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315.死神

 三人の後を追う。川が大分細流になってきた。


 つまり、船はこれ以上先には入らない、しかし傭兵団の団長が未だ姿が見えないという事は、


 まだ、先があると言う事。


 一応今のところの情報をまとめるなら、普段集団で魔物狩りをしてる傭兵団、今回は誰かの依頼で石を探してる。


 流れから言えばどう考えても【教国】の依頼で聖石を探している訳だが、なんか傭兵団の団長の様子がおかしい。そんな所。


 うっすい情報のようで、自分からしたらほぼ確信、あそこだよな・・・。


 しかし、部下からの信頼も厚い傭兵団の団長が血迷った原因は?


 そこが今回のポイントなのかね~・・・。


 ふと気がつくと、3人が4人になっていた。


 一番後ろから付いて行く黒いフードの長身の陰、


 両手に鎌を持ち、魚人とヒュムの首を同時に狩ろうと振りかざす。


 仕方が無い・・・木から飛び降りフードのヒトに兜割を振り下ろし、一打当て、邪魔をする。


 フードのヒトの呻き声で、三人が気が付き戦闘態勢をとりはじめるが、フードの男は容赦なく襲い掛かり、


 再び鎌を振りかざす。


 腰に一撃見舞うが、姿が消えて木の陰からいつの間にかこちらを覗いてる。


 「こんな所まで・・・あいつら・・・何してた???」


 顔は仮面に隠され、口が動いているかも見えないが呻くような喉奥から響くくぐもった声。


 影ながら三人を助けるつもりだったのに、また姿出しちゃったよ。


 三人がフードのヒトを睨みつけ対峙し、


 獣人が先陣をきり、フードのヒトに速攻斬りかかるが、また姿が消えた。


 後ろの木陰に姿を現した所をヒュムがダガーで、突きかかる。


 鎌で、引っかけるようにヒュムを転がし、また道に戻ってきたフードのヒト。


 獣人が再び斬りかかるも余裕を持ってかわし、魚人が殴りかかるもそれもふわふわと避け、


 「無駄だ・・・お前達の攻撃なぞ・・・全てお見通しだ・・・」


 ・・・さっきばっちりくらってたけどね。


 多分殺気を読んでの瞬間移動、自分と剣聖の弟子をくっつけた感じ。


 三人は遮二無二攻撃を仕掛けているが、簡単にかわされて、完全に遊ばれている。


 寧ろカウンターで、避けながら鎌で斬り付けられ、ダメージが蓄積しているようだ。


 「あのさ、完全に攻撃が読まれてるんだから、そんな正面から行っても・・・」


 「じゃあ、どうしろって言うんだ!」


 「範囲攻撃で足止めするか。いっそ無視しちゃえば?」


 「はぁ?」


 「ダッシュで逃げれば、追いつけないかもよ?」


 「待て・・・それは・・・」


 「瞬間移動で一瞬は追いつくかもしれないけど、連続スキル使用で追いつくなんて事、果たしてできるものかね?」


 「貴様!」


 瞬間移動と同時に斬りかかって来たが、殺気を読めるのは自分も同じ事だ。完全にブロックして硬直させる。


 足を掴み、


擒拿術 照葉野茨


 「後はお好きにどうぞ」


 そう言って、木々の合間に姿を隠し、木の上から三人を見守る。


 いくら殺気が読めるとは言えど、移動できなくなったフードのヒトははじめこそ何とか避け、ガードしていたが、


 三人の同時攻撃にバランスを崩し、タイミングを外され、滅多打ち。


 最終的に捕えられ、縄でくくられ、尋問タイム。


 「俺は死神・・・相手の心を読み・・・安らかな眠りに誘う・・・」


 「多分、蟷螂とかだよ」


 「貴様!」


 凄んでくるが、まあ、縄ぐるぐる巻きで叫ばれてもな~。


 「うるさいぞ!お前達の目的を言え!」


 「うるさいのはそっちだ。他人の手を借りて偉そうに」


 悔しそうな獣人だが、仕方ないじゃん、さっさと話を進めようよ。


 「こちらはこの一帯の物流が止まっている原因を探りに来た。そしてお前達傭兵団の仕業だと言う事は分ってる。目的を言え、悪い様にはしない」


 「くっ探し物だ。見つかりさえすれば、すぐに引く予定だ」


 「依頼主は?」


 「言うわけが無いだろ?」


 「探し物はなんだ?」


 「それも言うわけが無い」


 「じゃあ、何なら言える?」


 「ここまで来る間にうちの連中に会った筈だ。うちの者に何をした」


 「お前が聞く立場じゃないぞ!」


 そこで、獣人が口を挟む。

 

 「おい!やめろ!多少話は聞いたが、それだけだ。お互いに無理な事は今のところしていない。さっきの奴が、それとなく間に入っている」


 「あいつは一体何者だ?」


 「知らん。だが、そちらがそれなりに名の通った傭兵団だという事は分っている。お互いに利のある話をしないか?」


 「どういう事だ?」


 「こちらの目的はさっき言ったとおりだ。情報を持って帰れば、それでいい。後は上がやる」


 「・・・上ってのはきっとそれなりの組織なんだろうな。さっさと目的を果たして去れば、別にお互いの利益を損なう事は無い訳か」


 「そういう事だ。一時的に物流が止まった事に関して責任を問われる事はあるだろうが・・・」


 「それはこちらの依頼主が何とかしてくれる手筈だ」


 「それを聞きたかった」


 ふむ、自分も同じ。大手で有名な傭兵団が物流を止めて口をぬぐって平気な顔ってのはどうにも解せなかった。


 自分の予想では十中八九、第12機関がやらかしてるんだけど、どう言い訳するのか?

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― 新着の感想 ―
[一言] 完全に遊ばれてる蟷螂さんに草
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