336.氷原の下~遺跡~
流石にこの人数は相手に出来る気がしない。
でも、いくらなんでも無限湧きて事は無いだろう。
この強さの相手を二人同時すら、無理でしょ?そうでしょ?
すると、首根っこを無造作に捕まれ、持ち上げられる。
そのまま遺跡の屋根の上に飛び降りる白い猿人。
随分と丈夫なのか、びくともしない屋根、ちょっと屋根抜けたら怖いな~とか思ってた。
そして、梯子が一箇所かかっている屋根の隙間から遺跡内に侵入、
薄暗いが、どこからとも無く明かりが入っており、真っ暗って感じではない。
白い石素材の柱が一定間隔で屋根を支え、柱を中心に四方にアーチ上の支えが入っている。
余計な装飾は無いが、完全に均一に並んだ幾何学的な光景は、それはそれで美しさを感じるものだ。
何の建物なのか想像もつかないが、ひたすらにだだっ広く、天井の高いホールのよう。
乱暴に扱われる訳でもなく、そっと地面に下ろされたので、
そのまま遺跡内を探索、
どうやら長------い、歴史を描いた壁画がある。
すっごいただ広いホールの端から端まで、何かの物語を綴る様に絵が続いている。
所々剥げてて分らないが、ベースは石に彫り込んであるのか、原型だけはなんとなくって感じ。
ん~どうやらここに住んでたヒトは弓使いだったのかな?
何か飛ばしているような描写が多い。
勿論、術の可能性も捨てがたい。
というか術だろうなこれはって言う、火を飛ばしている絵なんかも存在している。
ただ何かを手に持って媒介にしてるんだよな~。片手で持ってたり両手で持ってたり。
初めは杖かな~?とも思ったんだけど、杖だとしたら長い方、つまり石突を相手に向けている事になるのだが、それはちょっと気持ち悪い。
それで、ボウガンのような弓を持って向けてるのかな~と思ったわけだ。
ん~ブロッコリーの根を掘り出して、何かに加工して、撃ちだしてるな~。
つまり、宝樹の根の様に剣にしてなくて、矢尻かなんかにしたんだろうな?
すると、一匹の白い猿人が、何かを手渡してくる。
ん~なんだろうこれ?
ソードオフショットガンにも見えるし、もっと古風なフリントロック銃にも見えなくはない。
しかし、フリントロック銃なら肝心の火打石とか硝石とかをくっつける部分が無い。
前から装填なのかなと、下に向けて振ってみるが何も出てこない。
引き金があるので、試しに銃口を地面に向けて、引いてみるが何も起きない。
ばねが、弾かれた様子も無い所から完全に壊れてるのかな?とも思ったが、
筒を覗こうとした瞬間に白い猿人に取り上げられた。
数体の白い猿人が興奮して、銃を掲げて踊っていたかと思うと、
一際毛の長い腰の曲がった白い猿人が、
銃を手に取り、精神力を込め始める。
持ち手の少し上辺りに、手のひらを当てるためと見られる、色の剥げた金属部があり、
そこに、精神力を込められるようになっているらしい。
そして、地面に向けて引き金を引くと、氷の欠片が飛び出し、地面を抉った。
その銃を自分に渡してくるので、受け取り、真似をして精神力を込めて、
何となく一杯まで、精神力が溜まったなと手応えを感じた所で、引き金を引こうとした時に、
また、首根っこを掴まれて、外まで連れていかれた。
仕方ないので、銃口を空に向けて引き金を引くと、散弾の様に氷片が飛び散った。
何体かの白い猿人がそれを見て納得したのか、また円形の空き地に自分を戻す。
銃を返そうとしたが、受け取らないので、
そのまま貰い、道沿いを雪原の方に向かうが、何の妨害も無く普通に見送られた。
なんだったんだろうか?普通に古い銃を貰えるだけのイベントだったのかな?
一応いつでも発射できるように、銃に精神力を込めておき、ベルトに挟んでおく。
そこからは雪原の十字路を歩いて、帰路につく。
途中出てくる懐かしのヒト型補助魔物や、白いライオン。
割と力づくで倒せた。
と言うより、敢えて力づくで、乱暴に切り払っていたら、割とらくらく倒せたって感じかな。
黒い蠍も尻尾をガンガン斬り飛ばす。簡単に部位破壊を発生させる。
もぞもぞ、雪から這い出している最中に、とどめをさす。
空から降りてくる。蝙蝠のような皮膜の羽の細い敵も、あっさり両断していく。
何だかんだ、自分も成長してるんだな~。
ふむ、崖を降りてから休むか、休んでから崖を降りるか、それが問題だ。
雪原のセーフゾーンで一回ログアウトしますかね。
何食べようかな~。
寒いし、うどん食いたいな~。
料理するプレイヤーと言うか【帝国】なら、ポーに頼めば結構色々作ってもらえる。
自分が前に頼んで鞄に入れっぱなしだったのは、茹でるだけのうどん。
【海国】の海草の干物とかで適当に出汁をとって~。
青い瓶のスープの元をぶっこんで~。
茹でたうどんぶっこんで~。
卵をぶっこんで~蒸らしてく~。
できあ~が~り~ってね。
葱を散らして、お酒と一緒に食べて、
飯食って寝る~。




