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340.化け物蟹

 再び、マンボーさんと海に潜る。


 今度は珊瑚礁より手前の深い方へとどんどん進む。


 っていうか、今更思ったんだけど自分の体水深何メートルまで耐えられるんだろ?


 相当な深さまで潜ってる気がするんだが?


 まぁ、ゲームだしいいんだけど、魚人街に行く時も相当に潜るし、今更か。


 そして、暗い水底に、


 いるな~。暗い海の底で<索眼>に替えれば、底が赤い!つまり見える範囲全部化け物蟹の一部。


 どれだけデカイ蟹だよ!100人ボスですらないじゃん。どうやって倒したの?


 12英雄ってのは文字通り一騎当千なのかね?


 ケンタウロス族長もミノタウロス族長も流石にそこまで桁違いには見えなかったけど、自分の目が悪いのか?


 いやいや、それは時代の流れとかもあるし、あれだけど、一騎当千級のヒトが12人いて封印までしか出来ない相手が、現れるの?


 アホじゃん!勝てるかそんなもん!


 まあ、一旦落ち着いて、ピンクの海草を探さないと。


 とにかく化け物蟹の端を目指して泳ぎ続けていたら、


 唐突に何かが飛び出してきて危うくぶつかるところだった。

 

 明らかに丸い物が、蟹とつながっている。


 目が合っちゃった。


 『なんだ?珍しいなこんな所にヒトか?』


 どうしよう、話しかけてきたんだけど、魔物だとばかり思ってたんだが?


 『ああ、水の中で話せないのか、じゃあ、それ』


 そう言ったかと思うと、自分を頭に乗せたまま立ち上がり、水面を突き破る。


 「こんにちは、はじめまして~」


 『はじめましてだな。して何用だ?』


 「いや、あの、霊亀さんに頼まれまして、ピンクの海草を採りに来たんですが」


 『ああ、そう言うことか、あいつが来ると簡単に大惨事になるからな』


 やっぱり、やらかしたんだ霊亀。


 「それで、分けていただく事はできますか?」


 『構わんぞ。そうだ、折角来たんだオレの用事も引き受けてくれないか?』


 「え?いいですけど・・・」


 『なに、大した事じゃない。届け物をしてくれればいい』


 「まあ、多分大抵の所は行けるので構わないですよ」


 『そうか、昔ちと喧嘩した魚人がいてな、もうとっくに死んでるだろうが、魚人街って所にこれを届けて欲しいんだ』


 そう言って渡されたのは一抱えの大きな珊瑚。大きな体に似合わず器用にハサミで傷つけずに渡してくる。


 「えっと、喧嘩した相手ってブラボーさんですか?」


 『おっ知っているのか、昔の話なんだがな。まあ、オレとやりあった相手なんていなかったからな。手向けの花さ』


 「ブラボーさんは魚人街では伝説になって、今も語り継がれてるみたいですよ」


 『は~あいつがな~。あいつと会った時はまだオレも小さかったからな』


 「そうなんですか?なんでも化け物蟹と戦った伝説として残ってるみたいですけど」


 『そりゃあ、そんじょそこらの蟹よりはでかいだろうが、それから何回脱皮したと思ってるんだ?』


 「しかし、何で喧嘩になったんですか?小島のアザラシ達は周りの蟹を食べすぎると、あなたが出てくると思っているみたいですが」


 『種類が違うだろうが、あの時はあの小さいのが周りの蟹も倒せるんだからオレも倒せるとか言って、脱皮した所を狙ってきたから、全部食ってやろうかと思ったんだ』


 「ああ、そりゃあ、力の差も分らず、攻撃してきたらそうなりますわ」


 『そうそう、それでもそれだけ力があるんだから、やりすぎるなとあいつが割って入ってきてな。何せ脱皮したてだろ?あいつの槍でやられちまったんだよな』


 「は~、でも手向けをする程には友情が生まれたと」


 『そんな所だな。まあ、やられたところにデカイ亀が現れた時はこの世の終わりかと思ったがな』


 「霊亀は何しに来たんですか?」


 『なんか、運動のために泳いでたらしい』


 「それで、珊瑚礁半分吹き飛ばしてたら、世話ないですね」


 『仕方ないさ。結局力があるんだから、それには逆らえない。でも力があるならそれを制御できるようになれって言う教訓だな』


 「まあ、確かに胆に命じます」


 『そうだな、じゃあ一回水中に戻るから海草を持っていくといい』


 そのまま、海に沈み海底で降ろしてもらうと、


 ひらひらとした海草らしき赤い影があるので、適当に摘む。


 正直暗くて色の見分けなんか付かないので<索眼>で、生き物かどうか見分けるしか方法が無い。


 『その右の縦にひょろっと長い奴が目的の海草だぞ』


 そう言われると、のぼりの様にやたらと長い海草がひらひらとしている。


 適当に引っこ抜き鞄にしまう。自分から見える位置にはもう無いし、泳いで水面に戻る。


 『おおい、仕事の報酬忘れてるぞ?』


 「え?届け物だけだし、別にいいですよ?」


 『まあ、そう言うな。滅多に訊ねてこないヒトに頼み事をしたんだ、折角だし持っていくといい』


 そう言って、渡されるデカイ蟹の殻。


 「なんですか?これ」


 『なんか偶々割れちまった殻だ。でもヒトってのはその殻でなんか作ったりするんだろ?』


 「確かに、作れるヒトに渡して何か作ってもらいますわ」


 『おう、じゃあな』


 そして、化け物蟹と別れる。


 なんともスケールの大きな話ばっかりだな。


 世話になったアザラシに御土産を置いていこうと思ったら、別にいらないらしい。


 何も持たず、食べたいだけ食べて寝る。そういう生き方なんだそうな。


 そう言えば、獣人にしては裸だもんな~。


 まあ、いいかマンボーさんと魚人街を目指して、泳ぎ出す。

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― 新着の感想 ―
[一言] 脱ぎたてだったカニさん……………
[気になる点] この蟹さん寿命なくて、長生きするほどでかくなるやつなんですかね?
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