247.結局巻き込まれる
あっさりと【帝国】に帰してもらったが、やらなきゃならないことがある。
即ち【帝国】【古都】の神官さんに探りを入れなきゃならないって事。
出来れば【教国】内で何とか解決してもらいたい気持ちでいっぱいなんだけどな。
まあ、嫌な事はさっさと終わらせましょうかね。
【古都】の【教会】いつもの眼鏡の神官さん。
「こんにちは、荷物届けてきましたよ」
「ありがとうございます。そして申し訳ございません。厄介事に巻き込んで」
「嗚呼、すでに知ってるわけですか。じゃあ、用件も」
「ええ、ただここでは止めておきましょう。私は職責柄知っておりますが、一番疑わしい方にばれてしまっては面倒ですから」
そう言われて初めて入る隠し部屋のような個室に案内される。
「まあ、早速ですけど、自分に依頼した御二人で第9機関長の所に出頭してくれれば助かるんですけど」
「そうしたいのは山々ですが、まるでこうなる事を予想していたように引き篭もってしまわれまして」
「え?自分で引き起こしておいてそりゃ無いでしょう?」
「浅はかとしか言いようが無いですね。昼日中からあまり騒ぎを起こしたくはありません。協力していただくことは可能ですか?」
「いや、何で自分なんですか・・・ほぼほぼ犯人確定しているなら【教国】の人連れてくればいいのに、そもそも内部的な話なんだから、他国の人間混ぜて変な噂が広まる方が困るでしょうに」
「そういう考え方もありますが、私も容疑者である状況は変わらず、しかもこの地域の内部監査及び処分要員の手が足りない事、尚且つ相手がいつどんな暴走するかも見当がつかず時間が無いことと問題が山積みでして」
「まあ、そりゃ、本当に犯人だとしたら一回は何でも出来る訳だから、何するか分らないのは確かですけど」
「と言うわけで、次は夜お会いしましょう。都合の良い時を教えていただけますか?出来るだけ早い方が助かりますが」
「ええ・・・強引過ぎる。まあ、分りました。って言っても自分はあくまで【帝国】の人間だからこれと言って何が出来る訳でもないですよ?」
「申し訳ございません。よろしくお願いします」
考え事をする為に適当に【古都】内を歩いて過ごす。
しかし、これ絶対何かクエスト始まってるでしょ。明らかに強引な展開だもんな。絶対自分を巻き込む気じゃん。
玉関連な~何も考えずに第9機関長に酒縁の玉持ってる事とか言っちゃったのとか失敗したかな。
でもすぐに自分の事釈放してくれたし、悪い人ではないのかな?分からん。
まあ、でも犯人確定してるんだよな多分。謎解きとかだったら全く自信無かったし、その点は助かった。
コレで実は神官さんが犯人で横から刺されたらどうしようも無いな。
もしくは共犯で、どこぞに連れ込まれてボコボコにされたりとか・・・。
あっでも死に戻りすれば【兵舎】だから、犯人は【教国】です!!からの【帝国】【教国】戦争とか・・・?
うん、嫌な予感したし、兵長だけには報告しておこう。
「兵長~~~~」
背筋に走った悪寒に助けを求めるように【兵舎】に戻り兵長に相談する。
「なんだ、急に焦って帰ってきたと思ったら」
「何か自分陰謀に巻き込まれてるかもしれない」
「あん?じゃあ、こっち来い話だけは聞いておこうじゃねぇか」
そういって、奥の部屋に通される。
ちなみにいつもの兵長のポジションである受付には【兵舎】では珍しい眼鏡で細身の事務方の人に代わってもらっていた。
「さて、どういうことだ?陰謀ってのは」
「【教国】の荷物運んだのは兵長も知っていると思うけど、その荷物を横領した人がいて」
「おいおい、他国の醜聞をほいほい話すもんじゃないぞ」
「まあ、そこは兵長にしか話さないから上に報告するかは任せるけど」
「おう、それで?」
「最有力容疑者に詰問しに行くのに同行する事になった」
「そりゃあ、面倒な話だな。何でまたお前さんなんだ?」
「向こうの第9機関長に頼まれたのと、いつもの神官さんに頼まれたのと」
「あの神官さんか?油断できるタイプじゃないが、お前さんの方から話を切り出したのか?」
「いや、先に状況知ってたから、なんかそういう機関の人か、犯人か共犯か」
「そこまで疑ってるなら、大丈夫だろう。俺も同じ考えだ。変に手を出さずにちゃんと話を聞いて、正直に【教国】に報告することだ。お前さんの仕事は捜査でも裁く事でもない。頼まれたってのは多分第三者的な証言が欲しかったんだろう。一応お前さんも相応の身分にある人間だからな」
「兵長がそう言うならやるけど、出来ることならそんな面倒な事は関わりたくなかったな~。戦闘も届け物も事務管理もやって、なんでこんな捜査みたいなことまでさせられるんだか」
「それ言ったら、憲兵総監なんて大変だぞ?いつも世話になってるんだから、ちょっと苦労を知っておくのもいいじゃねぇか」
「大変なのに自分が【古都】に戻ってくるとどっから嗅ぎつけるのか、きっちり【訓練】つけに来てくれるからな~」
「最近は随分マシになったって聞いたぞ?ニューターの優れた身体能力に任せた動きが少しは出来るようになってるってな」
「そんなん力任せに剣を振ってるだけじゃないですか」
「技術を突き詰めるにはお前さんにはまだまだ早いだろうよ」
師匠達の動きのやばさは異常だからな~。