330.頭領次の依頼
隠れ家(隠れてない)に戻り、一息ついていると、
「よくやってくれたのぉ」
と、頭領がいつの間にか横に座って、お茶を飲んでいるがもう驚かない。
「まあ、賢樹様と話せて自分も情報が手に入ったし、ウィンウィンかなと」
「そぅかそれなら、良かったのぉ。それでは、12英雄と石についての伝承を披露しよぅじゃぁないか」
「待ってました!」
「ぅむ、まずかつての邪神の化身は、封印されただけで、まだ生きてぉる」
「ソレは賢樹様に聞きました。つまり聖石が集まるって事は邪神が復活するって事ですよね」
「そりゃ、分らん」
なんでよ!?邪神復活を防ぐ為に聖石を見つからない場所に捨てに行く気満々だったのに!
「分らんて言われても、邪神の復活を防いだ方がいいと思うんですけど?」
「多分、防げんのぉ、聖石に選ばれた者が現れた時邪神の化身が現れる。コレは【砂国】の術士の英雄が残した予言で、ほぼ確定未来なんじゃ。しかし核である聖石だけあって、どぅゃって復活するのか見当もつかぬょ」
「確かに復活するとは言ってないですよね。第12機関長何する気なんだか?」
「その聖石に選ばれたって話しなんじゃが、ぉヌシも選ばれとるょぉ」
「ええ・・・、だって第12機関長が選ばれたって本人が言ってたのに」
「邪神の化身に選ばれたのは第12機関長なんじゃろう。ぉヌシはかつての英雄達に選ばれとる。倒せなかった邪神の化身を倒す為にのぉ」
「重責過ぎて吐きそうなんですけど」
「よく考えてみぃ、危険な物なら誰の手も届かぬような場所に捨てたらぃぃじゃろぅが、どぉしてそれを敢えて子孫の手に任せたり、安置したり、再び手に入れやすぃ場所に沈めたりしたんじゃ?」
うん、そう思ったから手元に持ってたけど、邪神の化身倒せとか言われるなら、いよいよ深海とか大霊峰の山頂とかに隠す所存だけど
「あと、不用意に捨てるのはやめて置ぃた方がよぃのぉ、聖石は魔素を吸う。下手に大型の魔物なんぞに食われて力を取り戻したら、のぉ」
のぉって、あの洗脳聖石みたいになるのか、邪神の化身の思うままだな。蠍は魔物だったけど、ソヘイラ様の先祖のペットの子孫だし、なんか仕掛けでもあったのかね?
「まあ、まだ覚悟は決まりませんけど、いずれにせよ邪神の化身と戦わなきゃいけない訳ですか。それならそれで、どうやって倒したら?」
「それが分ったら、伝説の12英雄が倒してぉるのぉ?でも安心せい。多分一人で倒せなどとは言われぬょ。今のところわしからは、コレくらいじゃぁ」
「そうですか、ありがとうございます」
結構分ってきたかな。っていうか、邪神の化身倒せって事だけは理解したわ。
となると邪神の化身を倒す準備を本格的に進めなきゃな。
自分が選ばれるって事は十中八九、集団で戦う相手なんだろう。しかも1000人は確定じゃない?
じゃなきゃ、敢えて自分を選ばないって言うか、流されて任務こなしてきただけとは言え、1000人率いれる事がフラグなんじゃないかな~って思うわけだ。
あ~でも、13英雄の漆黒将軍の件もあるしな。
そう言えば、漆黒将軍て蛇も関わってたよな。ヤマタノオロチの時に聞いた気がする。
う~~~~~ん、まあいいか取り敢えず戦う準備をしよう!どんな相手かな。それによって必要な準備も変わるからな~。
「じゃぁ、次の仕事の話をするかのぉ」
「そう言えば、細々とやるって話でしたね」
「そぉじゃぁ、何よりぉヌシ、英雄達が倒した邪神の化身の姿を知りたいんじゃろぉ?」
「御見通しですか」
「そりゃぁのぉ、それで、確かぉヌシ酒好きじゃったのぉ」
「ええ、そりゃ好きですけど?」
「ぅむ、薬草酒に興味は無ぃか?」
「あります!」
おいおい、自分はお酒は何でも飲むけど、何気にちょっとクセのある物が結構好きなのだ。
所謂ハーブ系リキュールとかその類は大好物と言える。
コレは自分得の任務では?
「ぅむ、ちと【森国】の将軍が体調不良でのぉ。薬草集めを手伝ってもらぃたぃのじゃが」
「嫌っすね~。権力者なら他にいくらでも伝手があるでしょうに」
「【王国】の鈍色の騎士が外海に行っておるでのぉ。頼めぬか?」
騎士殿まだ帰ってきてなかったんだな~大冒険じゃん。っていうか騎士殿も弱き者の為に薬草集める人だから、断りそうなんだけど。
「自分は<採集>しかないから特殊な物とか集められないっすよ」
「特殊な物では無いがの、厄介な場所にあるんじゃよ。そうそう簡単にいけない場所にのぉ。大霊峰じゃぁ」
「自分は確かに行けますけど、本当にどうしても自分じゃなきゃいけないんですか?」
「大霊峰なぞ、そぅそぅ登頂できる場所じゃなぃわぃ。相当<登攀>を使い込んで、尚且つ十分な身体能力と生活能力が無いと途中で倒れるのがオチじゃぁ」
「はぁ、分りました。それでなんていう薬草を摘んで来ればいいんですか?」
「ふむ、悪いのぉ。ほとんどが雪に覆われてる大霊峰じゃが、ごく一部草の生える場所が有るとぃぅ」
「山頂は滝があって暖かかったですけど」
「山頂の手前じゃのぅ。大兎の出る雪原の奥に火の鳥が住み、ごく一部分だけ春のょぅに暖かく草花が生えるとか、そこで採れる霊薬草が欲しぃのじゃ」
「うわ~面倒くさそうな上に伝説っぽい薬草とか、コレだから権力者は」
「報酬は、はずむでのぉ。できた薬草酒も分けるからのぉ」