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282.槍のお礼と

 街中に戻り長に挨拶に行く。


 「お世話になりました。無事玉は手に入ったんですけど、自分としても必要なものなので、遠慮なくいただいていきますね」


 「気にせんでよいぞ。玉に選ばれたから持ち出せたのじゃからの」


 「ところで、あの場所の奥で槍を見つけたんで、これは渡しておきますね。自分は槍使いじゃないし」


 といって、長に三叉の槍を渡す。


 「おお・・う!これはこの街を作ったとされる先祖の長ブラボーの槍!行方不明の秘宝があんな所に隠されとったとは」


 ポセイドンじゃなかった。


 「秘宝だったのなら、安置しておいた方が良かったですかね?戻しておきますか?」


 「いやいや、ええんじゃよ。この街じゃよく聞かされる昔話に出てくる槍での。弱肉強食の海の世界で、この槍を持って魚人達を守ったとされる先祖の話じゃ」


 「そうですか、陸では英雄って呼ばれてたりしたんですか?」


 「陸の事は分からんの~。しかし、失われたはずの秘宝を見つけてきてくれたのじゃ、御礼をせねばの、ちょっと待っておるがよい」


 そういって、のそのそと下層に行き、その中央に秘密の通路があったようで、そこから更に降りていく。どうどうと秘密の通路を降りていくっていう所がまたなんとも・・・。まあいいか。

 

 戻ってくると、手に一着のウエットスーツかドライスーツと見える服を持っている。


 「これはのブラボーVS暴虐なる深海のならず者巨大ホオジロザメで、ブラボーが手に入れたらしい服なのじゃが、わしら魚人はそもそも肌に鱗があるからの、着てもあまり意味無くて倉庫につっ込んであったのじゃ」


 うん、ただの倉庫だったのか。


 「いただけるならありがたいですけど、なんであえて、それをチョイスしたんですか?」


 「いつも着ておるからこういうのが好きなのかと思っての」


 でしょうね~。別に趣味で着てるわけじゃないんだけど、いやゲームは趣味だから、趣味で着ているわけだが、


 こういう全身タイツ状の服を好き好んで着ているわけじゃない。


 とは言え、渡された服を見れば、


 〔暴鮫の服〕 装備スキル<水泳>

        <水泳>アビリティ強化

        耐寒耐暑

        <察知>アビリティ()()付与

        

 墨色とでも言うのか、黒だがどこか染め切れていないような薄黒。


 急所や上腕の外側、腿の外側が補強され、関節を保護するようにクロスされたバンド。


 近未来戦闘員かスパイみたい。そんな感想を抱く。


 しかしながら、自分は<察知>の()()を合成してしまったのだが、まさか採らなかったアビリティを付与って。


 付与だから多分持って無くても使えるよってことなんだろうと。


 全身タイツの性能の良さよ。もうぴったぴたの服シリーズはやめられないな。


 長にお礼を言い、街中で会ったヒトに挨拶して魚人街を去る。


 またのんびり海を泳いで渡り、


 【砂国】の海岸に辿り着く。マンボーさんとも別れた。


 「お疲れ、聖石の情報は集まった?」


 気楽な海の生活はお終い。ただいま陸の上での指名手配生活。


 「まあね、今回は族長が所有してる訳じゃなくて、街外れに安置してあったみたいだよ」


 「あった・・・ね。分った。じゃあ隠れ家に行こうか」


 てっきり、また砂漠を渡るのかと思いきや、リゾート地ミナーハーラにも隠れ家はあるらしい。


 海辺の屋台やコテージが並ぶ中。やしの様な木が密集する場所にあからさまに他人の目を避ける空間が存在する。


 しかし得てしてそういう所にこそヒトがいたりするもんだ。


 あっさり通り過ぎ、寧ろ目立つ休憩所。


 奥で海水を流すために水を浴びれるような空間になっているらしいが、平気で二人で奥に進む。


 その水浴び場の壁を外し、店の裏に出る事が出来る。


 そこが先程の人目を避ける空間に繋がっていた。


 しかし、先程いたヒトはどこに行ったのかと思ったが、何か仕掛けでもあったのだろう。


 その空間をより深く暗いほうに進んで行くと、


 ぱっと見お金持ちの別荘の裏手に出る。


 壁の一部が登れるように突起があり、そこを伝って二階テラスから家に入る。


 もうね、なんかね。泥棒のそれ。


 しかし、入ったすぐ横にカウンターがあり、ニコニコとした女の子が立っている。


 まあ、そういうことかと装備を預け、必要な物資を買い足す。


 リゾートらしい造りの広間のソファに掛けて天井を仰いでいると、いつもの上司が現れる。


 「お疲れだな。やはり海底の街ってのは大変だったか?」


 「いや、寧ろ気楽過ぎて現実に引き戻されて疲れてるんですよ」


 「そうか、しかし順調に廻ってる様じゃないか、いつのまに第2機関まで取り込んだ?」


 「取り込むって・・・ちょっと協力して信用を積んだだけだよ。そもそも【教国】だって今回の自分の件おかしいって思ってるんでしょ?」


 「そりゃそうだな。で、聖石はどうする?」


 「どうもこうも、情報は出したよ。ただ、一個言わせて貰うと玉に選ばれるらしいよ。無理に集めようとしたりしたら、碌な事にならないんじゃないの?」


 「それでも、欲しがってる奴がいて、それが世の為になると承認がおりて、各機関が協力する事になってるんだから仕方ないな、次の仕事を待ちな」


 ふう、持ってる聖石を交渉の札にする気だったけど、ちょっとまずい気がしてきたな。


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[一言] >ブラボーVS暴虐なる深海のならず者巨大ホオジロザメ めっちゃB級映画の香り
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