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297.海の拳士VS炎の巫女

 「随分前に袂を分ったと思ったのに、またこうして会えるなんて、アタシゃ嬉しいよ」


 「すみません、いつぞやは本当に世話になってたのに、義理も果たさないうちからこうして、敵対してしまって、いい訳のしようも無いっす」


 「いいさ、うちを飛び出したあんたが【海国】に居場所を見つけて、うまくやってるって聞いて、アタシも嬉しかったし、うちに何が足りないのか考える良い機会になったさ」


 「本当にすみません、ファミリーが嫌とかじゃなかったんす。ただ俺はもっとやれる、もっと強くなれるはずだって、思い上がって、結局叩きのめされたんす」


 「そうかい、アタシだって同じさ闘技場(ここ)じゃプレイヤー最強だって、いずれNPC達にだって負けなくなるってそう思ってたさ」


 「そうですか、姐さんの目的も同じっすか・・・でも自分も今じゃクランの一角を任される立場、けじめはつけなきゃいけないっす。負けてくれとか口が裂けても言えない・・・でも俺が先に進ませてもらうっす」


 「悪いけど、簡単に譲る訳には行かないよ。他の事ならファミリーの為と諦めもつくが、コレだけは、アタシの因縁だからね」


 同時に打ち出す拳、スタイルは違えど、気合の乗った素手の突き、そこから伸びる火の塊と緑のエフェクトがぶつかり、相殺する。


 先に仕掛けるのは炎の巫女、相殺は織り込み済みと間合いを詰め、炎を纏った拳を真っ直ぐ突く。


 それを体を縮め両腕でガードした、海の拳士がカウンター。


 「タイフーーーンアッパー!!!」


 緑のエフェクトを纏い回転アッパーを見舞う。


 上空に打ち上げられた、炎の巫女はニヤリと顔に笑みを浮かべるのはかつてのファミリーの成長を喜んだのか・・・それとも・・・。


 両手の平を地面に向けて、叫ぶ。


 「噴射!!!!」


 手から噴出した炎でさらに高く舞い上がる炎の巫女。空中から海の拳士を見定め、


 両手を開き、相手に手のひらを向け、両手の人差し指同士、親指同士をくっつけ、両手から轟炎を放射する。


 その勢いで浮き上がる体、赤黒く変色するリング。


 炎に巻き込まれる海の拳士。しかし手を緩める事無く全身に炎を纏った炎の巫女が、そのまま空中から突進する。

 

 直撃こそしないものの、リングを満たす衝撃波。


 衝撃波に対して、ガード用の武技を発動し抵抗する海の拳士。


 再びリング上で相対する二人、


 炎を纏った飛び込み突きに、緑のエフェクトを纏ったストレートを返す。


 小さな竜巻を発生させながら、忽然と姿を消し炎の巫女の背後から空中蹴りを放つ海の拳士に、


 地面を打ち背後に炎の柱を発生させカウンターを取る炎の巫女。


 炎の勢いに浮き上がらされ、体勢を崩した所に、


 両手を開き、空中の海の拳士に手のひらを向け、轟炎を放つと海の拳士を焼き尽くす。


 受身も取れぬまま地面に落下した海の拳士が、ふらふらと立ち上がった時、


 目に映ったのは炎の巫女の背中。


 背面体当たり、鉄山靠。


 踏み出した足で足を引っかけられ逃げ場も無く、体当たりにも関わらず地面に叩きつけられる。


 そのまま、炎を纏った拳で追撃。


 追撃のダメージに体をくの字に折りながらも、転がって距離を取り直す海の拳士。


 「術の撃ちあいじゃ勝てそうも無いっすね・・・当たり前か」


 そう言って、無防備に歩いて距離を詰めなおす。


 「そりゃ、そうさね。それじゃ闘技場(ここ)では勝てないって教えたはずさ」


 悠然とした仁王立ちで、距離を詰めるのを待つ炎の巫女。


 一歩踏み込めば、お互いのこぶしが当たる間合いで、見合い、


 海の拳士のローキック。


 炎の巫女は拳士用のガード武技で体を硬直させ、受け留める。


 ローからのジャブ、


 これは、炎の巫女が構えた右手で、払われる。


 ジャブからのストレート、蹴り足から全身を連動させた一撃に、


 炎の巫女はそのストレートのさらに内側を下方から抉る縦拳突き。


 入った瞬間逆の手で、手を開き上に向けた、貫き手による喉突き。


 海の拳士がむせた所で、腰を回しての鉤突きが肝臓を抉る。


 体が折れて下を向いた顔に掌打で、顔を打ち上げ、伸びきった体の真ん中、


 心臓に抉りこみの突きを見舞う。


 海の拳士の動きが一瞬完全に止まったところで、右手から腕まで炎を纏い、


 とどめの突きを食らわせる。


 体が吹き飛び、二転三転、転がり仰向けになると倒れたまま光の粒子に変わる海の拳士。


 [勝者!炎の巫女!]

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