339.珊瑚礁地帯
アザラシに会った小島にもセーフゾーンがあったので、休憩する時はお借りするとしよう。
そして、肝心の珊瑚礁地帯。
マンボーさんと岩礁地帯を抜けると割りとあっさり見つかる。
まず範囲が広い。
自分達が来た方向の問題で気がつかなかったが、近づけば随分な広さの珊瑚礁、
水面がもう少し低ければ島じゃん。
でも、噂の化け物蟹がいない、珊瑚礁の上を二人で泳いで一帯を見回る。
しかし、この珊瑚礁はどうやって出来たんだろう?
小島から岩礁地帯にかけてが元々大きな島で徐々に沈んだとかそんな感じかな。
大体そう言う余計な事を考えていると、
いきなり珊瑚礁がめくれ上がり、水面から空中へと放り出された。
空中で、見えたのは珊瑚礁のように赤白の斑模様の蟹。
目と鋏、胴体の一部が海面からはみ出している。
そして、海に再び落っこち、沈みマンボーさんと一旦逃走。ん?逃泳?
珊瑚礁地帯から離れると再び珊瑚礁と同化した蟹。
一旦小島に戻って作戦会議としよう。
「マンボーさんはピンクの海草みつかりましたか?」
「いや、見当たらなかったな」
「何とか見つけてこっそり持って帰りたいんですけどね」
「あの蟹を倒して、持って帰ればよかろう」
「いや、簡単に言ってくれますけどね、ブラボーさんクラスが戦う相手ですよ?一人じゃちょっと無理ですわ」
「ふむ、無理と言うほどの相手ではなかったろう?」
「まあ、思ったほどでは無かったですし、ピンクの海草見つけないことには、どうにもならないし、もうちょい探してみますか」
そして、マンボーさんと珊瑚礁地帯探索リトライ。
さっき蟹がいた場所に近づかないように、泳いでいく。
始めは広くてよく分からなかったが、小島を中心に弧を描くように広がっているようだ。
そして、再び蟹が起き上がり、水中から空中に放り出される。
空中で剣を抜き、
<青蓮地獄>
凍剣術 獄結海
いつだか【海国】で使った水に足場を造る術だ。
きっちり二段ジャンプで自分だけ避けて、蟹は凍った海面に囚われている。
マンボーさんとは事前に打ち合わせ、離れていたから大丈夫だろう。
しかしまあ、いつの間に移動したんだかね。
一先ず見えている、目を狙っていきたい。
ハサミを叩きつけて来たが、横に避ける。そして二段ジャンプ。
あのサイズの鋏だし、どう考えても衝撃が来るだろう。
案の定氷のフィールドが揺れているが、気にせずぐいぐい進む。
今度は叩きつけてきた方とは逆のハサミでなぎ払ってきた。それも二段ジャンプで避ける。
飛び越えて、着地時に1回転して勢いを殺し、
そこから、ホップステップジャンプ!
蟹の腹側に取り付き、登る。
近すぎて、攻撃出来ない蟹をよそにずいずい登り、頭に到着。
キョロキョロと目を動かしているが、剣で叩き斬る。
両ハサミを持ち上げて痙攣しているが、構わずもう一個の目も叩き斬る。
霊亀に力を貰ってから、なんか感触が変わったかな?
あまり強い敵と出くわさなかったし、良く分からないけど、
スパッからズバン!に変わったって言うのかな・・・まあいいか。
確か硬い物を叩く事もできるようになってる筈だし、目が見えない蟹を一方的に叩き潰しますか。
蟹身が出てきたら、今夜は蟹だ!
まずは鋏の生えた腕から切り落としていく、胴体を降りて氷の足場に立てば丁度いい位置にハサミの生えた足の関節部がある。
一番薄そうな甲殻の隙間の膜のような部分を狙って剣を振り下ろす。
硬い・・・けどいけなくも無いか。剣は通るしダメージも入る。
そのまま、斬りつけている内に鋏が一個落っこち、部位破壊が成立すると同時に足場の効果時間も終わった。
水の中に落っこちると、逃げていく蟹。
マンボーさんと追いかけるが、珊瑚礁から落ちて小島と珊瑚礁の間の海底に沈んでいく。
仕方ないので、周辺を探索するがピンクの海草がどうにも見つからない。
霊亀が言ってた珊瑚礁ってここじゃなかったのかな?
しかし、違和感があるんだよな~。あの蟹でかいのはでかかったけど、本当にブラボーさんが戦って伝説になるレベルか?
その時、アザラシの集団が泳いできた。
そして、一帯を泳いでいると蟹が立ち上がる。
そこを一斉に襲い掛かり、四方八方から武器も持たず、突進と噛み付きでバラバラにして、蟹を持って帰ってしまった。
小島に引き上げるようなので、付いていくと、
皆で蟹パーティしてる。
「おつかれ~食べる?」
なんか蟹を分けてくれるようなので、ご相伴にあずかる。
体が冷えたので、鍋にお湯を張って海草でだしを取り、蟹を投げ込む。
とは言え、殻ごといけるサイズでは無いので、身だけを突っ込むという、なんとも風情の無い、かに鍋だ。
器にとって食べてると、アザラシが近づいてきて、鍋に身を足して、温まった所を食べている。
まあ、獣人だし、温めても食えるのかね?
好きに任せて、一人酒を飲んでいたら、
アザラシの内の一匹が話しかけてくる。
「ねぇ、あそこで何してたの?」
「何って、ピンクの海草探してたけど」
「???あそこにピンクの海草は無いよ?」
「珊瑚礁に生えるって聞いたんだけど・・・、違ったかな?」
「もっと深いほうだよ。あそこは小さい蟹を採ってるの、もっと底に大きな蟹がいて、小さい蟹を採りすぎると出てきちゃうから、程ほどに食べるように言われてるの」
あ~そういうやつですか、小さい奴をいっぱい倒してると出てきちゃう系の。
「出てきちゃったらどうするの?」
「昔出てきた時は、槍を持った魚人のヒトが、倒したってさ。その時大きな亀が来て、珊瑚礁を半分うっかり壊しちゃったんだって、だから今は半分しかないの」
霊亀、何してるの!困った御仁だ。
「そりゃ、餌場が半分になって大変ですね」
「ううん?半分壊れたおかげで魚が増えたし、大きい蟹の足場が無くなって、滅多に出てこなくなったらしいよ」
ああ・・・狙ったのか、不幸中の幸いなのか、微妙な話だ。
でも、まあそう言う事故があったから、自分で食べに来ないで、依頼してきたのか。
こりゃあ、なんとか化け物蟹の目を盗んで、ピンクの海草をぱくろう!
とりあえず、疲れたので、一回ログアウトして仕切りなおし。