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307.怪しい三人

 小船で大河を渡り、そんなに狭くは無いが両側を木に囲まれた支流に入ってすぐの事、妙にキョロキョロしだす河族の様子に、


 「もし、様子がおかしいならここでいいよ」


 「え?分かる?」

 

 「いや、初めて来た場所だし分からないけど、一応さっきも言った通り迷惑をかけに来た訳じゃないから」


 「そうか、じゃあ岸に寄せるね」


 支流の岸辺、木々の隙間の小船を一艘止められる程度の小さな隙間に下ろしてもらう。


 「気をつけて」


 「そちらこそ、自分はニューターだから心配ないよ」


 「でも、捕まっちゃうかもしれないじゃん」


 「そうなったら、脱獄するよ」


 「それは・・・ふふ・・・行き場がなかったら、また訪ねて来てね。何もなければ忘れてくれても構わないから」


 岸から離れ大河に戻る小船を見送り、森の中に入っていく。


 出来る限り気配を消しつつ最大限無駄なく進む。


 ふと、細い獣道に人影が見えた気がしたので、すぐに木に登って様子をみる。人って何だかんだ頭上に対する警戒が薄いものだ。


 明らかに武装した二人組、河族の戦闘要員かな?と一瞬思ったが、明らかに河を泳げる装備じゃないし、警戒しておきますかね。


 一応各国【兵士】を一通り見てきた自分から見て、強いて言うなら【王国】っぽいけど、だとしても正規兵っぽくは無い。


 こっそり付いて行くが、無駄話もしないし練度は高そうだ。


 しかし、周囲を警戒している風は見えても多分自分には気がついてないのは何故か?


 多分【偵察兵】の様な探索型じゃない、直接戦闘員て事だ。


 直接戦闘員をそう遠くまで監視や警備に当たらせないだろう。つまりこの【兵士】達の拠点は近いって事の証拠だ。


 そんな折、道の無い森の中を進み、自分と同様に二人組【兵士】を追う三人組の影がある。


 一人は獣人、しなやかな動きと腰に差した二本の短い曲刀か、鉈のような武器が印象的だ。


 一人はヒュム、軽装からしてまさに【偵察兵】って感じだ。


 最後は魚人、かなり地味な色彩だが大河を泳ぐ可能性を考えれば、納得できなくもない人選だ。


 まあ、淡水もいけるのかは分らないけど。


 二人組が、ちょっと開けた場所で、休憩しはじめた。


 悪い事じゃない、本気で集中するのは神経使うし、適度な休憩が重要だ。


 まあ、二人一緒に休憩するのは悪手だけどな。


 案の定、後ろの低木の陰から飛び出した三人組に捕縛された。


 二人を尋問する三人組、ヒュムが嘘発見器のようなスキルを持っているようで、サクサク話が進む。


 拷問とかしなくて良かった、下手したら気持ち悪くなっちゃうか、イライラしちゃう所だもんな。


 話し声は途切れ途切れにしか聞こえないが、結局の所【兵士】達は何も知らないらしい。


 しかし、目的も何も知らない【兵士】をあれだけの士気を保たせたまま運用するとなると相当な指揮官がいる証拠、こいつは気を引き締めてかかる必要がありそうだ。


 取り敢えずはこの三人を追跡(つけ)ていきますかね。


 この三人の正体は分らないが、まだ誰が敵か分らない状況だし、無難な選択だろう。


 自分にせよ三人組にせよ警戒して進んでいるので、ペースはゆっくりだ。途中見回り風の二人組を何人か見かけたので【兵士】風の方が数が多いってことだけは分かる。


 三人組が、休憩をとりはじめる。しかしちゃんと警戒するヒトがいるのは流石だな。


 こっちは探索のプロだという訳か、ちょっとだけ気配を漏らす。


 「先程からつけて来ているお前、何者だ」


 いや、自分から正体もらす訳ないじゃん?


 「おい・・・誰かいるのか?」


 「ああ、ずっと気配だけはスキルで感知しているが、何処にいるのか見当もつかん」


 「ちょっと待てよ。俺達はこれでもその腕を買われて代表調査団の露払いと事前調査をしてるんだぞ?」


 調査団の事前調査とは?


 あれか?お偉いさんの政治的バランスの為の碌な実力も経験もない屁理屈野郎共の為の露払いと言う名の犠牲ってか?


 なんかさ・・・イライラしてくるんだけど?


 「おいおい、そんな事ってあるのか?もし、これが敵なら、俺達じゃどうにもならん相手だぞ?」


 「ふん!もし腕に自信があるならとっくに出て来てるだろう?つまり探索専門で戦闘は大した事ない奴なんだからほっとけばいいのさ!」


 と、獣人が言う。


 まあ、間違っちゃいないけど、見た感じこの三人なら負けることは無さそうなんだよね。ただ、この程度が相手だと、手練が隠れて動向を見守ってる可能性もあるじゃん。


 少なくとも自分の師匠’Sだったらそう言う事やりかねないし、自分を囮にとかさ。


 ・・・と言っても代表調査団って事は世界側か、仲良くしろって上司に言われてるし、仕方ないか。


 「今はまだお前達を信用していない故、姿は見せるつもりは無い。だが自分は河族の味方をするとだけ伝えておく」


 「あ?!!なんだ偉そうに!出て来て堂々と話してみろ!」


 「おい!やめろ!すまん・・・しかし我々は河族に不利益な事をする気は無い。ただ世界の物流の為調査を依頼されただけだ!」


 「今は信じて、様子を見させてもらう。安心しろ寝姿まで確認する趣味は無い。そして信じるも信じないもそちらの勝手だが、自分も物流を改善する為に派遣された」


 「じゃあ、協力すれば、より良い結果が・・・」


 「おい!姿も見せない奴を信用するな!」


 「しかし、実力は明らかにこちらよりは上のようだ。協力は無理でも不干渉を約束して貰えるならだいぶ助かるだろう」


 と魚人族、冷静な二人と腕に覚え有りの強気タイプかバランスは悪く無いか。


 「だから!!戦闘なら私が何とかするって言うの!引け腰じゃ、図に乗らせるだけだよ!」


 ん~正直な所大人が二人と才能のある子供が一人って感じだけど、


 嘘ついてるようには見えないし、嫌いじゃないんだよね。


 ちょっと気にしていきますか、無理のない程度だけど。

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― 新着の感想 ―
[一言] 気が荒いと言うか何というか やるべきことが停滞すると気が逸って突貫しそうな子が一人 偵察には向かなさそうだけど、戦闘員としては腕がいい方ってことなのかな
[気になる点] >追跡るのと一緒に気にしていきますか、無理のない程度だけど。 この3人組を気にして追跡しているはずなのに、 『一緒に気にして』とかいろいろ文脈が繋がってない気が、 何かの誤字か?
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