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30.【帝国】プレイヤー達とおっさん

【帝国】でも東部地域を中心に活動するプレイヤーは少ない。


スタート地点である【古都】をさっさと卒業し、華やかでいくらか人の集まる【帝都】や、さらに西部に移り、海から来る他国の物産を目当てに移り住むプレイヤーも居る。


 東部といえば、山ばかり、鉄が結構取れるくらいか、となれば自然と人も離れていくだろう。

 

 それでもあえて、東部に住む変わり者も居るもので、逆に皆顔見知りだからこその連帯もある。


 まずは、βプレイヤー 白い黒神 ビエーラ、

 その旦那 騎兵青年 カヴァリー、

 鍛冶屋 クラーヴン、

 術士 アンデルセン

 

 【兵士】ロールの地味プレイヤーを直接知っているのはこの4人。

 

 アンデルセンは、正確には【海国】のクランメンバーだが。


 時折集まっては【古都】の数少ないレストランでお互いの近況報告をしてたりもする。


 「さて、そろそろ、次のイベントも近くなってきているわけだが、なんかあちこち忙しそうにしてるな?」


 「おう、俺のとこも結構鉄関係の注文だったら入ってるぜ」


 「ってことは、NPCはすでに次どんなイベントになるか知ってるわけだ。そうじゃ無きゃ準備できないもんな?」


 「そうは言っても、一部のNPCしか知らないみたいなの、普通のNPCは、お祭りを楽しみにしてるだけみたいなの」


 「僕もまだ、どんなイベントになるか情報は入ってませんね。このゲームのことは、NPCに聞いた方が良いって、先日あの人に教わってから、積極的に話しかけるようにしてるんですけどね」


 「あの人って誰なのよ?」


 「地味【兵士】の隊長だろ?色々知ってるようで全然知らなくて、でも、なんかありそうなやつだ」


 「ああ、あいつならたまに剣のメンテに顔出すようになったぞ、ちょっと近況報告するくらいだがな」


 「へ~そんな人が居るの?【帝国】東部プレイヤーって私達くらいかと思ってたの。クランメンバーも大物の魔物でも出ないとこっちまで来ないの」


 「地味な顔して【下士官】とかいうジョブについてるけど今のところ攻略にも情報が無いんだよな」


 「へ~前線組って訳じゃないけど、攻略組なの?」


 「いや、相変わらずの初心者装備に普通の兵士装備だな。剣くらいか?ちゃんと自前なのは」


 「だな、正確には、剣と剣帯な、背中に小剣も背負うようになってるし、もうちょっと装備更新しても良さそうなんだがな」


 「【兵士】の任務報酬じゃ無理ですよね。自分も多少は受けてますけど、結局狩りの成果の方がお金になりますよどう考えても」


 「え?なんで【兵士】のクエストなんて受けるの?」


 「いや、それはまあ、一応ジョブに【兵士】つけてるし義務って言うかなんていうか・・」


 「まあ、とりあえず次のイベントの話だろ?注文受けてる内容からして『料理』イベントじゃないかと踏んでるんだが?」


 「ほ~その心は?」


 「鍋や包丁の注文がやたら多い」


 「間違いないじゃないかよ!むしろ、他の連中は何で気がつかないんだ?」


 「鉄といえば【帝国】だからな、しかも良質な鉄が取れるのは、帝国東部だ。【鉱国】にも注文は行ってるんだろうが、向こうは特殊金属みたいなのに走るプレイヤーばかりだから気がついてないんじゃないか?」


 「なるほどな、推察としては面白いか、でも、出し抜く方法は無いな」


 「料理プレイヤーなんてここの辺りにはいないものね」


 「まあ、この辺りどころかゲーム内全体に少ないし、てこ入れの可能性もあるな。折角味覚まで再現できるゲームだし、このまま趣味スキルのままってのもな」


 「満腹度さえ満たされればそれで良いって人が大半だからね」


 「イベントと同時にアップデート料理バフ実装って流れか、運営のやりそうなところは」


 「そういえば【兵士】ロールの人、前に食堂でクエストしてましたよ。料理できるんじゃないですかね?」


 「まじか!?ちょっと聞いてみるのもありかもな」


 「でも【帝国】で何料理するの?ジャガイモ?」


 「だよな~、兎肉とかどうかね?」


 「肉系はどの国でも魔物(モンスター)が落とすからな。レア度が高くて尚且つうまい肉か?」


 「そういうのは、総じて<料理>スキルみたいなのも高いところ要求されるんだろうがよ」


 「じゃあ、無理か~」


 「まあ、いずれにしても正式発表待たなけりゃ本当に料理イベントかは、分からないんだし、あまり気負ってもな?」


 「そりゃあ、そうだ」


 「そういえば、さっきからちょくちょく出てくる【兵士】さんて、最近すごく忙しそうにあちこち輸送してる人なの?」


 「多分そうだな、頼まれたら断れなさそうな雰囲気のやつだし」


 「やっぱり【兵士】ロールしてるだけの趣味プレイヤーなの?」


 「どうだろうな、一応いくつかの国を回ってきた経験からするとちょっとやりそうだぜあいつは」


 「そうなんですか?人の良さそうな変わった人にしか見えなかったですけど」


 「へ~やっぱり、強いの?」


 「何だ?知ってたのか?実は」


 「ううん、私がいつも狩場にしてる黒い森の近くで何度か見たの。いつも、他の【兵士】のフォローに回ってるように見えたけど、私が見ていることにも気がついてた感じがしたの」


 「たまたま、姿が見えたって言うんじゃねえの?」


 「私の<照準(スコープ)>と同等のスキルを持ってるとは思えないけど、それにどんなに不意打ちでも、こちらの弾を見切って来そうな、そんな気配を感じたの」


 「いや、そりゃあ無理だろ、有名プレイヤー板でも話題になるお前さんの超長距離スナイプ見切ったら化け物だぜ」


 「じゃあ、その【兵士】さんが、化け物だってことだと思うの」  


 「おいおい、そこまでかよ・・・いやありえなくは無いか」


 「まあ、今回は、こんなところか?情報交換は?」


 「そうですね、次はイベントの内容が発表されてからにしましょう」


 「そうだな、料理イベントだとしてもなんらか参加しない手も無いしな。なんか考えてみるわ」


 こうして【帝国】東部のささやかなお茶会はお開きになる。

もったいぶっていますが、次話はおっさんが「兵站」任務押し付けられるだけです。

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