れてやる相手だ。


 出てきた時点で完全に自分を認知している相手、何て呼ぶかな。


 グロいマンドラゴラが、釣り下がってるみたいだから、グロ人参て呼ぶかな。


 そんなしょうもない事を考えている内に、口らしき空洞が空気を吸い込む動作に、


 「『行くぞ!』」


戦陣術 激励


 同時に酷い叫び声と共に衝撃がぶつかる。


 鐘の内部でも隊を率いている状態が続いていて助かった。


 過去一番士気を削られ、中和してなかったら、この一撃で動きが取れなくなるところだったわ。


 そして、殺気を感じ横に避ける。


 次から次へと追うように頭上から降ってくる殺気に、避けながらチラ見すると、


 グロイ血管のような管が次から次へと天井から突き出て、地面にぶつかる。


 先端が尖っている様に見えないところから、吸収系かな?


 吸い付いて、吸収してくるみたいな。あくまで予想だけど、くらいたくない!


 次から次へと天井から降ってくるが、十分に避けられるスピードだ。


 本体と見られるグロ人参へと距離を詰める。


 後、二歩という所でグロ人参の体の中央に穴が空き、液体が噴出す。


 転がって避けると地面から黄色い蒸気が立ち上がるのは、酸か毒か。


 まあ、今更そんな物じゃ怯みませんよと、サイドから距離を詰め、剣を一振り傷をつければ、


 赤い微粒子のような霧が噴出す。


 反射で顔を背け、しゃがみこみ、口元のコックを回したのは、ただ何となく、吸いたくない一心。


 そのまま、赤い霧に包まれるフロア。


 どんな効果だ?装備が壊れないなら酸じゃないし、デバフも出てない。


 つまり、吸い続けると危険な奴か?多分。


 たまたま、蛇装備で助かった。さっきから偶然助かってるけど、まだ一撃しか入れられてない。


 さて、この状態は時間制限あるし、ちょっとばかり焦りますか。


 即斬りかかると、頭上の血管に引っ張られるようにあっという間に空間の奥に引っ込むので、やむを得ず追いかける。


 走り始めて、数歩で壁から足元にグロイ管が伸びてくるのでジャンプして避け、今度は頭を狙うように伸びてくるので、屈みながら走り抜ける。


 障害物のように管が伸び、急に足場が膨らんだり、天井が迫ってきたり、全力で避けながら駆け抜ける。


 最後の一歩という所で、また液体を吐き出してくるが、読み通りの攻撃なので避けて、横薙ぎの一撃。


 また、赤い霧を噴出すが、それは既に空間中に満ちてるので知らん。


 剣を振り上げ縦切り、そこで空気を吸うモーションのグロ人参。


 「『行くぞ!』」


戦陣術 激励


 叫び声と共に、士気をごそっと削ってくる。


 「おい!隊長!何やってんだ?士気が際限なく上がってそろそろやばいぞ!」


 「ごめん、士気削るボスと戦ってるから、調整頼む」


戦陣術 戦線維持


 状況が読めないので、デメリットの無い術を使うが、どの程度役に立ってるか分からない。


 一撃ごとに何かしらしてくる相手だが、やるしかない。


 ダメージをくらっていれば<復讐>って言う選択肢もあったのだが、今は無理。


 敵の攻撃を避けつつ、


武技 追突剣


 また、赤い霧を噴出し、空間がもっと赤く染まる。


 そして、ふと思う、あの穴が口なんだよな?多分。


 〔空駆の長靴〕で二段ジャンプをしつつ、口を塞ぐように手を当て、


擒拿術 梔子


 手応えはあったので、そのまま斬りつけると、叫び声を上げない!


 そのまま、ばさばさと連撃を加え、空間が真っ赤に染まり、殆ど周囲が見えなくなる。


 しかし、グロ人参の中央に光る石を見つけ、剣を納めるとすぐに宝剣を抜き、斬りつける。


 宝剣ならダメージを与えられるとかそんな説明は無かったが、今までの経験上、それしかないって言う直感に任せ、石を割った。


 ずるずると崩れ落ちる天井、そして壁。


 粘膜が破け噴出す粘液。


 しかし、地面に触れるたびに瘴気になって消えて行く。


 どれ位、我慢しただろうか、天井に大穴と空が見える。


 地面はさっきのまま硬質ラバーのような感触。


 ぐるっと周囲を見ても何もないので、宝剣で地面を思い切り殴ってみると、


 一瞬だけ透過した地面の下で何か繭のような物が見えた。


 透過した地面はうっすらピンクに色づきすぐまた元の硬質ラバーのようになってしまう。


 宝剣でも傷がつかないって事は攻撃を防ぐ壁ってやつかな?


 つまり、この邪神の化身戦の進行上、ここから先はまだ駄目だよっていう。運営の意思を見た。


 壊れる場所が一箇所でも無いか、宝剣で殴りまくってもいいけど、ちょっと疲れた。


 一旦外に出よう。無限増殖が無くなったのなら、次は本体との戦いだ。

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― 新着の感想 ―
[一言] すっごいどうでも良いけど >そのまま、赤い霧に包まれるフロア。 が、赤い霧に包まれるアフロに見えた。 目の錯覚、、、にしては我ながら酷い。
[一言] 外でも連動して士気低下攻撃してるものかと思ったらそうでも無かったのね 士気低下攻撃を喰らわずに、隊長が何回か士気上げスキル使っても暴走しなくなったのは成長を感じる>嵐の岬
[一言] 血管が触手だったら大惨事だった
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