29.おっさんと後方支援
■ 部隊 ■
20人からなる作戦行動の単位
小隊が最小単位の『班』であるならば、それを四つ組み合わせた『組』である
単一兵科の場合もあれば混成部隊となる場合も存在する、いずれにせよ作戦次第となっている
小隊の場合は目的の為の最小単位の行動でしかないが、部隊ともなればよりそれを行う作戦を理解できなければならない為【下士官】【士官】等、戦法・戦術・指揮のスキルを使用可能なジョブに就く必要がある
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「おう、悪いが<分析>を取ってくれ」
久々に会ったらいきなりコレだ。五厘刈りのおっさん(北砦)は俺にどうしても事務をやらせたいらしい。
ちなみに自分はリアルでは、現場志望で会社に入った。面接の時点で事務はお断りしたはずだ。
にも、関わらず、日中現場やって片付けも終わってから事務仕事だ。日報とかじゃない文字通りの事務仕事だ。業務とでも言うのか、生産管理とでも言うのか、マジでなぜ日中事務のやつらやってねえんだ。って切れそうになったことが何回あるか。
まあ、社長が悪いんだがな、私は昔事務で何でも出来たんだ。みたいなこと言って、事務所の子に無茶振りしたり、モチベーション下げるような事言ったりしてるから、皆辞めてく、誰も事務いないから、俺がやるしかない、ちなみに他の現場連中はパソコンの電源を入れるのが限界だ。excelとwordの区別がつかずにデータが消えたって騒ぐレベルだ、爺さんばっかりだから致し方ないんだがな。
「分かりました、取ってきますよ」
「おう、アビリティは、情報だからな、頼むぞ」
「いや、アビリティまで指定あるんですか?」
「他は、周りの人間の状態を把握するやつと、道具や装備の性能を見るやつだからな」
「いや、なおさらどっちも欲しいじゃないですか!悩ましいほどじゃないですか!」
「諦めろ!お前はもう【帝国】東部の兵站を任されるって言う規定路線の上に居るんだ」
「なぜ!?誰がそんなことを決めたんですか!」
「【古都】の兵長だ。もう一度言う、諦めろ」
「はあ、まあ、いいですけどね。そのうち<看破>とか<鑑定>とか見つけますよ。知識系もそういえば【下士官】になった時増えてたしその内取得しますよ」
「まあ、やりようはいくらでもあるからな。<分析>取得して【管理】任務受けてくれ、やることは前の倉庫管理とそこまで変わらないからな・・・・後」
「後、なんですか?」
「スキルはただ取得しただけでは意味が無いからな、【教会】で必ずセットするように!」
「また、それですか」
「大事なことだからな当然だ」
「むしろ、自分の進路希望とかも大事にして欲しいですね」
そんなことをいいながら、<分析> 情報取得【教会】でセットして、西棟のいつもの倉庫に行く。
とは言え、一度は整理してかって知ったる場所だ。
「ルーシー、チャールイ逃げるな」
「いや、ほらさ、外の警備とかさ」
「そうだな【歩哨】任務が俺を呼んでるよな?」
「いいから、チャールイは、重い荷物を運び込んで、ルーシーは中身を棚にどんどん並べて、スペーヒとカピヨンは、何も言わなくても自分の持ち場についてるぞ」
などと話しているとスペーヒが、
「隊長、なんかこの箱の中身瓶がばらばらですけど」
確かに見るといろんな瓶が混ざっている。割れているわけではない。
「最近、こういうの増えたな。瓶の規格統一できないほど物資が減ってるのかね?」
「もう何ヶ月かしたら、年に一度のお祭りだからじゃないですかね?」とカピヨン
「なんかそういう話だな。去年は気がつかなかったけど」
「ニューターが来るようになってから、各国の首脳部で決めてるらしいですよ?」
「ほーん、とりあえずルーシー受付で紙と何かくくりつけるものもらってきてくれ、中身書いて並べておこう」
「分かった!」
言うが早いかルーシーは駆けていく、よっぽどこの手の仕事が好きじゃないんだな、まあ、自分も人のことは言えないが。
しかし、他の隊は知らないが、自分の隊は自分が上の人たちにうまく使われてる所為か、この手の作業が早い。慣れていると言ってもいいかもしれない。
倉庫の整理が終わったら、ちょうど輸送隊が来たので荷受を手伝う。珍しくニューターが居たので、ちょっと話してしまうがそれで仕事の効率が落ちることなどない。
一応、任務が終わると自分だけが残される。
そして、倉庫の役長から現状の【帝国】東部の物資の供給状況が知らされる。
前は聞いただけじゃ分からなかったが<分析>を取ったおかげでかなり情報が整理できた状態で理解できる。コレが、リアルにあればどんなに助かるか・・・
「ちょっと、物資が全体的に少ないのに偏りがありますね、まずいんじゃないですか?」
「ああ、まずいんだよね。そこで、君の出番だ」
「出番だ!って、言われても・・・・【輸送】ですか?自分の隊だけじゃ賄えないですよね?この量は」
「君も【下士官】それにある程度経験も積んでいる。ちょっと20人ほど引き回してもらいたい」
「いや、まだ【下士官】になってそんな経ってないし、いつの間に経験があるとか言われるほどに・・・」
「何も言うな。諦めろ」
「ここでもそれ言われるんですか?」
「実はね、情報や工作や衛生はそれなりに中央でお金かけて教育してるから一定数、それも優秀なのが居るんだ。そして兵科についてもそれこそ【兵士】になるくらいだから、戦いが得意な連中は多い。しかしだ、『兵站』や管理業務になると途端に誰もやりたがらないんだ」
「やりたがらないんだ。ってわけには行かないでしょうよ?」
「ふっ。ニューターでやってるのは、君くらいだよ。通常は、私みたいに商家から【兵士】になった変わり者か、面倒見のいい傷病兵が就くのがやっとで、君みたいな現役で尚且つ【管理】が出来て『指揮』も出来る【兵士】は貴重だし、そういう人材じゃないと全体を見ながら自分も動くって言う微妙な部分を管理しきれないんだ。頼むよ」
まあ、頼まれて断るわけにも行かないか。
「分かりましたよ、20人連れて大きめの輸送隊を動かして、物資の供給バランスを取るって事であってますかね?」
「ああ、その通りだ。飲み込みがいいね。じゃあ【兵站】任務とする。受付で受けてくれ、部隊はうまく編成してもらえるだろう」
なかなか、面倒な仕事を請けてしまった。まあ、でもこの世界じゃ、出来ない仕事を無茶振りして後から怒ってくるような人はいないし出来る限りがんばりますかね。
すみません、かなりの確率で、東部と西部が逆に書いてます。筆者の地図感覚の無さが悪いです。
一応大河も裏川も東から西に流れています。
東側が鉱国で、山だらけです。帝国も東側が山が多いです。逆に西端は海につながります。