333.雪原地帯の遺跡
三体の氷人形が襲い掛かってくるが、動きの精度が甘いし、意図も適当。
実体もあるので兜割で応戦すれば、簡単に削れて行く。
立ち位置だけ気をつけて、一体づつ叩き壊していけば、どうという事も無かった。
手に入るのは〔霊氷〕がいくつか、
うん、氷が手に入ったので、熱い所でお酒を飲む時にでも使おう。
ん~冷静に考えれば、さっきの操り人形は他に指示するヒトがいて、命令に従う戦闘人形。
つまり、前衛役の召喚人形なのか造られたものなのか、そんな所だろう。
再ログインして、通路沿いに色々な部屋を探索しているが、
自分の想像では、外の十字路が本当に街路か何かで、道沿いに建造物がある。
建造物の屋上にも出て痕跡を見るに、もしかしたら上にも橋がかかっていたのかもしれない。
今残っているのは、地下と地下をつなぐ道、ヒトが住んでたとしたら、どうしてそんな構造にしたのか?
道が雪で埋まるから、いくつかの方法で家どうしをつないだのかもしれない。
荷物やなんかは一切残ってない所から、多分移住したのだろう。
最初の青い火の魔物は別として、他の魔物は何となく人工物っぽい事から使役されていた何かが未だに家屋を守っているのだろうか?
ちなみに青い火の魔物はそれ以降も出てきたが、吸う右手で吸収して吐き出す左手で、あっさり倒せる相手だった。
多分生命力は低いタイプなのだろう。
しかし、まあ聞いたところでは、そうそうヒトの来れる土地では無い場所に何故こんな建造物群があるのだろうか。
一つの家に壁画があり、そこには大きなブロッコリーが描かれていた。
宗教画の様に何となく書き手の尊敬と言うか、神秘を感じさせる理想を体現したような愛を感じる絵にちょっと心を揺らされたので、
何か供えられる物と思って、気持ちばかりカップでお酒を置いておいた。
そこに描かれていたのは宙を浮くブロッコリーを仰ぎ見て、並んで歩くヒト達。
ここからは自分の想像だが、根を使い切って空に浮き大霊峰に引っかかった世界樹。
そして、大昔に世界樹と共にあったヒト達が、それを追ってこの地に住んだのでは無いか?
そして、理由があってまた移動した?
そしてブロッコリーといえば、大霊峰の頂上の海の先に見える何かの影。
どうだろう?繋がっている気がするんだけど?
とは言え、今はセーフゾーンと魔物と化した人形が出るだけだ。雪原の先、氷原が見えるところまで行き、屋上から飛び降りる。
再び吹雪に身を晒すが、ちゃんと食事で耐寒を付けてある。
いざ効果が切れた時のために、【鉱国】の命の水も小さなスキットルに入れて腰に差している。
次は大兎だ。
しかし、今回は落ちるわけには行かない。
いや、まあ、落ちたとして頂上まで登ってから降りるという方法もあるけどもさ。
なんのかんの考えたが、雪山装備無しの戦闘服で、全力勝負を一回戦ってみたい。
自分の欲求に従い、氷原の中央まで歩を進める。
そして、大型の兎が胴体で滑り、時折爪でスパイクを効かせて方向転換しつつ迫ってくる。
高速滑走突撃を、〔空駆の長靴〕の二段ジャンプを使いかわす。
そのまま、滑っていくのを尻目に、氷原奥へと歩を進めれば、後ろから大兎が追ってきた。
もう一回ジャンプでかわそうとすると、
大兎も前足で地面を叩き、二足歩行で体を大きく伸ばして襲い掛かってくる。
激突は避けられないので、いっその事相打ちにもつれ込むように片目に剣を突き込む。
自分の体重と衝撃で頭がその場に残り体だけが滑り仰向けに倒れた大兎、
自分はその首元に落ちてノーダメージ!
ならばと、もう片方の目も潰す。
『キュゥゥゥゥゥゥ』
思ったより可愛い声で鳴くので、一瞬躊躇った瞬間に、
振り回された腕に吹き飛ばされ、氷の上に投げ出され一瞬息が詰まる。
ゆっくり立ち上がると、大兎はじたばたと暴れて少々近づきづらいが、
頭頂部の方から近づけば、弱点の耳が丸見え。
両耳まとめて切り落とす。
びくんびくんと痙攣するが、まだ死んでない。ならば・・・。
右手で剣の柄を左手で切っ先を持ち、
兎の首を後ろから刈りとる。
暴れているが、自分には当たらない。
意にかえさず、出血のデバフが出てもそのまま、
どれ位経ったか、完全に大兎が動かなくなった。
〔霊兎の耳〕×2 〔霊兎の大皮〕 〔霊兎の肉〕×4 〔霊兎の尻尾〕
<解体>を持っているわけでもないのに随分と手に入った。
氷原を奥へと進むが、その後は妨害もない。
ボス魔物の大兎専用のフィールドなのかな?
・・・足元をなんか影が通った気がする・・・?
うん、君子危きに近寄らずっていうし、さっさと抜けよう。
前に大穴空いたところはなんか水が通る、地下水道に辿り着いたけども、
氷原は広い、足元の全容が分かる訳じゃない、死に戻りはごめんだ。
氷原の端、
片側は頂上に向かう道だ。
もう片方は森だ。
こんな雪山で森ってな、どんな状況なんだか分らないけど森なんだよ。
雪の森の中に歩を進める。
ちなみに木には登れるが、枝が細くて木の上を渡るのは無理そうだ。