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296.スティングレイ

 スポットライトの元に一人佇む。


 「この四天王の一人を狙うなんて、ヒーローと怪人を倒して慢心したかしら?あなたの様なただの戦闘員が倒せる相手では無い筈だものね」


 色気のある女性の声が響くと、リングの端をスポットライトが照らし、こちらに歩み寄ってくる女性を追う。


 「ふふ、冗談よ。四天王だろうと所詮はあなた達組織の実験体、私達を的にして、あなた達はこそこそと何をやっているのかしらね?」


 女性は全身を体にぴったりフィットする皮のつなぎを着用し、腕を組んでいる。


 異様なのは背中に伸びる長い尻尾、引き摺る事無い様に持ち上げられているが、見た目は黒い骨のようだ。


 「まあ、いいわ。あなたも、もう分かっているでしょうけど、組織の怪人達はこれ以上あなた達に従う事を厭っている。我々を自由にしないのなら、一人づつ狩らせてもらうわ」


 「YEEEE!」


 視界が歪み無数に色割れしたスポットライトがリング上を暴れまわる。 


 スポットライトの動きが止まると、無数の色に照らし出されている筈なのに退廃的な暗さを感じさせるリング。


 [キルゾーン!この異相次元では戦闘員の勇気が100倍となり、四天王相手でも恐れずに戦う事ができるのだ!(個人の感想です)]


 「いいわ!自由は力で手に入れる物!四天王の力味あわせてあげる」


 重低音のEDMが会場中に流れ始め、


 すらっと抜くのは背景に溶け込みそうなほど細く薄いレイピア。対して自分も兜割の切っ先を向け試合が始まる。


 [レディ・エギーユVS戦闘員A!Fight!]


 静かに立てるレイピアの奥には嫣然と微笑む色気のある女性。しかし鼻から上はつなぎと同様のエナメル質の仮面に隠れている。


 殺気と同時に踏み込み突いてくる。流れるような動きと剣身の細さにうまくブロックできず、軌道をずらすだけになった。


 攻撃を加えようとした時にはレイピアを引き戻し、次の突きを見舞ってきたがそれも軌道をずらす。


 次は一撃貰う覚悟で、そのまま踏み込み、反射で軌道を変えさらに一歩踏み込む。


 相手がバックステップした所で、こちらのターン、兜割を頭上から振り下ろす。


 あっさりかわされるが、これは織り込み済み。そのまま横薙ぎにする。


 コレも避けられた所で、強引にカウンターの突きを入れてくるが、体勢が十分でない。それを狙っていた。


 中途半端な突きをブロックし硬直させる。


 近間で、の攻防だ。そのまま伸びきった腕を掴み、


擒拿術 猿捕茨


 硬直延長し、レイピアを持った手を掴みながら、兜割で顔を殴りつけ、喉胸腹と三段突き。


 ここで、再起動したが、武器を持った手は掴みこちらでコントロールしている。


 にも関わらず、頭上から感じた殺気に思わず手を離し、一歩下がれば、尻尾が自分のいた場所を通り抜けた。


 頭上から地面に突き立つように伸びた尻尾。


 地面が溶けた様にうっすらとした白煙とジュワッという音をたてた。


 ニヤッと笑う四天王が明らかに間合いの外から突きを繰り出すと、レイピアの先から光線が走る。


 偶々、避けられたが、これは光線が発射されてから避けるのは無理だ。


 殺気を感じるたびに、殺気のラインから体を外す。


 多分術の筈だが、回転が早く間合いを詰められない。どうしたものか。


 避けるのがルーティンになったところで、違う術を使用し突進突きが来た。


 流れで、中途半端に避けた所を引っかけられ、撥ね飛ばされる。


 転がった所に、尻尾が降ってきたのでさらに転がって避け、反動を使って立ち上がり構えた。


 そして、尻尾の先がこちらを向いている事に気がつく。


 噴射された霧を左半身で受け、焼け付く、顔だけは辛うじて左手でかばった。


 ダメージで、クラついているのも構わず追撃を加えてくる四天王、殺気に反応し、兜割を向けたが、中途半端に受け弾き飛ばされた。


 やむを得ず逆手で、借りた短剣を引き抜きつつも体で隠すように半身に構える。


 つかつかと四天王が近づき突いてきたレイピアの軌道を短剣でずらし、そのまま短剣の柄尻の蛇を四天王の顔に向け、毒を噴射させる。


 やられた事をやり返してやった。相手が顔を押さえ呻いているところに、横から首を突く。


 急所判定で硬直が発生した所で、短剣で、滅多刺しにし、再起動しレイピアを持ち上げた所で、腕を掴み強引に滅多刺し、


 尻尾が振ってきたところで<組討>で転がし、さらに滅多刺し。


 四天王は光の粒子に変わった。


 そして、いつの間にか正常に戻ったスポットライトの中にブローチが一つ残されていたので、拾う。


 [怪人達の自由を背負い立ち上がった四天王は戦闘員の前に敗れた。組織の真の闇を知るのは戦闘員のみ。何も知らずに実験体にされた怪人達の未来はいずこへ]

 

 ナレーションを聞きながらリングをおりるも、女性をあんな滅多刺しにして、どんなブーイングが来るかびくびくしてしまう。


 しかし、ざわざわとはしているものの、あからさまなブーイングは無いようなので、さっさと立ち去る事にする。


 選手用通路で、


 「随分えげつないやり方で勝ってくれたね。戦闘員の悪役感が増して私は良いと思うけど。そのブローチは使用すると一回だけバリアを発生させて、攻撃を防いでくれるよ。大ダメージ技とか確定ダメージの全体攻撃の時に使うんだけど、使用タイミングを自分で決めなくちゃいけないから、うまく使いな。それじゃね」


 そう言って、立ち去る女性。四天王に相応しい凛とした女性だな~。あんな上司の下で働きたい。

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― 新着の感想 ―
[一言] 勝ってるのにどんどんヒールになってて草
[一言] 他の四天王は、Bブロック内でつぶし合いとかをしてるんだろうか? (戦闘員Aに、全ての四天王が トーナメントなのに偶然順番に隊長と戦闘だと 流石に出来レース感(ご都合主義)が酷くなると思った…
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