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387.『邪天使』

 救出隊の準備は出来てるって言ってたし、任せて一回ログアウトしたけど、大丈夫だったのだろうか?


 再びログインして、部屋を出れば【兵士】が一人いて、話しかける間もなく別の部屋に案内される。


 もしかして、失敗したから大急ぎで向かってくれと言うなら、走って向かうつもりだ。


 だが、部屋に着けば第7機関長が待っていた。


 「よう、ゆっくり休めたか?」


 「ええ、まあ、無事で何よりです。それで、何から聞いたらいいか」


 「まあ、待て、一先ず指名手配の件はすまなかった。代表して謝罪しよう。そして、補償の方も間違いなくするので、詳しく話が決まるまで、待ってくれないか?もし話し合いに参加したいのなら、当然参加する権利もあるが」


 「いや、別に自分は指名手配じゃなくなれば、それでいいので、任せますわ。何より第12機関長のやらかした事の方が大変でしょう」


 「うむ、色々と面倒な事も調整が必要な事もありそうだな。聖石の精神操作についても明らかになったしな」


 「じゃあ、自分は無罪放免、ここからは好きにしていいって所ですかね」


 「そうだな。と言いたいところだが、一度【帝都】に向かって欲しい。流石に所属の上の者に報告も必要だろう?」


 「自分の上の者は兵長なんで【古都】で事足りるんですけど?」


 「まあ、そう言わずにな。何だかんだ【帝国】は今回の指名手配の件、何かと動いてはいてくれていたようだし、あまり邪険にするもんじゃないぞ」


 「迷惑掛けたのは確かだし、挨拶くらい行っておきます。軍務尚書がいてくれるとダガーの師匠だし、話が早いかな」


 そう言って、ポータルに向かう。


 どうやら、完全に自分の指名手配じゃなくなった事はちゃんと通達されているようだ。


 よく見たら指名手配書の一枚も残ってない。まるで自分が指名手配だった事自体が無かった事のようだ。


 遠くには巨大な鐘が見えているが、いつの間にかまた瘴気を纏っている。こんな距離から見える程の濃い瘴気ってのも、なんだか不気味だな。


 あそこでただ浮いて、何やってるんだろうか?


 ポータルに近づけば、なぜか先に順番を譲ってもらえたので、ポータルに触れて、


 「帝都」


 行き先を告げれば、ぐにゃっと体が曲がるような感覚と共に久しぶりに見た街並みだ。


 しかし、ポータルの前から真っ直ぐ道が空いており、警備と思われる【兵士】達が道の両側で警備している。


 幕僚総監が正面に立って待っていた。


 「お久しぶりです。丁度良かった!忙しくなければ、報告して帰りたいんですけど」


 「なるほど、じゃあ、報告は歩きながら聞こう。ちょっとだけ手続きしてもらいたい事があるんだ」


 「ああ、そうですよね。だいぶ空いちゃいましたからね。何か色々あるんでしょう」


 「安心してくれていい。煩雑な事はこちらでやるから」


 それは助かるな~。出来る上司を持つと本当に楽だ。


 道の真ん中を二人で歩き、今まであった事を出来るだけ簡潔に説明する。


 「それにしても今日は何で道の真ん中が空いているんですかね?」


 「まあ、そういう日もあるから気にしなくていいよ。それより報告の続きを頼む」


 何だかんだと濃い日々が続いたので、詳細を説明しようとすると時間がかかる。


 それにしてもさっきから、何か放送が聞こえるが、反響しすぎてよく聞こえない。


 まるでうちの地元の夕方の放送だ。


 「・・・伝説の時代・・・邪神の・・・復活・・・」


 邪神の化身復活?え?やばいじゃん!誰もそんなこと言ってくれないし、幕僚総監いつも通りだよ?聞き間違いか?


 しかし、自分はどこに向かっているんだ?イグラントに行くにはここ曲がるはずなんだけど??


 「敵は・・・瘴気を・・・ニューターのみ・・・」


 そして、何故か【帝都】で一番入っちゃいけない場所に連れて行かれる。


 そう、皇帝陛下のお城。絶対関わらない場所だと思って名前すら知らん。


 門からは赤いカーペットが敷かれており、当たり前のように進む、幕僚総監。


 そして、皇帝陛下の前に片膝付いてしゃがむので真似をすると、皇帝陛下から以前返却した完成した宝剣を渡される。


 こういう時に言う言葉は、


 「謹んでお受けします」


 「今世に現れた邪神の化身の呼称を正式に『邪天使』と命名し、対邪天使総大将として無制限指揮権を各国政府より預ける物とする」


 ?何の事?


 「(つまり【教国】に現れた邪神の化身をちょっと行って倒してきて欲しい。各国からの支援はあるし、必要なだけ【兵士】も引っ張っていい。君が総大将だ)」


 小さな声で、耳打ちしてくる幕僚総監に、


 「(いや、何で自分が?)」


 「(詳細は後で説明するが、現状敵は非常に危険な域の濃度の瘴気を纏い、近づけるのはニューターのみだ。世界のニューターの中で最も多くの人数を率いれる君にしか出来ない。長い雌伏の後で疲れているとは思うが、頼むよ)」


 えええ・・・ちょっと待って・・・つまり嵌められた?


 ちゃんと説明するとまた逃げて、今度こそ捕まらなくなると思って!皆グルだったな!


 まあ、その通りだから何も言えないけど!


 にしたって、総大将って、なによ。精々1,000人率いて片翼任される位だと思ったのに、


 何より、邪神の化身いつ現れたのよ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 邪天使・・一昔前なら使徒とか言われそうな? 怪獣かな?
[一言] 隊長のピンチとは全ユーザーのトップに祭り上げられる事だった(確信)
[一言] >安心してくれていい。煩雑な事はこちらでやるから この時点で煩雑な事が必要なことをやらされるんだって気づけないから… 気づいたら逃げるんだろうけど
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