260.15番斬り④
身の回りを片付けてもう少し、森奥に踏み入る。
もし、集団で囲まれた時、障害物が多い方が有利だろう。
「おーい!兄ちゃんこっちー」
「おっ見つけたか?おい!こっちだってよ!!」
なんか聞いた事のある声だ。他のPKもってそういう事か、さてどう戦うか。
「よう!久しぶりだな!恨みは無いが・・・」
「兄ちゃん!今回は俺が一番に見つけたんだから、自分だよ!」
「そうだったな!任せた!」
「おい!この前は右手が真っ赤に燃える前に倒しやがって、心入れ替えて修行しなおしたぞ。くらえ!四聖兄弟の4獣殺法!オテアワセお願いします」
「え?いいけど」
「やったー!いいって兄ちゃん」
「ふむ、いい度胸だ。俺達四人を同時に相手をする覚悟があるとは、見上げた根性だ。では行くぞ」
確か、玄武だったか?重装大盾持ちが一番前。
2列目に青龍と白虎、一番後列に朱雀と並び、菱形のフォーメーションをとる。
ふむ、中々堅い。回り込もうにも、二列目が横に膨らんでいるのが秀逸だ。
まあ、こんな時はフォーメーションを崩すに限る。
初手!飛蝗ジャンプ。
ポカーンと上を見る4兄弟のど真ん中に着地する。
衝撃波で、4人共、飛ばされてひっくり返る。
狙うは一番すばやそうな白虎だ。さっと近寄り足首を掴み
擒拿術 照葉野茨
これで、当分移動不可だ。
「ぎゃー!足が動かない!」
そして、次に面倒な朱雀を狙い突けば、軽い手応えと同時に姿を消す。
周りを見回すが、姿が無い。ダメージと同時に潜伏するスキルかアイテムか?
仕方ないので、青龍に向かえば、青龍刀を振ってくる。
やはり、長柄武器っていいな~。何がいいって間合いが広いのがいい。
一撃目を避けて、踏み込もうとすると、切り替えしてくる。重い武器の割りに切り返しが早いなと思ったが、どうやら何か術を使っているようだ。
氷剣術 凍牙
即座に術を発動しつつ、ブロックする。硬直が発生した所で、懐に入り、喉に突きを一発。
間合いが近い為、青龍刀を振り上げ、柄で突いてくるが、
青龍刀を持つ腕に自分の左腕を絡めつつ、相手の横に回り相手の踵を引っ掛けながら、肘で顎をかち上げてやる。
<素手>のスキルを持ってない自分ではダメージは乗らないが<組討>の効果で転ばせる事に成功する。
絡めた左腕に青龍刀の柄が引っかかるので、そのまま柄を掴み。
相手をコントロールしながら、防具の隙間を突く。突く。突く。
そこで、後ろから玄武が襲い掛かってきた。盾でこちらを突き飛ばしてくる。
青龍刀の柄を離し、雪の上を転がる。
すぐさま立ち上がると、青龍ものそのそ立ち上がる。
更に追撃とばかりに玄武が武器の鈍器を振ってくるのを転がって避ける。
ふむ、剣を納めて兜割に持ち換える。
近づいてくる玄武の盾を打つ。びくっと一瞬動きが止まった所で、頭上で兜割を回すように、大きく振りつつ、相手の頭部を打つ。くらっと一つよろめいて膝をつく。
さらに青龍も青龍刀の刃先をこちらに向けて向かってきたので、その刃先を弾くように力づくで殴る。
青龍刀をはね飛ばされ、体勢を崩したところで、手首を打つ。
続いて、下から打ち上げるように顎を打つ。
胴体防具の上から打つ。
右手に兜割を持ち替え正面から首を掴む。
吸う右手
顎を打たれてから、動きが鈍くなっている青龍の武器を持つ手を切っ先で突いて破壊する。
武器を取り落とした所で、頭を数回打ち、打つたびに一瞬ずつびくっと痙攣し、倒れて光の粒子に変わる。
頭を一振りし、気を入れなおした玄武が向かってくる。と同時に白虎も動ける様になったようだ。
挟み撃ちにするようにして、向かってきた所で朱雀も姿を現し、玄武に何かバフを掛けている。
じゃあ、白虎からやるか。
白虎に向かうと両手を顔の前に、手の甲を見せるように構えるという事はボクサースタイルか。
ちゃんと構える所は初めて見たな。
兜割で突くと、手首を返すように受け流して、逆の腕をくの字に固定してボディを狙ってくる。
避けられそうもないので、そのままクリンチ。
首に腕を掛けて、そのまま大外刈り。倒れた所で、兜割を仕舞い、腕輪からダガーを抜く。
逆手に持ったダガーで喉を一突き、急所硬直が発生した所で連続で突く。
準備が整った玄武が盾を前に突進してきたので、盾の上縁を押さえ、盾下部を雪に埋める。
顔を見せた所で、逆手に持ったダガーで首もとの鎖骨の間に刃を差し入れる。
そして、そのまま額を押さえて押し込むように白虎の上に倒す。
からの飛蝗ジャンプ。重なる二人の上に落下する。
朱雀が、玄武を回復しているようだが、そのままダガーで鎧の隙間を突きまくり、回復より先に倒しきる。
玄武が消えた瞬間動き出す白虎が、こちらの膝に腕を掛けるように掴みかかってきた。
逆に、その勢いを利用して、膝を落とし肩を抑える。
更に顔に向けて、
吐き出す左手
視界を奪い、顔を焼き、ダガーでとどめまで、刺し続ける。
さて、残るは朱雀か。
「ふむ、こうなっては仕方が無い。さらばだ!」
朱雀が煙玉を地面に投げつけ、視界が真っ白になる。
しかし、今回は<索眼>に切り替え、赤い熱源を追う。
一直線で、追い。
追いながら腕輪にダガーを仕舞う。剣を抜き。
一瞬溜め、
武技 追突剣
背中から剣を突き通す。
後は結局の所、補助術士だ。一方的な展開で斬り殺す。
ふむ、ちょっと力づくで行き過ぎたか?疲れた。