表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
354/613

354.面の受け取りと目的地へ

 「ここ数日修行風景を見せてもらったが、やはりやるもんだな」


 「何がさ?烏天狗に斬られたい放題、斬られてただけだよ」


 「烏天狗はヒトに指導できる達人揃い、それを相手にあそこまで粘るなど、そうそうあることじゃないさ」


 「そうかね?まあ、烏天狗はまだ一対一だから優しいよ【帝国】に帰ったら、得物の違う三人が一斉に襲い掛かってくるんだから」


 「そりゃまた、心が折れそうだな」


 そんなこんな、小次郎と話していると面が出来たと知らせが入り、工房を訪ねる。


 「お待ちしてました!いい素材のおかげで最高の面が出来ましたよ!」


 そう言って差し出してくるのは、真っ黒い面。


 額に沿う様に曲線を描いた部分は素材を張り合わせてあるようで、厚め。


 額の両端から前に伸び、曲線を描いて、先端は空を向いている角。


 目の上と下で分離しているようだが、眉間とこめかみで重なっていて連結されることで急所の守りが硬い。


 両目には色ガラスが嵌め込まれており、外からでは目の様子は見えない。

 

 口元は鼻辺りから伸びるカラスの嘴になって、その嘴からは牙が覗いてる。


 しかし、なんていうか異様、妖怪みたい。 


 あまり目立ちたく無いって言ったんだけどな~。


 「ありがとうございます。一応聞いておきたいんですけど、何でこんなデザインに?」


 「骨の兜を被る様な方ですので、威圧感と不気味さを表現しました。しかも烏天狗に代わって魔物を退治された猛者と聞きましたので、鬼のような強さも兼ね備えていると一目で分るように・・・」


 骨兜は別に手に入れて性能がいいから使ってただけー!


 しかし、容赦なく後ろに回られ、紐で顔に装着された。


 装着してみると嘴部は下が空いているので、ご飯が食べやすい!


〔鬼烏の面〕 <威圧>

       視覚保護

       生命力補正

       毒耐性

              


 「これは、またなんちゅう性能ですか」


 「ええ、素材がよかったですね。牛鬼の素材で毒、魔樹の素材で生命力、知り合いから供給されたガラス板で視覚保護、デザインで偶々<威圧>が出ました」


 でました!って、多分この人も変わり者のプレイヤーなんだろうな。


 クラーヴンしかり、ポッターしかり、腕のいい生産系プレイヤーは変人ばっかりだ。嫌いじゃないけど。


 「これだけいい物だと、流石にお代を支払わせていただきたいんですけど」


 「いえ、材料はそちら持ちですし、ガラス板も知り合いに、あなたが来たことを伝えたら『今色々大変みたいだからよろしく頼むね~』と」


 ああ、ガラス板供給してるのポッターか。面つくりの生産職人に目を保護する板を供給するとは、目の付け所が違うな~。


 「そうですか、じゃあ、遠慮なくいただきます」


 そう言って、装備したまま工房を後にする。


 しかし、この面、もしかしてと思い当たり、


 〔八岐の外套〕を装着して、面も装着したが、互換性がある!


 パツパツ体ぴったりの外套で、鎧も兜も互換性が無かったが、面はいけた。ありがたいな。


 これで、顔を隠して、この外套で出歩ける!


 今までも、ゴーグルとセットで目だけは隠してきたけど、この面なら逆に目立ちすぎて指名手配犯とは思うまい。


 戦闘の時は心許ないけど、出歩くだけならこっちのが楽だもんな。


 ・・・外套の上にベルトと斜め掛け鞄はやっぱり目立つかな?


 でも、こっちの方が、いつでも剣を抜けるしな~。目立たないローブの方は鞄の上から着る、だぶだぶ系だから、剣の柄が引っかかるし。


 迷いどころだな。


 いいか、ばれそうな気配だったら、変身して目立たないローブにしよう。


 それまでは〔八岐の外套〕セットで行く!


 そして、小次郎と連れ立って山道を下っていくが、全然目立ってない!大丈夫。


 「クラマ山は烏天狗のいる修行場だから目立たないが、麓に下りたら見られると思うぞ」


 心の中を読まれたように小次郎から指摘される。


 目立たないように作った面が、想像以上に妖怪なんだから仕方ないじゃん。


 麓まで行くと流石に見られるが、まあ、驚かれたり騒がれたりしてないから、セーフ!


 二人海岸に近い道を選び、進むこと数日。


 白い砂浜から見えるのは、海の上に立っているかのような大きな社。


 干潮時にしか渡れないと言うその社の対岸に、宿場街がある。


 「さて、俺はここまでだ。報告して勤めに戻らねばならん」


 「そう、自分の目的地も多分ここだし、世話になったね」


 「それはこちらもだし、お互い様だろ。また縁が合ったら、酒でも飲もう」


 「そうだね。また会えたら、酒を飲むのがいいね。それじゃまた」


 そう言って、別れ。適当なセーフゾーンを探す。


 この旅で、よく自分の正体がばれなかったなとは思うけど、流石に堂々と宿に泊まるほど肝は太くない。何より普通の商売人のヒトに迷惑かけたくないしな。


 しかし、海辺のセーフゾーンやなんかで、毎日休んでた訳なんだが、あの小次郎は何者なんだ?


 サバイバル能力高すぎな、自然派のヒトだったのかな?


 一人になって何となく感じる寂しさを紛らわす為に酒を出し、


 料理をする気分でも無いので、壷に漬けたきゅうりの漬物で、飲む。


 次のログインは守護者探さなきゃな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 守護者 片割れと今、別れたじゃん え、ちがうの?
[良い点] ご飯が食べやすい! [気になる点] たまたま出た威圧感 [一言] 生産系が変人というか類友…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ