386.破滅の光
スカーフの力でふわふわ浮いて、対邪神の化身兵器を追う。
真下をのんびり浮いて追えば、勝手に古の施設設備を破壊して、大穴を通り抜けて行く。
ただのでっかい鐘が、浮いて強制的に折角の設備を壊していくのは、笑うしかない。
不謹慎なのは分かるけど、ドカーンバキバキ!なんて音がずっと頭上から鳴り響き続けるのは、まともに受け取ったら心臓に悪い。笑って済まそう。
周りを落ちていく鉄骨、機関長達が潰されなければいいけど・・・。
辺りが一気に明るくなったと思ったら、いつの間にか外、そして対邪神の化身兵器の底に頭をぶつける。
なんか、動かなくなっちゃったので、自分は底を伝って、穴の外側へ。
浮いたり、沈んだり繰り返して、何とか穴の縁。
少し離れてみると、鐘の上部に顔のような物がいつの間にか彫られていた。
コレが、聖石の力を発揮できる姿なのかな?と観察してみたが、結局は鐘。
顔が書かれた事で、何となくアイアンメイデンにも見えなくは無いか?
まあ、いつまでも見ててもしょうがないので【教国】に向かおうとした所で、異変。
瘴気の放出が急に消え、
あれ?コレなら助けを呼びに行かなくても大丈夫かな?と思っていたら、
鐘の顔が描かれた場所から、光が放たれた。
まだ明るい辺りの色を奪い、一色に染めるような激しい光、
一直線を描く極太の光線が空を切り裂く。
遠く遠く、うっすら見える大霊峰を貫いたかと思ったら、光線がはじけ飛び、四方八方に散らばり、危険すぎる花火のようだ。
そして、完全に沈黙する対邪神の化身兵器の顔の部分は消滅し、顔に穴が空いたようになっているが、自分の位置からじゃ、中身は見えない。
その後は、完全に沈黙。
取り敢えずは、どうしようもないかと【教国】に向かう。
まあ、大穴は【教国】内なんだけど、中心の都に向かうって事。
もうね、指名手配でもなんでもないので、大手を振って、都に入る。
偶に【兵士】達に顔を見られるが、もう知らない!大丈夫!
さっさと中央に向かい【兵士】に声を掛ける。
「ごめん緊急なんだけど、第9機関長に会わせてくれない?他の機関長がピンチなんだよ」
と言って、勲章を見せる。
かなり慌てた様子の【兵士】さん。
指名手配犯はいるし、機関長がピンチだって言われるし、指名手配犯は何気に【帝国】の役職のヒトだし、そりゃ普通の【兵士】が請け負うには重責過ぎるの分かるけど、ここはがんばって!
自分が差し出した勲章をよく見て、尚更息が上がってしまう【兵士】さん。
落ち着け~落ち着け~。
と、思っていたら、意を決めたようにダッシュする【兵士】さん、まじダッシュで建物に消え、まじダッシュで戻ってくる。
「す、すみません。上司を呼びましたので!」
うん、賢明な判断。しかも本人に出来る本気を出したのがよく分かって、好感しかない。
そして【兵士】のただ事じゃない雰囲気に、急いできたであろう上司。
自分を見るなり目をひん剥くが、流石は上司冷静に質問してくる。
「機関長が、危機に瀕していると聞きましたが・・・その指名手配犯を奥にお通しするのは・・・」
「分かってるけど、自分は指名手配犯外してもらったから、勲章見てもらえば分かると思うけど、自分も機関長になったから、危険だと思うなら100人でも1,000人でも囲んでもらっていいから!」
自分もちょっと焦ってるようだが、緊急事態だししょうがない。
「い、いえ!私が同行します!」
と【兵士】の上司。中々に肝の座った人物のようだ。
すぐに、建物の内部に案内され、以前通された第9機関長の待つ部屋に、移動。
「これは、隊長殿どうされましたかな?」
第9機関長の落ち着いた様子に【兵士】の上司も落ち着きを取り戻したようだ。
「すみません、急なんですけど、緊急なんです。機関長達が大量の瘴気で身動き取れなくて。大空洞の底に救出隊を派遣してもらいたいんです。ちなみに自分は指名手配を外して貰いました。あと対邪神の化身兵器が光を放って・・・」
「まあ、落ち着いて下さい。私は隊長殿を信用していますよ。救出隊は準備できていますので、すぐに派遣しましょう。それで、対邪神の化身兵器はどうなりましたか?」
「巨大すぎて破壊できるかも分からないし、自分がここに来る直前までは動いていませんでした。燃料である魔素を大量に使って、準備中なのかも」
「なるほど、そちらも調査が必要のようですね。分かりました。一先ず隊長殿は、待機して下さい。部屋を用意させますので、休む場合はご自由にどうぞ」
取り敢えずは、任せてしまって良さそうだ。
案内され部屋に着き、休憩する。
しかし、あの対邪神の化身兵器は何だったのだろうか?鐘が浮いて、大穴から出て、光をぶっ放し、何かにぶつかったようにはぜる。
訳分からん。聖石は全部もって行かれたし、それなら先に第12機関長なり上司なりに全部渡すんだった。
多分光を放った方向は大霊峰の様だったが、
なんで、大霊峰なの?そこに山があったから?