表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
253/613

253.逃走【帝国】

 とりあえず、目立たないローブを羽織ったまま、うつむき加減で道なりに歩く。


 これからどこに行くべきか、協力者がいるって話しだよな。


 単独で逃げて犯人探しとか言われても、自分の推理力じゃなぁ。灰色の脳細胞でも持ってればよかったが。


 精々ピンクの師匠くらいしかいない自分には無理か。


 しかし、何だかんだ付き合いの長い兵長は逃がしてくれたが、協力者では無かったもんな。


 ん~っそうだ!とりあえず、手配書を手に入れよう。


 よく考えたら、何で自分が指名手配なのか知らない。理不尽にも程があるわ!


 多分聖石の件だろうと思っていたが、最早使用済み聖石ばかりで誰も得しないしな。


 もし、未使用聖石を自分が持ってると思われてるなら、渡せば完了じゃん。


 【古都】近くの村、遠目から様子を窺う。 


 村ならば、都や大きな街のような外壁はない。


 こそっと近づいて、手配書をぱくろう。ぱくっていいのだろうか?


 いや、こっちは手配犯だしな。ぱくろう。


 門番がいるわけでもなく、さくっと村に入り込む。


 何気ないフリをして、手配書がどこかに無いか探す。


 一軒の雑貨屋に、紙束が置いてある。


 近づいて見てみれば、自分の絵姿がかなり正確に描かれている。


 店主は何か荷物を運んで忙しそうだ。こっちを見てない事を確認しつつ、話しかける。


 「すみません!この手配書貰っていってもいいですか?」


 「あいよ!勝手に持っていってちょうだい。早く捕まるといいね~物騒な事だ。殺人なんて」


 え?殺人?!!思わず声が出そうになったが、なんとか抑えこみ一枚貰って立ち去る。


 いやいやいや、殺人容疑で追われてるとか、まじかよ。


 自分が人殺しだと言われて、ドキドキしない人がいるだろうか、とにかく足早で、人のいないところまで、歩いていく。


 丁度、森があったので、木陰で手配書を確認すれば、


 確かに殺人容疑だ。手配しているのは【教国】か。


 いや、冤罪じゃない?ニューターはNPCを殺せないのに殺人容疑って、おかしいよ絶対。


 やっぱり陰謀に巻き込まれて、冤罪を被せられてるのかな?


 とりあえず、続きを読むか。


 殺した相手は【帝国】東部教区長・・・。


 あっ殺したわ。霊子に変わっちゃったもん。死んでるわ。


 ええ、ちょっと待って、魔物に変身して殺されかけたって言えば、何とかなるかな?


 無理か、無理だよな。


 ・・・今思いつく方法は一つしかないな。神官さんが目覚めるのを待とう。


 もし、神官さんも陰謀に巻き込まれて死んだり、自分同様指名手配されたらどうにもならないけど。


 とにかく今は粘るしかないな。逃走しよう。


 幸い食べる物、手入れ用品、手当て用品は常時鞄に詰まってる。


 武器もやたら丈夫さだけはある。粘って粘れない事は無いだろう。


 NPCが本腰入れたらどうなるか分からないが、


 プレイヤーの追跡者は、もし自分より世界の隅々を歩いて回った人がいるなら、剣で話すとしよう。


 手配書の後の情報は自分の特徴だ。


 手配書を読み終わり、顔を上げた瞬間。こっちを見ていた【兵士】と目が合ってしまった。


 一瞬の間があり、呼子笛を吹き鳴らす【兵士】


 遠くに砂塵ならぬ、雪を巻き上げる様子が見える。


 もう、逃げ場は森しかない。


 森に入り、太い木を見つけて、すぐに登る。


 そのまま木を渡り跳び、森の奥へ奥へと向かう。


 一瞬後ろを振り返れば、自分が跳んだ勢いで落ちた雪に埋まる【兵士】が見えた。本当にごめん。


 待つ訳にも行かず、只管に逃げ走る。


 森を抜ければ【騎兵】が数騎待ち構えていたが、頭上を飛び越え、地面を一回転し、勢いを殺しつつ、すぐに立ち上がる。


 <疾走>を使用し、足場の悪い雪を駆け抜け、効果が切れると同時に<跳躍>更に走り続けると、


 大河沿いに出た。


 船の渡しも何もいない、ただの大河沿い。


 後ろには【帝国】の【兵士】達が迫ってくる。


 足元に飛んできた矢が刺さる。


 そのまま後ろ向きに大河に入っていく。


 中々の規模でしかも統率の取れた部隊で追跡されて、かなり追い詰められたが、


 しかし、大河は国境だ。大河を越えた場合、独断であの部隊が追ってくることは出来ないだろう。


 もし率いているのが自分であれば、顔パスだ。


 普段はそんな勝手な事はしないが、緊急時ならちょっと国境を越えるくらいで怒られないのが自分の立場だ。


 なぜなら国境を越える事を許されている輸送隊だからだ。別に偉い訳じゃない。


 何も無い大河を泳ぎ、渡る。


 【古都】の近くを渡れば、そこは【馬国】だ。


 高原に出れば、迷子になる事間違いなし、どこに何があるかは分かるが、星を見て移動するのはちょっと無理だ。


 【馬国】外周の森や崖や山なんかを抜けるしかないだろう。


 とにかく見つからないように道を行こう。


 そして、森の中の目立たないセーフゾーンを探して、ログアウトしよう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 誰も殺してないぞ→あっ殺したわ、の流れに笑った
[一言] 自分で自分の手配書をもらうのは草 雪に埋まる兵士のせいでイメージがロードランナーに 八頭身マリオとか
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ