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31.おっさんと物資不足

■ 氷麦(イチミニエ) ■


【帝国】北東部のごく一部でしか生産されていない

品種改良を続けていくうちに一年のうち大半が雪で埋もれているような地域でしか育たなくなってしまった


あまりの希少品ゆえに、知名度がかなり低いが、知る人ぞ知る高級食材

そのほとんどは、地元で普通の麦として消費されている


///////////////////////////////////////////////////////////////////////////////


 役長のところに行くと、あからさまにニヤニヤとこちらを見ながら話しかけてくる。


 「おう、覚悟は決まったみたいだな?」


 「いや、覚悟って、要は20人連れて輸送任務やればいいんでしょ?」


 「まあ、そういうことにしておくか、20人は選抜してあるぞ」


 重装兵隊 隊長 チャールイ 他4名

 歩兵隊  隊長 スペーヒ  他4名

 弓兵隊  隊長 ルーク   他4名

 部隊長直属 偵察兵 ルースィー 他1名

       衛生兵 カピヨン 他1名


 「色々言いたいことがあるんだけど、まず話が早い方から、何でうちの部隊皆小隊長クラスになってるのよ?」


 「ま、お前が出世したから、ついでに上がったとでも思っとけ」


 「いや、ついでってことは無いでしょうよ?」


 「一応説明するとな、チャールイは元々それだけの経験は積んでるし、スペーヒはあれでも、食い詰め農民じゃなく志願兵でかなり若い頃から経験を積んでるし、ルースィーのやつは、中央の工作兵の出身だ。まあ、成績が悪くてちょっと現場でもんでくれって言われてこっちに来たんだけどな。カピヨンのやつは、前にも言ったが、お前らより頭が良い。っていうか、インテリだ。ルークは、センスは抜群なのはお前さんが良く知ってるだろう」


 「まあ、確かに皆、自分より隊長向きなのは分かりますけどね」


 「じゃあ、いいじゃないか、それぞれの兵科隊長だからな。がんばれよ」


 「また、唐突のジョブチェンジだよ」


 「んで、お前さんが部隊長だ。【兵站】任務受ける部隊長は本当に少ないからな、任せたぞ」


 「じゃあ、もう一個の質問、ルークいつのまに帰ってきてたんだよ?」


 「さっきですよ。お久しぶりですね隊長!いつの間にか部隊長に昇進とかどれだけ出世早いんですか?まあ、とはいえ、自分も結構がんばってきたんで、コレまで以上にやりますよ。なんでも、【帝国】東部の兵站一手に任されるそうですね?じゃあ、考えなきゃいけないこともやることもいっぱいじゃないですか、せめて戦闘だけでも自分たちに任せてくださいよ」

 

 いつの間にか帰ってきてたルークは言うだけあって、装備が一新している。正直なところ支給品よりよっぽど良いものに見えるけど、それ着て任務していいのか?

 

 「ちなみに、支給外套だけは、まとえるような形で装備を作ってもらったから、全然問題ないですよ。隊長が突撃兎倒した時に、自分でもいけるかもしれないって思って、古巣で狩りまくったんですよ魔物(モンスター)!おかげで、スキルも手に入れたし、装備も変えられたし、どんな相手でも、どんとこいですよ」


 「いや【兵站】任務だからな、相手は、書類と物資だからな、装備関係ないけどがんばれよ」


 ってな訳で、拠点については、物資を下ろし、供給状況の書類と現物の確認、新たな物資を積んで次へ。


 そんなことをひたすら繰り返していると、不思議とあちこちで縁も出来てくるもので、


 一人は【帝国】東部で御用商人をやっている。ラズノース


 何で、こんな辺鄙で儲からない地で商売をやってるのか聞いてみると、渓谷の出身らしい。


 国からの依頼を受けて、方々に荷物を届けているので、よく護衛の為一緒に移動することが増えたのだ。


 もう一人は、【旧都】北の砦【黒の防壁】の 中隊長チータデリーニ 


 【北砦】と違って、完全に防衛のみを考えた造りの砦で、黒い森から出てくる魔物(モンスター)を押さえる役割を全うしている。既婚者だがなかなか家に帰れないのが悩みだそうだ。


 たまたま、自分を含めた3人で話す機会があった。


「しかし、こんな慢性的に物資が不足しててよく【帝国】は、もちますね?」


 「慢性的って程じゃないんだよ。実はね」


 「へ?そうなんですか?まあ、自分が【兵站】任務についてから三ヶ月くらいですからね」


 「もう後三ヶ月もすればお祭りだからな、その分が外に出て行ってしまっていて、調整が大変なんだよ。でも、これはどこも同じで【帝国】が特別貧しいって訳じゃない」


 「そう!祭りは、うちの嫁も楽しみにしてるしな。今が踏ん張りどころさ!それもコレもニューターが来るようになったおかげで、各国首脳部が祭りを開こうって決めてくれたおかげさ」


 「祭りかぁ、噂は聞いてたけど見たこと無いんだよな。どんなことするんです?」


 「前回は確か、不思議な魔物(モンスター)が、いっぱい現れて、その素材で市場が賑わったね」


 「え?お祭りってそういうのなんだ?神様を祭ったりするんじゃないの?」


 「むしろ、神様が用意してくださるんだよ。それを各国首脳部がうまくイベントにして国民を楽しませる。前回も魔物(モンスター)の討伐数なんかで賭け事が盛り上がったりしたが、なにぶんまだ、有名なニューターって言うのが居なくて誰に賭けたらいいか分からなかったんだよな」


 「今回は各国首脳部だけで、決定するらしいぞ。前回最も優秀とされた狩人(ハンター)バルト・ロメオの居る【海国】が今回の開催地域だ。」


 「へ~じゃあ、船で釣りでもするんですかね?でなけりゃクラーケン討伐か?」


 「それじゃあ、【海国】有利すぎるからな。もうちょっと、誰でもとっつきやすいのになるんじゃないかって噂だ」


 「まあ、なんとなく予想は付きますがね、最も多くこの地から他の地へ輸出されてるものを考えれば、自ずと」


 「鍋くらいしか思いつかないんだけど?鍋パーティでもするのかね?」


 「おしいですね、料理大会では無いかといわれています。料理によって支援効果が出るようにスキルの改変があるとかないとか」


 「そういう改変って珍しくないんですかね?」


 「神様次第ですね。結局私達は、神様の造られた世界の上で決めたルールにのっとって生きているわけですからね。いうなれば、投げたものが落ちてくるのも神様の思し召しですよ」


 「なんか、偉い宗教家みたいな感じになっていますけどね」


 「しかし、強さが基準じゃなけりゃ、また誰に賭けたらいいか分からないな」


 「既婚者なんだし余り賭け事に夢中にならない方がいいんじゃないの?」


 「一年に一回の楽しみ何だほっとけ、別に身持ちを崩すほど賭けちゃ居ねぇよ」


 「そうですね、国別に賭けるって言う方法もあるみたいですからね、私は一応所属の【帝国】に賭けておこうかと思ってますよ」


 「そりゃあ、掛け金捨てるようなもんじゃないか、【帝国】つったらカルトーシュしかないぞ」


 「蒸かして、バター乗せればうまいじゃないか、なんなら小さめのやつを皮ごと塩で炒めてもいい」


 「もし、参加されるのなら氷麦でも使われればいい、知る人ぞ知る珍しい食材ですよ?」


 「あれか~確かにうまいよな氷麦、突撃兎の肉とアリェカロチーズ、カルトーシュ、で、兎のチーズリゾットでも作ってみるかね。<生活>しかないから支援効果出るほどの物が作れるかは知らんがね」  


 そんな日々があっという間に過ぎ、【古都】の【兵舎】に運営からのお知らせが届く。


 「よう、珍しく手紙が届いてるぜ!って言ってもニューターは皆受け取ってるやつだがな。祭りの内容が決まったらしいぞ」


 スキンヘッドのおっさんから手紙を受け取り見てみると


-運営からのおしらせ-


ゲーム一般公開から内部時間で2年目のイベントを行います。

場所は前回イベントMVPのバルト・ロメオ様の所属国【海国】となります。

内容は【料理】大会となっております。

腕に自信のある方はふるってご参加ください。

ただし、なかなか【海国】までこれない方も多くいるかと思われますので、そういった方のために


1.HPでの実況つき動画公開 実況は闘技場などの実況動画で有名な ウタコお姉さん


2.材料の募集 各国から珍しい材料を募集します。各地拠点にて受け付けます。

 実際に採用された場合記念品を贈呈いたします。


3.本選は、トーナメント形式となります。その際優勝者を予想していただくことで、賭けを行います。

 また、予選時点でもどこの国の所属する参加者が優勝するか賭けることも出来ます。


さらに、このイベント以降料理にバフ効果が付くことがあります。


なるほどねえ、賭けも拠点で出来るようだし、食材を預けてもいいのか。【海国】まで行く気はないしな

自分で作るつもりだったリゾットの材料を兵長に渡し【帝国】に賭けることにする。


 「んで、いくら賭けるんだ?」


 「自分は、いくら預けてるんでしたっけ?」


 「自分の金を把握してないのかよ・・・まあ、金貨1枚くらいなら遊びで賭けてもいいんじゃないか?お前さんなら」

 

 金貨ね。確か銅貨が10円×100枚で銀貨1000円かける100枚で金貨だったか、10万円じゃないか。いいのか?まあ、ゲームだしいいのか。


 「じゃ、それで、頼みますわ。任務行ってきます」


 「ああ、任務頼むぞ。この祭りが終わればいくらか楽になるからな」

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― 新着の感想 ―
[一言] 詩子お姉さん!?って吃驚したけどこの頃ならvtuberとして誕生すらしてなかったから別人か安心した。
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