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358.御披露目試合その2

 「それにしても、NPCばっかりだね。こういうのもっとプレイヤーが参加してそうなのに」


 「なにせ【森国】は過疎ですから、情報を拡散する人間が少ないんですよ」


 「自分は結構和風世界観好きだけどね。時代感は滅茶苦茶だけど、どうせ昔の日本なんて見たことないし、専門家でも無いし」


 「それは僕も同じですね。ゲームだし強くなりたいと思って刀があるって言う【森国】に来た訳ですし」


 「そう!刀とか絶対需要あるじゃん。何で過疎なのか分かんない」


 「ちゃんと下調べしないプレイヤーがエルフがいると思い込んだ所為ですね。後は潜伏したり、身代わりを作ったりと忍者がいると思った結果いなかったりとか」


 「いやいや【隠密】って職業があるから」


 「隠れすぎてて並みのプレイヤーでは見つけられないんですよ。相当情熱のあるプレイヤーが見つけていましたが、僕は感心しました」


 「ああ、三羽烏は自分も好きだよ」


 「あとは刀の扱いの面倒くささですね。自分で手入れ出来るのは当然。刀の主として認められるだけで、面倒で地味なクエストがありますし、そんな特殊な武器なので術剣士的な感じで筋力だけじゃ大したダメージが出ない上【訓練】を相当積まないと使い物にならないと」


 「あれ?剣聖の弟子って<手入れ>出来たんだ?っていうかちゃんと【訓練】すれば剣聖の弟子くらい使える様になるんだから、寧ろ刀いいじゃん」


 「自分が手入れできるのは刀だけです。あと今でこそ当たり前になってきましたけど、ひたすら【訓練】するプレイヤーは元々殆どいなかったんですよ?」


 「刀が使えなければ槍を使えばいいのに!直槍も渋いけど、自分のおススメは圧倒的に片鎌槍、何がいいってあの防御能力に攻撃範囲、両手で操作する事から来る自由度、複合武器ゆえの扱いづらさはあるだろうけど、直槍に鎌がついているって言うそれだけの事なのにそこからくる・・・・」


 「そんなに好きなら片鎌槍使いになればよかったのに、何でならなかったんですか?」

 

 「下調べしないプレイヤーだったから、教官に嵌められてショートソード使いになっちゃった」


 「そうですか、それでそこまでの使い手なんだから、大したもんですよ。ショートソードは逆にシンプルですもんね。大型武器みたいに当てる工夫は必要ないし、筋力が低くても振るえて、剣を使いたい初心者でも誰もが使えるクセの無さ」


 「うん、そんな武器使ってるからいつまでたっても自分は攻撃力上がらないんだよね」


 「いや、無理なスキル構成をしない武器をメインに戦闘手段に幅があるって事じゃないですか、特化の真逆って事ですよ」


 そんな話をしつつ、森の中を進むとまた気配。


 目の前には剣士が一人、どこかで見たことがある気がする?


 ゆっくり刀を引き抜き八双に構えるが、見ているのは剣聖の弟子。


 んじゃ、自分はどこからか奇襲狙いの相手に対応しますかね。


 といっても、どこにいるかも見当が付かないので、剣聖の弟子の手並みを拝見させてもらう。


 相手は<半金属>かな?【森国】だから違う言い方かもしれないけど、


 八双構えで正中線はずらされて、頭、腕、肩、脇腹、脚と装甲が覆っている。


 つまり、正面からの攻撃に対応されているって事。


 自分なら<捕術士>のアビリティ()()()()、装甲の上から攻撃しても急所判定を取れるが、剣聖の弟子はどうするのかね?


 珍しく太刀を抜く剣聖の弟子、


 「『呪怨』」


 一言呟くと剣聖の弟子の横に二つの青い火の玉?というよりなんか魂のようなヒュードロドロなやつが浮く。


 その間も相手は微動だにしない。


 剣聖の弟子が太刀を一振りすれば、青い魂が飛んでいき、


 相手は刀を振ってそれを迎撃、振った瞬間に刀からエフェクトが発するところを見ると術で迎撃してるのかな?


 剣聖の弟子がもう一振り、もう一つの魂が飛び相手は振りぬいた剣を斬り上げるが、今度は術を纏っていない。


 剣と魂が触れるとそのまま相手の体が浮き剣聖の弟子に引き寄せられ、


 それを予想していたように納刀していた剣聖の弟子の抜刀術が発動。


 黒い剣閃に切り裂かれ、打ち返されたように宙に浮いた所で、


 剣聖の弟子は突きの構えで溜め、


 そして緑のエフェクトを纏い力の篭った突進突きで、木に串刺しにする。


 木にぶつかるか否かという所で、


 草むらから殺気を感じ、已む無く観戦を中止し、殺気の出所に向けて発砲。


 即、剣を抜き襲撃。


 大弓使いが氷片を食らって転がっていたので、地面に縫いつけようと剣を突き立てるが転がって避けられた。


 そのまま立ち上がり、大弓の端に取り付けた小さな刃物で、迎撃してくる。


 多分受け手には回れないのだろう。槍の様に連続で突きの雨を見舞ってくるが、


 その突きのうち一つを冷静にブロックすれば、大弓使いが硬直。


 そのまま、切り刻み倒す。


 そして、剣聖の弟子の方に戻れば、そちらも勝負がついていた。


 とどめのシーン見逃したな~。


 「お疲れ、なんかどこかで見た事ある相手だったね」


 「隠忍の連中ですよ。前よりはいくらかマシになりましたけど、まだまだ相手になりませんね」


 「へ~、構えとか様になってたし、防具の装着の仕方もよかったじゃない」


 「構えからの一撃に術を乗せるのが刀の使い方ですから、基本もいい所ですよ。僕の場合は納刀状態が、構えみたいな物ですが」


 「なるほどね、だから二回目の振りには術が乗ってなかったのか」


 「そうですね。その2回目を埋めるのが腕であり、スキル構成なんですけど」


 なるほどね~。刀って術使うのに構えが必要なのか。自分が<戦陣術>使う時に隊形組むような物かね?

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― 新着の感想 ―
[良い点] 毎回、型にはまらない展開と戦闘が楽しみです。 [一言] 刀の構えと1000人隊長の陣形が同じって……まあ、大きさと変更にかかる時間を除けば確かに同じ?
[一言] 居合は実戦向きじゃないとか言われますが、ゲーム くらいは強みがあって欲しいですね。 片鎌槍とはまた渋い武器を、自分は長巻が好きです。 ダガーも良いですね。
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