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271.山頂から御来光

 できれば、魔物は避けたかったが一本道の真ん中に陣取られてしまっては、無理だ。


 くるりとジャンプして綺麗にバク転をきめる狸。思わず感心してしまう。


 敵意が無いなら、横を抜けようと思っていたのだが、


 狸が変身した。ミノタウロスだ。


 多分、最近戦った相手で、強かった印象がある者に変化するのかな?


 まあ、法則は分らないけど、能力的にはどうなのかね?


 狸タウロスは大斧を持ち、大きく振りかぶって、垂直に伐りかかってくる。


 体をずらし、斧を避けて剣を喉に向けて突く。


 弾かれる事は無かった。力を入れて迎え撃っていなかったからか、狸の変化コピーだからかは分らないが、


 急所硬直で動きが止まった所で、滅多切りにする。


 一度剣で斬られるのを嫌がって手でこちらを突き放しにかかったようにも見えたが、知らん。


 攻撃を仕掛けてきたのはそっちだ。霊子に変わるまで、斬り続け倒した。


 まあ、どういう設定かは分らないけど、ちゃんと自らの体を鍛え、使いこなせるようにならなければ、勝てるわけもなし。


 さっさと道を走り抜ける。


 時折分岐があるが、取り合えず頂上に向かうように上に向かっている道を選んで進む。


 そして、現れる。気持ち悪いぶよぶよ。


 なんだろう、虫と言うにもおかしいし、ミミズの出来損ないみたいな魔物。


 しいて言うなら蛭かな?あまり詳しくないけど、嫌悪感しか感じない気持ち悪さ。


 数匹がまとまって、飛びかかってくるが、一匹を斬って、抜ける。


 諦めずに向かってくるが、目も無いのにどうやってこちらを認識して、攻撃して来るんだこいつら。


 なんとも気持ち悪いが倒していく。心の中で何回気持ち悪いと唱えたか。


 倒しきっても<採集>する気にもなれない。即刻道を走り抜けて行く。


 族長が指定してきた木ってのは一体どこにあるんだ?


 ひたすら道沿いを走り、出てくる魔物を倒していく。


 ふと気がつくと、妙に開けた場所に出る。


 よくよく正面をみれば、かつての宝樹を思い出させるような大樹が一本。


 濁った沼があるので、泳いで渡る。


 正直なところ、沼の中が見えないし、結構恐怖ではあるが仕方なし。


 そんな事を考える事がフラグになるのか、殺気を感じる。沼の中からだ。


 泳ぎながら、警戒し、強く殺気を感じここ!と思った瞬間水に潜ると頭上に鰐が飛び出す。


 虚空を噛んでいる鰐の喉下に剣を突き刺し、そのまま泳いでいく。


 暴れる鰐だが、知ったこっちゃ無い。今は先に木に辿り着く事が優先だ。


 鰐を剣で突き刺したまま沼を泳ぎきると、木の生える柔らかい土の陸地に出る。


 陸地に上がると同時に鰐が霊子に変わり、剣を納める。

 

 そのまま、木の下に辿り着き、座って休む。


 宝樹の様に話しかけてくることは無いが、大樹というのはなんともその存在に癒される。


 そんなに待つ事も無く、聞き覚えのある馬蹄の響が聞こえてくる。


 自分が来た反対側には、蛇行して歩きづらそうだが、緩んだ土壌が見える。


 そこを走ってくる族長を眺めていたら。


 「ふむ、勝負には負けてしまったか」 


 そう言いながら、なんの惜しげもなく玉を渡してくれる族長。


 「なんかすみません。大事な物だとは思うんですけど」


 「ふむ、何度も言わせるな、欲する者がいれば勝負し、勝てる者あれば譲れと言い伝えられているのだ。この玉はお前の物だ。まあ、こんなただの玉を何に使うかは知らんがな」


 「自分も何に使うのかは知らないんですけど。しかし、不思議な山ですね。この木は安心するけど、それ以外山の形といいなんとも気持ち悪い感じで」


 「ん?山?大霊峰周辺でも無いのに何を言っているんだ?」


 「え?だって、散々坂道登って頂上まで来たって言うのにこれは山じゃないってことです?」


 「あ、ああ、気がついてなかったのか、ここは亀の甲羅の頂上だぞ?」


 「え?亀??あの動く山の?」


 「そうだな、丁度近くにいたのでな。ちなみに、この亀の甲羅を削った粉はアダマンタイトと言われ金属に混ぜると他の追随を許さない、硬度と重量を得る事になる」


 「硬度だけじゃなくて、重量も他の追随を許さないんですね」


 「そうだな、我の棍棒を見よ。一撃で周囲の魔物を吹き飛ばすこの棍棒にも混ぜ込まれているぞ」


 ・・・?え?そんな重量武器背負って駆けっこしたの?


 「あの、その武器置いてきたら、もっと早かったんじゃ?」


 「何を言っている?我が相棒を片時も離せるものか。もし使うのなら遠慮せずに少し削っていったらいい」


 「丈夫な武器には惹かれますが、そこまで重いものだと、ちょっと自分には合わないかもしれませんね」


 「そうか、まあいずれにせよ勝負はそちらの勝ちだ。また機会があれば会おうじゃないか」


 そう言って、颯爽と駆け去っていく。多分亀の背にいる魔物程度あの棍棒で、一殴りなんだろうな。


 自分も亀を降りていく。流石に集落にまた戻っては迷惑になるだろう。


 さて、どちらに行こうかと思っていると、ニキータがどこからとも無く現れる。


 「どうだった?」


 「一応族長から玉の話は聞けたよ。代々族長に伝わってるらしいけど【教国】も訪ねてきたって話だよ?なんで第10機関にお鉢が回ってきたのか」


 「さあね?一旦報告もかねて隠れ家に行こうか」


 「また【古都】に戻るの?」


 「いや、取り合えずここから一番近い隠れ家はコロンゴだよ」


 

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― 新着の感想 ―
[一言] やっぱり第10機関というか聖国というか、信頼関係が全然築けないですね。
[一言] 規格外サイズの亀も大概だけど、そんな亀の、しかもアダマンタイトなんてものが取れる甲羅に根を張ってる木もかなりの相当な強者なのでは 一体どんな実がなるのやら
[気になる点] アダマンタイトが亀の粉だと知った時のほかのプレイヤーの反応 [一言] カバーリングするから重くて硬いでええやろ→移動で敵に追いつけんやで→味方がかばえん範囲に行ってもうたどないしよ そ…
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