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266.【馬国】北部の森

 「やっぱり自分もコードネームとかあった方がいいのかな?」


 「何?藪から棒に」


 「いや、これから第10機関で働く訳だし、偽名とかあった方がいいのかなって」


 「元々、隊長って称号だし、偽名みたいなもんじゃん?それが有名すぎてばれそうなら、玄蕃って名乗っておけば?」


 「知ってるんだ?そっちのあだ名」


 「【隠密】の【頭領】が教えてくれたよ。どうせ、人前に出られる状態じゃないんだし、そんな事気にしてもしょうがないだろ」

 

 「そういわれると指名手配犯に調査仕事させるなんて、難易度が高すぎやしないか」


 「嫌ならやらなくてもいいけど?」


 「やるけどさ、にしても何で第10機関は自分を保護するほうに回ったんだか」


 「うちは内部の不正を調べたりもするからその関連じゃない?逆にそれぞれに秘密も多いから横の情報のつながりも無いから、詳しい事は知らないよ」


 ふーん、なるほどね~。


 装備のメンテナンスが終わった所で【馬国】にやってきた。自分が指名手配犯なので、歩きだ。正直な所一人の方が早いのだが、いたしかたあるまい。


 【馬国】北部の森の中、いつだか来た覚えのある光景だ。


 カーン・・・カーン・・・と聞き覚えのある音が聞こえてくる。


 そして、その音に近づいていくと牛頭のヒトが木を伐っている。


 後ろから縞々の大きな獣が近づいてきているが、どうやら虎のようだ。


 剣を抜き、牛頭のヒトと虎の間に入り、


 牙を剥き飛びかかってきた虎の口から頭を剣で貫く。


 そのまま地面に転がすと、牛頭のヒトが斧で、虎の頭をかち割る。


 「危ないよ、そんなに小さいのに無理したら」


 「すみません、お邪魔しました」


 「別にいいけど・・・あれ?どこかで会った事あるね」


 「お久しぶりです。以前は虎肉をご馳走になりまして」


 「そっか~、虎食べたけどあまり大きくならなかったね。今日はどうしたの?」


 「いや、ちょっとまた通りかかりまして・・・」


 (「ミノタウロスが最初の目的地。がんばって情報聞きだして、私は一旦身を隠すから」)


 「いや、なんか玉を捜してるんですけど、前にちょっとだけ聞いた、天才と呼ばれたミノタウロスの事を知りたくて」


 「へ~いいよ。じゃあ、今日は木を伐るのは終わりだから、虎食べながら話そうか。家にきなよ」


 「何か手伝える事があれば、手伝いますよ」


 「じゃあ、先に家に案内するから、虎を料理してくれる?木は運べないでしょ?」


 「分りました、じゃあ、今回は自分が虎を料理しましょう」


 そして、案内されたのがログハウスにしか見えない木で出来た家。


 調理場に通されたが、もちろん虎を料理したことは無い。


 もちろんミノタウロスの<解体>で〔虎の肉〕状態で渡されている。それを食べやすいように適当サイズに切っていく。


 漬け焼きにしたいが、大きな塊のままでは多分時間がかかるだろう。


 時短のために平べったく切っておく。血がずいぶんと出てくるので、水で洗いまくる。


 旨味がなくなるとか知らん!臭みがなくなればいいのだ。


 血が抜けたところで、塩や生姜や香草でもみまくる。


 また血が出たところで、洗い。またもみこむ。


 血っぽくなくなった所で、薄切りしたニンニクを浮かべたオリーブオイルに漬ける。


 多分血が抜けた事で、かなりパサパサになっているだろうから。


 最後にコショウの実と岩塩を直接乗っけて、焼く!


 完成!超しょっぱい虎焼肉!


 【鉱国】の強いお酒と一緒に並べると、丁度仕事が終わったのかミノタウロスが席に着いたので、一緒に食べる。


 「しょっぱいけどおいし~い」


 「お酒が進みますね~」


 「そうそう、天才って呼ばれたミノタウロスの話だよね」


 「そうですね、不思議な玉の話を聞きたくて」


 「そのミノタウロスは他所では英雄って呼ばれてるのね。ミノタウロスは頭はあまり良くなかったけど体は昔から強かったから、邪神の化身と戦うのに協力したんだって」


 「その英雄は何で天才って言われたんですか?」


 「当時のミノタウロスの中でも抜きん出て頭がよくて、敵味方の区別がついて誰彼構わず、戦ったりしなかったそうね。後、武器って言う概念があって、石斧で戦ったらしいよ?最後にはドワーフの作った大斧を使ったとか」


 「それまで、武器使わなかったんですか?ミノタウロスって」


 「そうらしいね。大抵の生き物は素手で殴って倒しちゃったって、大きな相手はミノタウロスが集まって皆で殴ったって」


 「ミノタウロスって本当に強いんですね。それで邪神の化身を倒した報償で、不思議な玉を貰ったと」


 「そう、今も族長の家に置いてあるよ。もう願い叶っちゃったから、ただの玉だけど。不思議な玉だったのが、ただの玉だね~ははは~」


 普通に教えてくれるし、族長の家ね。


 「やっぱり、大事な物ですよね?」


 「う~ん、族長の家に普通に転がってるからね。子供のミノタウロスが『ナニコレ?』って聞くと昔話が始まるだけだよ」


 え~種族の貴重品的な物じゃないの?


 「もし、それが必要だったら、譲ってもらう事って出来ますかね?何かと交換でもいいんですけど」


 「できるよ。村長に勝てば貰えるって、代々そういう約束らしいよ」


 「なにで、戦うんですか?謎かけとか?」

 

 「ううん、相撲!」


 無理ゲーだー!

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[一言] ヘビーブーツを用意しなきゃ…(ゼ◯ダじゃないって)
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