262.15番斬り②
「オラ!隙あり!」
「ねぇよ。そんなもん」
後ろから殴りに来た男のストレートを剣でブロックする。独特の構えだが、何の格闘技だ?
拳には小振りだが鋭そうな爪のついたメリケンサックをつけている。いや、今時はナックルダスターって言うのか?
三羽烏との戦闘が解除されない内に攻撃してくる男。多分【砂国】の海岸で攻撃してきたアホだ。
とりあえず、硬直している内に回復液を飲み、生命力を回復しておく。
「隙あり!!」
「だから、ねぇって!!」
細剣で木陰から突いてくる女。エフェクトが出てるところから武技か術だろうが、そんな遠間から突いて何になるの?
回復液を飲みながら普通にブロックする。
飲み終えて、瓶を放り投げれば光の粒子に変わる。
「で?何の用?」
「あ?わからねぇのか?さてはお前アホだな。狩りに決まってるだろ?」
「アホはお前だ。どうやってお前程度の実力で狩ろうってんだよ?どアホ」
「ざけんなよ!」
そして、ローキックを入れてくるので、その足を剣で斬りつける。
しかし、軌道を変えて上段蹴りに切り替えてくるので、姿勢を低くし、タックルする。
軸足を抱えひっくり返すと女の方がまた性懲りも無くただ術を使って突いてくるので、転がって避ける。
男が立ち上がり、踵落としを入れてくるが、それも転がって避ける。
「はは!地面をころころ無様な奴だな!」
「ホント!ありえない」
距離を開けて立つ。
「こんな雑魚なら、わざわざ削られるの待つ必要なかったぜ、っていうかこんな奴に負ける連中まじ雑魚」
「ね~」
何だろうな、ただでさえ疲れてれるのにイライラが増してくんだけど。
間合いを詰めてくる二人、しかし雪に足をとられてもたついてる。
「オラ!いくぞ!」
男がミドルキックを見舞ってくるが、
はあ、心の底から面倒臭い。何にも高まらないわ。
左手に剣を持ち替え、一歩前に出て打点をずらしミドルキックを受け留める。
右腕で相手の左脚を抱えて、男のアホみたいに開いた股を下から斬り上げる。
急所硬直が成立したところで、女が突いてくるが、ブロックそれも硬直判定になる。
動き出した男の軸足を蹴り払い転ばせ、首に一突き、もう一回急所硬直。
女が動き出したところに、喉に一撃急所硬直。
そのまま男の上に引きずり倒す。
二人が動き出したところで、
吐き出す左手
汚物は消毒だ。
二人して、目を押さえ苦しんでいる。
何がアホって戦闘解除される前に絡んでくるから、熱閃をくらうっていうね。その割に大した不意打ちじゃないし。
とりあえず、上になっている女の方から、急所を突きとどめを刺す。
女がどいた瞬間男の方は転がって逃げる。
「ころころ転がってるのは無様だったんじゃないの?」
「まあ、待てって!あの女は正直面倒くさくなってたんだよ」
「だから?」
一歩間合いを詰める。
「いや、あいつすぐ煽るだろ?仕方なく乗ってやってたけど、うんざりだったんだよ」
「だから?」
もう一歩間合いを詰める。
「俺と組もうぜ?損はさせないぜ?」
「するよ」
更に間合いを詰める。
「いや、そんな事無いって!お前が俺にNPC殺る方法教えてくれたら、すぐに追いつけるからよ!」
「なにそれ?」
ちょっと話を聞きたくなった。
「噂になってるぜ?お前がNPC殺しまくって強くなってるって、だから当て馬ぶつけて弱った所をやろうと思ったんじゃないかよ」
「ふーん、自分がNPC殺しまくってるって、何でそんな噂が」
「いや、手配書に殺害容疑って書いてあるじゃねぇか、な?俺の相棒になったら、いや相棒にしてくれたら損はさせねぇからよ?」
「だからするっての」
後一歩で攻撃の間合いだ。
「まてまて、俺を殺してもまだPKは控えてるぜ?情報は欲しく無いか?」
「情報によるな」
「そりゃあ、助けてくれるって言う保障が・・・」
「ふん!何も知らないって事でいいね」
「いや!知ってる!相手はアサシンだ。どうやったかは知らないが隠れ潜んで不意打ちで殺る技術を身につけてるんだ」
「それで?」
「それで?って、なあ情報出したんだからよ。俺にもNPCを殺す方法教えてくれよ!」
「ねぇよ。死ね」
その瞬間雪を巻き上げるように蹴りを入れながら立ち上がる男。
「おいおい、油断しすぎだろ。ダウンからの立ち上がりとか要注意だろ?まじで頭弱いなお前」
蹴りをくらい、倒れたので、
すぐに立ち上がろうとした所に鋭い蹴りが飛んでくるが、転がって避ける。
そして、立ち上がり、構える。
相手が手にエフェクトを発生させ、ストレートを打つと手からエフェクトが飛んでくる。
何の術かは分らないが、飛び道具だ。上体をそらして避け、間合いを詰める。
追撃が飛んでくるが、
氷剣術 凍牙
術を発動して、ブロックする。
ブロックで一回足が止まるが、すぐに歩を進める。
そこで、突き出すような前蹴りを放ってくるが、要は距離が取りたいって言う心の現われだろう。
普通にブロックし、また進む。
まるで、待っているかのように振舞っていたが、腰が引けて、一歩引いた。
今度は自分の一歩に合わせて、一歩引く男。
一歩押せば一歩引く。その内男の背中が木に当たる。
唐突に背中を向けて逃げるが<疾走>を使用し、後ろから追いつき斬り付ける。
そのまま光の粒子に変わるまで、膾切りにする。
ったく、イライラしすぎて、神経が参ってきた。