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364.夜襲

 焚き火の残り火に誘われるように二人組の影。


 声を潜め、物音をたてない様に注意深くテントに近づき、勢いよく入り口を開いて踏み込んだ所を


 少し離れた場所から観察している。


 一人は手に杖を持ち、もう一人は軽装ながらも手ごろなサイズの湾刀を持っているように見える。


 湾刀の形的に【砂国】のNPCかな?プレイヤーなら術士だらけってイメージだし。


 二人組はうろうろと辺りを見回して、自分達を探している様だが、


 こっちからはそっちが丸見えだよ~。


 さて、自分と剣聖の弟子どっちが当たりかな?


 休んでた自分達だが、自分は〔暴鮫の服〕のおかげで気配に気がつき、剣聖の弟子も何がしかの方法で自分で感づき、各々隠れている。


 剣聖の弟子は近くの森の中に縮地で飛び、自分は〔八岐の外套〕の効果で姿を消して川の中。


 川の中から<索眼>で二人組の動きを見ていると、こっちに徐々に近づいてくる。


 どうやら、二人組も何らかの方法で自分の足跡を追っているようだ。


 姿は消してるけど、地面を踏んでいる以上、痕跡は残るよな。


 川を覗き込んでくる二人。


 もうちょっともうちょっと・・・


 二人が足を川に突っ込んだ所で、川上からゆっくり川原に出て近づく。


 姿を消して、剣先を川に漬けながら近づく。


 〔八岐の外套〕の消耗が激しく、気持ちが焦るが、


 ここは慎重に寄せる。


 そして、射程範囲と見たところで、


<青蓮地獄>


凍剣術 獄結海


 二人の足が凍結した川にはまった所で、姿を現す。


 と言っても真っ暗闇なので、ただでさえ黒っぽい装備の自分はよく見えないだろうけども。


 足が嵌ったままでも剣と杖を向けてくる二人、


 しかし、二人川に並んでいる為、ちょっと間抜けに見えなくも無い。

 

 そこに空中に浮く剣が三本襲いかかってきた。


 どうやら剣使いをブラインドにして、術を発動したらしい。


 しかし、この術はソヘイラ様が使ってたので、そこまでは驚かない。多分タロットのやつだろう。


 一本一本丁寧に捌く。


 使い手が振る剣とは違い空中に浮いて襲い掛かってくる剣は、少々力強さが足りない。


 しかし、その剣に気を取られている内に、夜空が輝く。


 星が線でつながり、星座を象る。


 そして、自分の目の前に現れたのは一匹のトカゲ?


 ぎりぎりパーティボスにかからない程度のサイズのトカゲが二人組と自分の間に現れた。


 剣は適当に捌いている内に消えたが、次はトカゲか。


 動きが妙にのろいトカゲは前足を片方振り上げ、そしてこちらに打ち付けてくる。


 正面から受け止めてやる必要も無いので、回り込み二人組の方へ向かう。


 するとその場で、尻尾で地面を擦り上げるように腹ばいのまま回転するトカゲ。


 大きく距離を取り、尻尾を避けるが、二人とは距離が開いてしまう。


 そこに、トカゲに強化を乗せてくる術士、


 自分の位置からではカードの種類が見えない。


 しかし、明らかにバフのエフェクトがトカゲを包み、トカゲの動きが変わった。


 結構なサイズのトカゲが突進、


 剣でブロックするも、地面を抉りながらそのまま押し込まれ、川原の小石が跳ね散らかり土煙が立つ。


 やっと止まりブロックが成立、動かないトカゲの顔を斬りつけまくる。


 トカゲが動き出し、舌で攻撃してきた所を剣でブロック。


 しかし、舌が剣にくっついて、今度は引っ張り合いになり、動けない。


 剣に精神力を込め、冷たくしていくと、相手はより一層力を込めて舌を引こうとするが、


 どうやら、冷たさで今度は舌が張り付いているのか、かなり嫌がっているトカゲ。


 そこから、剣を下げ舌先を斬る。


 舌を引くのに合わせて、距離を詰め顎下の喉の辺りを突く。


 顔を振り回すように暴れて頭をぶつけこられ、突き放されたので、再び睨みあう。


 姿勢を低くした所で、ジャンプして、さらに二段ジャンプで相手の頭上を飛び越え、背中を斬りながらトカゲの背後に下りる。


 そのまま、二人組に向かうと、既に剣聖の弟子が相手をしていた。


 任せておいても、倒せそうな雰囲気だしトカゲと戯れますか。


 後ろから追いかけてきたトカゲの顔を斬りつけて、戦闘再開。


 今度は横薙ぎに前足を振ってきた所をブロック。


 硬直した所で、片目を切る。


 硬直が解けて、嫌がりながらも尻尾を振るって来た所をさらにブロック。


 背中に飛び乗り、頭蓋骨の裏を狙い剣を差し込んでみると、びくっと一瞬動きが止まった。


 やっと、急所が見つかったので、滅多刺しにして倒しきり、


 落ち着いて二人組に近づけば、川から足が抜けて川原で、消えては斬りかかってくる剣聖の弟子に翻弄されている。


 湾刀使いを後ろから斬りつければ、二人してこちらに視線を向け、


 その隙を剣聖の弟子が見逃すはずもなく、抜刀術を術士に食らわし、倒しきった。


 残った湾刀使いも二人がかりで、切り刻めばあっという間。


 夜間戦闘も中々趣があるな~とぼんやり星を眺めていると。


 「まぁまぁの使い手でしたね。この暗さで湾刀の振りを見極めるのは厳しかったですけどいい修行になりました」


 「自分もそっちやりたかったな~」


 「まあ、また機会はありますよ。油断せずに休みましょう」

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― 新着の感想 ―
[一言] いやぁ...ただでさえこの戦いは相手を倒せば倒すほど強くなるのに指名手配が終わったあとの訓練での伸びを想像すると怖いね
[一言] もはや2人にとってはステータスがガンガン上がる訓練状態
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