表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
272/613

272.聖石集め進捗状況

 【馬国】北西部の都コロンゴ。


 他国との連絡口で高原の入り口でもある都だ。


 しかし、家の数こそ多いが、背の高い建物等は少ない。


 土や石壁の家が立ち並び、ややくすんだ色合いの景色にも見える。

 

 まあ、寒風吹きすさぶ高原の縁に位置する都だ砂も被るだろう。


 そして、もう一つ特徴的なのが、壁が無い。


 都や大きな街には壁がつき物なのだが、多分高原の巨大魔物が攻めてきたら、壁など意味無いから逃げろって事なのかね。


 武器を鞄にしまい、薄鼠色の目立たないフード付ローブで都に入って行けば、普通に入れた。


 全然目立たない。


 「場所によっては壁も無ければ、誰も気が付かない場所だってあるんだから、こういう所で買い物の一つでもしてくれれば、追いかけられたのに」


 「悪かったね。そんなの分からなかったから、ひたすら人気の無いところを逃げるしか無かったんじゃん」


 ニキータに嫌味を言われるが、過ぎたことだ仕方ないじゃん。


 それでも、街中の壁には自分の指名手配書が張られている。しかしこんな地味なローブで歩いている事は書かれていないので、誰も気にしない。


 そう言えばここは都なのに【兵士】がいないのだった。正規軍人ではない、巡回の衛兵さんらしきはいるが、するっと道を一本かわして行けば十分避けられる。


 しかし、家の数こそあるが、割とスカスカのこんな地域にどうやって隠れ家を造るんだか。


 そして、ちょっと小高くなった広場の端に蓋のされた井戸が一つ。


 釣瓶もポンプも無い事から、枯れた井戸なのだろう。


 子供なんかが入れないように蓋がしっかりされているのに、その井戸の前で止まるニキータ。


 蓋には手を触れず、石積みされた井戸の石を一個引っこ抜き、内側にある鎖を引っ張った。


 すると、井戸のすぐ横に生えている木の根元が四角く持ち上がり、下に続く階段が現れる。


 二人で階段を降りれば、土壁のそこそこ広い空間がある。


 カウンターがあり、寡黙そうな老齢の男性が立っていた。


 多分そう言うことだろうと、装備品を預ければ黙って受け取ってくれたので、メンテを任せる。


 そして、タイミングを合わせたように、自分達の来た階段を降りてくる。いつだかの上司。


 「首尾はどうだった?今回任せた二箇所はお前でも潜入しやすかったんじゃないか?」


 「おかげ様で情報を集めてこれましたよ。どちらも族長に伝わる玉で、族長との勝負に勝てばもらえるそうで」


 「そうだな、事前情報と同じだ。ちゃんと仕事をこなしてきたようだな」


 「ちゃんと既に【教国】のヒトが先に訪ねてきていたことも確認済みですよ」


 「まあ、小手調べって事だ。安心しろちゃんと情報はやる」


 「小手調べに相応しい程度?」


 「そこはお前の情報精査能力次第じゃないか?」


 期待できませ~ん。


 「まあ、何でも情報があるだけマシですよ。個人的には誰が自分と敵対してるのか知りたいですね」


 「いいぞ、まず第1、第7機関は味方してくれてる。第2、第5、第8、第9、第10は中立、第3、第4、第6、第11、第12は程度の差こそあるが、最低でも捕縛して話を聞くべきってスタンスだ」


 「何でそんなに皆自分の事を疑うんだか」


 「まあ、直属の部下をやられた第3機関は、そりゃあ強硬な態度にもなるだろうな」


 「第1と第7は面識あるからですかね。にしても12も機関が有るとどこが何やってるのか分からないんですよね」


 「まあそうかもな。第3は各国の【教会】管理者の派遣を担当している。ほとんどが他国に出て活動している【教国】の国民の出先場所を管理しているわけだ」


 「まあ、相手は教区長ってくらいですもんね。どの機関か寝返ってもらえないモノですかね」


 「そう、都合よく教えてやらねえよと言いたいところだが、気張って働いてもらう為に少しサービスしよう。聖石を集めてくれば第12機関の覚えはよくなるぞ?」


 だから、そこが怪しいんじゃないか?って思ってるんだよな~こっちは。


 「ふう、取り合えず今は聖石の件がんばるしかないのか」


 「そうだな。しかしちゃんと仕事をこなせば、少なくともうちはお前の味方につく事になるだろう」


 「なるほどね、ちなみに第2、第5、第8は何で中立なんですかね?」


 「そこは割りと穏健派なんだよ。逆に味方をしてくれるかも分らんぞ。寧ろ他の戦闘脳な機関の方がお前とは気が合いそうだ」


 「どうしたもんだかな~直接顔を合わせて説得する自信なんて1ミクロンも無いしな。まあいいかそれで、次は?」


 「次はちょっと厄介な場所になる予定だ。準備して待っていろ。ところで聖石を納めなくてもいいんだな?」


 「聖石でどれくらい自分の立場が良くなりますか?」


 「ふむ、聖石を欲しているのは第12機関だけだからな。もう少し焦らしてやった方が、価値が上がるかもな、フフ」


 「ふふふ」


 まだ、全然状況は分らないが、でも自分を追っているのは【教国】であるのは間違い無さそうだ。


 そりゃあ、教区長SATSUGAI容疑なんだから当たり前だし【教国】の機関長に弁明しなきゃいけないと言う話は聞いていたわけだが、


 しかしヒュムをSATSUGAIした危険人物を各国の意思で追われてたらどうしようかなと、ちょっと思ってたんだよな。


 でも、話の感じだと完全に【教国】の依頼で自分を指名手配してる訳だ。


 何気に自分の中ではやることが絞れてきた。ほくそ笑んでしまうのも仕方ないよね~。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 教国の偉い人の脳内隊長「教区長などバラバラにしてくれるわー!」 隊長の場合クラウザーさんよりも、虎の脳みそのスープを頼まれて平然とオーダーを受け付けてたレストラン店主っぽい感じがw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ